二人の麻衣。
日本、警視庁本部。
「…………◯✕国防犯省より、イスロ本部への捜査協力依頼が来ている。
更に、米国連邦捜査局(FBI)へも捜査協力を打診したとのことだ」
会議室にて。
ロボット・テロ対策本部の人員達を前に、本部長の諸原が伝達を行っている。
剣持刑事37歳の顔もある。
「邦人研究者ではロボット・エンジニアの日向武雅氏、一名が組織本部建屋内に監禁状態の様子だが。
日向氏以外でも。
米国からも行方不明となっている研究者を複数名、イスロ側が拘束している容疑が固まったそうだ」
剣持が質問する。
「では、現地捜査はFBIとの共同で行なう手筈となるのでしょうか」
諸原が頷く。
「うむ。
日向氏が◯✕日本大使館へ伝えた内容によると、イスロは日向氏の娘さんも人質にとっているらしい。
今回は相手が相手だけに、非常に危険度の高い大がかりな仕事となる。
米国人研究者の救出と共に、日向氏と娘さんの救出についてもFBI特殊部隊(HRT)が米軍特殊部隊(SOF)とも連携した作戦を取ることとなる様子だ」
剣持は怪訝とした。
「日向氏の娘さん?
…………それって、戦闘ヒューマノイドとなった来迎寺麻衣さんのことですよね?
彼女は日本に居たはず………
何故、イスロに人質に?」
諸原は剣持を見据え、答える。
「イスロ本部に人質となっているのは………麻衣さん自身の"素体”、人間であった時の肉体そのものだ!」
「!」
愕然とする剣持。
初めて知る、来迎寺麻衣の真実。
諸原は続ける。
「日向氏の娘さん………来迎寺麻衣さんの人間としての肉体は現在、意識は無く。
特殊な生命維持カプセルによりイスロ本部で保存されているとのことだ。
現在、ヒューマノイドとなっている来迎寺麻衣さんは人間時の思考・精神即ち意識のみを移植するという通称"べヴスタイン”と言われる方式で造成され、活動していると言う。
従って。
保存されている肉体に再度意識を戻すことにより、本来の人間へと戻ることも出来る。
日向氏が一旦イスロ本部より脱出した経緯は、御自身というより娘さんの肉体を救出する為の支援を要請する目的で。
その為にも米国側の協力も欠かせないものとなる」
「……………カプセルごと、救出。
そうなるでしょうね?」
剣持の問いに、諸原は再度頷く。
「………立っては、剣持巡査部長。
君にも日本側人員協力として◯✕国へ向かって貰いたい。
よろしいか?」
「………わかりました!」
来迎寺さんが、人間へ戻れる………!
その為なら。
たとえ命の危険を伴おうとも、必ず任務を遂行してやろう!!
剣持はFBIと共に、イスロ本部へと乗り込む決意をした!
「ニャーオ」
来迎寺宅。
居間のソファに座る美枝を見上げて、ニャーミーが不安そうに鳴く。
「よしよし、おいで」
美枝の膝の上に乗る、ニャーミー。
すぐに"ほっぺたスリスリ”をして来る。
「ニャーミーも心配なのね………」
「ニャー」
ニャーミーの後ろ頭を撫でながら。
遠い眼差しで、我が娘達の無事を願うしかない美枝であった。
〈二人の麻衣・完〉




