刑事。
ファミリーレストランのテーブルに着く、麻衣の目の前には………茹でダコが一匹!
ギャル系女子高生・北原由美香によって骨抜きにされ、スーツを着た茹でダコと化した………剣持刑事37歳だ。
睨みつける、麻衣。
「おい!」
「……………」
剣持は麻衣の呼びかけにも応答せず、由美香を想って夢うつつ。
「おい!!」
「………ゆみか…ちゃん♡」
「おい!!
つってんの!!!」
思いきり麻衣に頬をつねられて、ようやく目を覚ます剣持。
「あたたたたっ、ス、スミマセン」
本来の職務である、参考人・来迎寺麻衣への聞き取り調査の為に来た剱持であったのだが………
突如として現れた由美香に、心を奪われつつあった!
麻衣の怒りが爆発。
「ったく、いい大人がギャルにデレデレして!
恥ずかしくないの!?
アンタ、それでも刑事!?
コッチは学園祭の準備で忙しいってのに、さっさと用事済ましてよねッ!!」
さすがに剱持も、バツが悪そうに平謝り。
「いやはや…………(汗)
まことに申し訳ありません、来迎寺さん、ゴホン、では、ほ、本題に」
仕切り直して、剱持は。
ようやく先日の無差別通り魔事件の件を語り始める。
「…………その事件と、わたしが。
どう関係あるんですか?」
麻衣は。
警察が自分を名指しで会いに来た時点で、きっと、この件だろうとウスウス感づいてはいたが。
とりあえずシラを切って見せた。
「ええ、実は。
事件当日、発生直前の現場近辺映像を調べたところ。
来迎寺さんに似ている……と言われる人物が確認されたので、当日そこに行かれたか?教えて頂きたいのですが」
麻衣は少し考える。
ひょっとしてバレてる?
いや、まだまだバックレて見よう!
「いや?その日どこ行ったっけかな………
あ!そうだ、ブクロ(池袋)!
ブクロ行ったかも」
あながち嘘ではない。
麻衣の沿線は池袋が終点で、都内どこへ行こうにも、まずは池袋で降りることになるからだ。
「池袋で、お買い物か何かですかね!」
剱持はテンポ良く訊き足す。
「そうそう!西武蔵デパート!!
それからサンシャイン通りで、お昼でした!」
麻衣は、内心我ながら見事なアリバイ工作だと胸を張る。
「そっかぁ、僕もサンシャイン通りは良く行くんだけど。
来迎寺さんが良く行くゴハン屋さんて、どこかな?もしかして、同じ店だったりして(笑)」
思いがけない剱持の質問に、麻衣はとっさに答えられず。
とりあえず
「牛丼の松井屋さん!」
と言ってしまい、しまった!と後悔。
(女の子普通に入る店かよ!?汗)
「ああ!
松井屋でしょ!?
僕なんかもお店探すの面倒臭いから、とりあえず松の屋なんですよ(笑)。
あそこだったら牛丼以外にもメニュー多いしね!」
剱持は、とくだん疑う様子も無く。
ニコニコしながら応対する。
「……でね、来迎寺さん。
この事件現場で人質を救助するのに、ありがたいことに協力してくれた方がいるんですよ!危険も省みずにね!!
……………この方なんですけど」
おもむろに剱持は1枚の写真を取り出し、麻衣に見せる。
例の……青山で撮影された、戦闘ヒューマノイドへ変身途中の麻衣自身の写真だ!
「!」
剱持は……………
この写真を見せた時の、麻衣の表情を。
見逃さなかった!!
〈刑事・完〉




