最期の闘い!
イスロ本部。
日向達の居る地下室。
廊下から複数の足音とともに、各部屋の扉を開けては閉める音が響く。
その音は、徐々に彼らの部屋へと近付いて来る!
「(……ナタリア!
扉の横の壁に!!)」
日向が小声で告げる。
そして、ついに扉が開かれた!
廊下には三人の兵士が居た。
皆、厳つい顔だ。
一人だけ機関銃を保持している。
その内の一人が顔を部屋へ突っ込み。
目を大きく開きながら、室内を隅から隅まで見渡す。
ナタリアは引きつった表情で、手を口に当てて入口脇の壁に張り付いている。
まだ兵士には気付かれていない。
既に元の白衣へ着替えていた日向は、椅子からフラフラと立ち上がるそぶりを見せ、尚且つユラユラと身体を揺すりながら兵士に近付き。
わざと、憂鬱そうに話しかける。
「(一体…………どうしたのかね?
急に!
気が滅入って仕方無いんだ!
私を早く出してくれ〜!!)」
日向は精神的に病んだふりをしながら、兵士に抱きつこうとする。
自分に注意を向ける為だ。
兵士は鬱陶しげに顔をしかめ振りほどこうとするが、なおも絡み付いてくる日向に声を荒げる。
「(ええい、離せ!
この爺ィ!!)」
部屋の入口で、呻き声を上げながら抱きつく日向と兵士が揉み合う。
「(もういい、行こう!)」
廊下に残る兵士達に促され、日向を突き放しながら兵士は扉を乱暴に締めて出て行った。
再び静寂が戻った。
「…………ふぅ」
日向が息を付くと、壁に張り付いていたナタリアも力が抜けて床に座り込む。
「(…………もう、ダメ。
限界)」
両手で顔を覆い、うなだれるナタリア。
日向が大使館へ救援を頼んでから、半月以上が経とうとしていた。
本当に、救援は来てくれるのだろうか?
つい先程まで病んでいるふりをしていた日向も、事実、必死で精神を保とうとしていたのであった。
麻衣一向は現地飛行場に降り立った後、レンタカーを借りて目的地へ向かっていた。
ドライブするは唯一、国際運転免許証を所持するケビン。
この国の道路事情は決して良くなく、予め借りる車種はSUVと決めていた。
特にイスロ本部は郊外の山間部に有り、道中の路面にポトホール(大きな穴)や巨大なスピードバンプ(段差)が予告なく現れ。
更に岩石が散乱している場合もあり、減速せずに通過すると車を損傷する恐れがあるからだ。
その為、無事に目的地へ到着するには可能な限り頑丈な車が望ましかっのである。
尚且つ。
そのような道路事情の為に、夜間でのドライブは極力避けるようにレンタカー会社より綿密な忠告を受けたが。
五体のゲリラ式戦闘ヒューマノイドに備えられたスキャナー・アイとナビゲート機能は、それら障害を避けて進むことに対し有効に働いていた。
飛行場へ到着したのが夕暮れ時で、まさに夜の帷が降りようとした頃にも関わらず、そのままイスロ本部へのドライブへと向かうことの出来た理由も、その為であった。
イスロ本部まで、あと僅か。
山中の道中で、ふと?
麻衣の頭の中に…………聞き覚えのある音声が響く!
(タ・ス・ケ・テ)
(タ・ス・ケ・テ)
他のメンバーも、耳をすましている。
(H・E・L・P)
(H・E・L・P)
…………明らかにコールサインだ!
カイトが叫ぶ。
「近ぇゾ!」
ハンドルを握るケビンの右足が、強くアクセルを踏み始めた!
…………FBI・米軍特殊部隊・剣持刑事37歳以下日本警察チーム合同によるイスロ本部への大規模捜査支援に赴く直前。
"ジム”マッケンジー捜査官は。
米軍側指揮官である将校、カール・パウエル少佐らと共にブリーフィングを行った。
日米各部隊とも、各々のタクティカル・ギア(戦闘服・武装)をまとっての集合である。
ジムとは対照的に、米軍特殊部隊の若きリーダーであるパウエル少佐は。
剣持達へ冷ややかな態度を示した。
「(日本の警察だと?
フ…………足手まといなだけだ。
空港のホテルで寝てな)」
しかし、剣持刑事37歳の意志は揺るがなかった。
(俺は…俺達は全ての人達の為に、命を賭けに来たんだ!
大和魂を見せてやる!!)
主体となる地元OX国警察の部隊は、既にイスロ本部へと突入しようとしていた。
それから直ちに、FBI救出ヘリコプターと米軍攻撃ヘリコプターが現場に向かった!
そして……!
「……ここが。
ここがイスロ本部!
ドメニコのアジト!!」
麻衣達、五体のゲリラ式戦闘ヒューマノイドは車から降り立った。
密林の中に忽然と姿を現した、巨大な廃墟然の古い病院のビル………イスロ本部建屋。
それはまるでドラキュラ城のようにそびえ立ち、麻衣達を威圧していた!
とうとう、辿り着いた………………
麻衣は。
直ちに変身!!
「アインサイルトゥン!!」
「アインス!!」
「ツヴァイ!!」
「ドゥファイ!!」
麻衣………チェインジ!
最期の闘いが
火蓋を切った!!
〈最期の闘い・完〉




