ティーチャー。
……………日向は。
ドメニコと共に国際政治結社・イスロのコントロール室に居る。
「プロフェッサー。
日本に居る1号機も2号機も、随分”元気”そうで。
私も安心しとるよ」
ドメニコは笑っている。
”1号機”と呼ばれた麻衣も。
”2号機”と呼ばれた華裏那も。
体内に埋め込まれているチップのおかげで、その行動を遠く中米のイスロ本部から24時間体制で監視され続けている。
ドメニコは日本から自動的に送られてくる、麻衣と華裏那のデータを説明した。
「2号機は後発なだけあって、現時点これまで機体そのものに関しては全く問題が無い。たまに”ヤンチャ”をするようだが、人間相手なら取るに足らんことだ」
「1号機は、今現在で2度目の最重要度アップグレードを地元エンジニアから受けている。全てシナリオ通りだ。
2号機に対しても1号機破壊指令を下しておいたのだが、上手くコンタクト出来た様子だ。
戦闘ヒューマノイドも人間の兵士と同じく、死ぬか?生きるか?の極限を経験することよって格段に練度が上がる。
2号機を1号機の元へ送りつけたのも全くそれが目的であり、そうした”実戦”に立ち合わせ。
破壊されたか?乗り越えたか?
確認した上で1号機の課題を洗い出す。
それを踏まえて現場エンジニア達も問題点の共有化、又はアップグレード対応を学習出来るというわけだ。
1号機は、今後イスロの販売するゲリラ式戦闘ヒューマノイドが現場供給された際の”対応トレーニング”をさせ、または実験台ともなる重要な役割を担うのだ」
日向は、この内容の話をされるのを嫌っていた。
「何か質問はあるかね?プロフェッサー」
「……………………いえ、ありません」
その後、日向はゲリラ式戦闘ヒューマノイド量産体制の整った”プランター”へ案内された。
「見たまえ!プロフェッサー。
生産ラインは既に完成している。
後は各個体の最終チェックを確実に行ない、人間形態へ変身時の確認を行った上で全世界に出荷する」
プランターとは。
イスロ自社開発の戦闘ヒューマノイドを量産する、言わば工場である。
薄暗い建屋内に、おびただしい数の透明なカプセルが横置きにされ並べられている。
カプセルの中に黒い人影のような物が垣間見え、淡い光を発している。
「アソコに突っ立っている1体があるだろう?
あれは近いうちに日本で現場実験予定の個体で、”ティーチャー”と名付けた。
私よりも日本語は遥かに下手くそだが、計画実行に問題は無い」
見ると………カプセルの合間に一体だけ立ち尽くす個体が居た。
屈強な体格の機械人形然とした出で立ちの、無意識な顔立ちの瞳が不気味に光り、こちらを向いている。
日向は驚愕した。
(私は………とりかえしの付かない
恐ろしい罪を犯してしまった)
〈ティーチャー・完〉




