07 転生者と召喚者
「こんなおっさんの、どこがいいんだか。」
オリビアとシイカは、俺を見て、目を丸くしている。
「何を言っている。悠弥どのは、私たちと同じくらいだろう?」
えっ?まさか、転生って、体まで若くしてくれたのか?
「鏡、持ってるか?」
シイカが、荷物から、鏡を出してくれた。
「マジか、、、俺、若くなってるな。」
鏡に映る自分の顔を、マジマジと見た。この世界の鏡は、金属板を出来る限り研磨したもので、そこまで鮮明ではない。それでも、自分の顔が若返っているのが、分かるくらい違う。
「悠弥殿、昨日も気になったのだが、もしや、あなたは他国での召喚者ではないのか?」
なんだ。異世界転生とかは、普通にある世界か。
「そう見えるか?」
「あぁ、聞いている話とは、少し違うが、昨日の料理や寝所などもそうだ。それに、あなたの家は、ヘイルズ山脈に近い森にある。あの森がなんと言われているか、知っているか?」
「分からないな。」
「無知なる森と呼ばれている。知識が足りないという意味ではなく、何も知らないという意味だ。入ったら、誰も帰らないために、情報がないのだ。悠弥殿がいる場所は、まだ浅い場所なので、私たちでも大丈夫だったが、もう少し奥だった場合は、到着する前に全滅していただろう。」
「マジかよ。なら、もう少し奥に作ればよかったか。」
「何を言う。それだと私たちは、出会っていなかっただろう。」
「それでも一向に構わなかったけどな。」
「悠弥殿、あまり意地悪を言わないでほしい。私にとって、あなたと出会った事は、本当に良かったと思っている。」
シイカはモジモジしている。
「唐揚げ食べれるからな。」
「そうそう、あの唐揚げという料理、、、悠弥!」
オリビアは、赤くなって、怒っている。
「で、悠弥殿、あなたは、召喚者なのか?」
もう色々とやっちゃってるからな。今さらバレたところで、何も変わらないか。
「そうだ。召喚者とは少し違うかもしれない。俺は他国に召喚されたわけじゃないからな。でも、それに近いと思っていい。」
オリビアとシイカは、やっぱりかと言った感じで、肩を落とす。シイカは、話を続ける。
「他国の召喚者じゃないという事は、使命を持っていないのか?」
「なんだ、それは?」
「召喚された者は、例外なく”使命”を持って、現れるのだ。最近の召喚が行われた国は、ブレイン聖国だろう。300年以上も前になるが、その時の使命は、”魔王討伐”だった。」
「魔王がいるのか?」
「魔王は存在する。この大陸には、魔族の国がある。そこの王を魔王と呼んでいる。」
なんだ。悪の化身とかじゃないのか。
「じゃぁ、人類は、その魔族の国に侵略を受けているとか?」
「いや、そんな事実は存在しない。そもそも魔族も人類に属する種族だ。交易も盛んに行われている。」
「で、その召喚者は、魔王を討伐したのか?」
シイカは、一息置いて、
「記録によると、魔王討伐は成された。その後、使命を無くした召喚者は、傍若無人に暴れまわったのだ。他国への被害ももたらしたため、周辺諸国が連合を組織し、ブレイン聖国に抗議し、それが聞き入れられなかったため、戦争に発展した。魔族側も、それを反撃の好機とし、最終的にブレイン聖国と魔族の国イブリス魔王国は、多大な犠牲を出し、停戦した。その周辺諸国も、大変な被害を出しただけで、勝者のいない戦争になってしまった。」
「召喚者、何やってんだよ。」
「本当にそうだ。結局、魔王は代替わりをしただけで、世界の何かが変わることは無かった。それ以降、イブリス魔王国は、ブレインを目の敵にし、ブレインは宗教国家のため、魔族を神の敵とし、今も国境付近は、戦いが絶えないのだ。」
「心配するな。俺は、そんなに暴れたりしない。邪魔されたくないだけだ。」
「えぇ、分かっています。悠弥は、自分の力を無闇に誇示するタイプで無い事は、理解しています。ただ自分本位なだけです。」
「おい。まぁ間違ってないな。俺が召喚者だという事は、秘密にしてくれ。」
納得はしてないが、今までの行動を見れば、自分本位ではあった。
そして、馬車が止まる。ドアがノックされ、今日はここで野営すると報告があった。
「悠弥、今日は何を食べさせてもらえますか?」
俺が作るのかよ。
「今日は、自分たちで用意してくれよ。」
俺は、簡易宿泊所を出し、部屋に入った。
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