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太陽にほえる!ミニカー刑事。

………刑事、剱持博己(けんもつ・ひろみ)37歳。


都内某所で発生した、無差別通り魔事件について。


値する参考人に関するデータは固まったものの、はて?

どのように事件の実態調査を進めるか?

カベに突き当っていた。


今回、参考人として名前が上がったのは未成年………普通の女子高校生だ。


これまで剱持も仕事上、未成年者が関わる事件の調査も何件か経験してはいるが、今回は剱持にとって初めて経験する案件と言っていい。

その参考人に対しては、これまで剱持の経験したアプローチの仕方ではマズい感じがした。


確実なのは、いきなり直接本人へのコンタクトは避けるべきということだった。


少年課の刑事であれば別だが、デリケートなティーンエイジャー、しかも女子生徒の扱いに慣れていない剱持が迂闊に近寄ると、逆に警戒される恐れもある。


また、その女子高校生の通う学校への聞き取りか親への聞き取りから始めるのも手っ取り早い方法なのだが、それはあくまで”被疑者”に対するアプローチの域であって、参考人でしかない彼女へは適切ではない。


「う〜〜〜ん、困った」


もう一つ重要なのは。

”ロボットのような謎の人物”による事件現場での行動が「過剰防衛」に値する可能性も出てきていることだった。


その無差別通り魔事件の容疑者の犯行そのものは凶暴性極まりなく、多数の負傷者を出したのは勿論、犠牲者が出たとしても不思議ではなかった。

現に人質に捕らわれた少女も一時は生命の危険にさらされ、それは現場に直行した複数の署員の供述で伝えられている。


”ロボットのような謎の人物”による行動は人質の救命を果たしたのは勿論のこと、懸念された現場での被害を最小限に留めた……!という意味では賞賛に値するものだ。

しかし注目すべき点は、人質の少女を解放・署員による保護が完了した後も容疑者への攻撃を継続したことにある。


あくまで想定内ではあるが、人質の解放が完了した後も容疑者の状態によっては犯行が継続された恐れも有った。


しかし実際には、容疑者は”ロボットのような謎の人物”の攻撃により既に意識朦朧として凶器も手放した状態だったことが確認されており、現場に居た複数の署員による身柄確保も充分可能であるはずだった。

にも関わらず”ロボットのような謎の人物”は容疑者が死に至るまで攻撃を継続した点が「過剰防衛」に値する……ということなのである。


「………けど。

それが本当にロボットだったとしたら?」


剱持は考えた。


あくまで現法律は人間に対して行使されるものであり、ロボットに対しての適応を考慮されてはいない。

AI=人口知能 が発達した現世に於いても尚、そうした意味での法整備は行われておらず。

”人口”というだけあって、仮に今回のような問題をロボット側により起こした場合。

あくまで責任の所在はロボットそのものには無く、その何らかの関係者にあるのが実状となる。


剱持は。

”ロボットのような謎の人物”なる者が人間に値するのか?

はたまたロボットそのものなのか?

まずは明らかにする調査が必要との考えに至った。 


「まったく…………

俺の性格上、まずは突っ走ってはみたが。

女子高生だのロボットだの、フタを開ければ面倒なことばかりだな」


その時の剱持には、まさか、その両方を兼ねた少女こそが麻衣なのだ!…………とは、まだ知る由も無かった。



……………剱持は平成生まれだが。

昭和40〜60年代にかけてテレビで一世風靡した刑事ドラマの中で、ユニークなニックネームで刑事達が呼ばれていたのを知っている。


マカロニ……

Gパン………

テキサス………

スニーカー………

ボンボン…………

ロッキー…………

ラガー…………

……………等。


それぞれの呼び名には意味があり。

愛称として相応しい、印象に残るものだった。


「さしずめ

俺は”ミニカー”刑事、ってとこか」


剱持は照れ笑いの顔で、署の窓の外を見た。


大きな太陽が、夕暮れを待つ首都を照らしていた。


「………俺は、やってやる!

例えどんな事件でも解決してみせる。

たった一人の少女のためにも!!」


剱持は、太陽に誓った。


〈太陽にほえる!ミニカー刑事・完〉


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