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クリティカル・電・デモリッシュ!!

……………都内。


某学生街にある、来迎寺美枝の勤務する研究室で。

連日で夕方から、その娘であり戦闘ヒューマノイドの麻衣は急ピッチな性能アップグレードを受けていた。

同じ戦闘ヒューマノイドながら防御・攻撃能力の格上な華裏那と初めて遭遇したことによって得た”課題”を修正する為であった。


「もう、ウソっコの海外土産持ってくの、ヤだからね(怒)」


今回もまた、終わったばかりの変身プログラム改変並みに重要度高いアップグレードなのだが。

麻衣に”また休学ぅ〜〜〜!?”

とスネられ。

気持ちも分かる、それではと平日・休日問わず毎日夕方から研究室に来てもらうことにした。

それでも娘が不服げな顔をしていたので、


「どうせ、あなたは帰宅部なんだし。いいでしょ!?」


「早く華裏那を、ぐぅの字も出ないくらい叩きのめしたい!なんて息巻いてたの、誰よ!?」


などと大人げ無く逆ギレしてしまいながらも美枝は、ふくれっ面の麻衣を何とか研究室まで足を運ばすことに”成功”した。

例えロボットであっても高校生、気難しい年頃。

こうした母娘ゲンカがあっても仕方ないのだが、現実それどころではなかった。


…………美枝は。

華裏那が先日、我が娘に与えた攻撃そのものを”警告”として捉えていた。


(…………これから、真の敵は華裏那以外にやって来る)


母親としての。

そして技術者としての勘が、そう言っていた。



ジジッ

ジジッ


ビビビビビッ


バリバリバリバリッ


美枝の見つめるモニターの向こう側では、戦闘ヒューマノイド姿の麻衣が。

攻撃技「電 デモリッシュ」強化バージョンの出力テストを繰り返させられている。



元夫・日向博士の開発した

「ゲリラ式戦闘ヒューマノイド」

は”変身”というイニシエーション機能を含む為に、少なくとも通常のヒューマノイドの3倍以上の電力と5倍以上もの体内メモリーを必要とする。


また、元々軍事目的に設計されているので技や武器等の拡張が出来るようにはなっているのだが、その為には更に追加電力装備とメモリー拡張も同時に行う必要が出てくる。

それも基本として体内ではなく、いわゆる”外付け”だ。

戦場に居る兵士としてなら運動能力の許す限り幾らでも装備可能だが、そもそもゲリラ式戦闘ヒューマノイドの使用手段とは麻衣のように”隠密行動”を行うところにあり。

追加電力や火器を増やしたりすると外見そのものが怪しく見えてしまい、それがマイナス要素となる。


従って例え「外付けでオプション装備が出来ますよ」と言われても、結局は使えない、意味が無いのと同じなのだ。

それよりは、普段人間が使っている銃器を常に手元に置いておく方がまだマシだ。




…………そのような理由により。

今回のアップグレードではハード的に攻撃能力や防御能力を増やすのは見送られることになった。

そもそも麻衣はプロトタイプでもあり、しかも小柄な為。

現時点で既に電力もメモリーも限界容量に近いのだ。

では………今以上に攻撃能力・防御能力を高める方法は見込めないのか?


………それに対し研究室は

「現状能力の精度そのものを上げる」

という答えを導き出した。




防御能力に関しては、例えば華裏那のような装甲マテリアルに変えたり等の物理的・ソフト的要素の改善は許容領域が余りに足りなく、望めなかった為。

麻衣には申し訳無いが事実上”投げる”こととなった。


しかし、攻撃能力に関しては。

これまでの体内電流経路の見直しや集中原理の見直し等を行うことにより、技を増やすのではなく精度そのものを上げることで最大35%ものパワーアップが叶う運びとなった。

それが今、麻衣のテスト中である

強化型「電 デモリッシュ」…………

「クリティカル 電 デモリッシュ」

というアップグレード技だった。


後は麻衣自身が充分使いこなせる様、トレーニングは必須だ。


が…………………



「ふあぁ…………マジ疲れたかも。

ねぇ!もういい加減、人間形態に戻っていいよね?

身体ガチガチうるさいし、痛いし」


ダルそうに、あくびを連発する麻衣。


「何言ってんのッ!

まだ始まって30分よ!?

気合入れなさい、気合をッ!!」


(たとえ”昭和の人”とか、娘に言われたって構わない!)


………来迎寺家の母娘ゲンカは、まだまだ続きそうだ。


〈クリティカル電デモリッシュ・完〉

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