04 刺客
次から次へとやっかいごとが巻き起こる
その夜、事件は起こった。
「ぎゃぁ!」
家の外が騒がしい。4つの気配があるとは思っていたが、結界があるので、様子を見ていた。案の定、結界に触れたようだった。死にはしてないだろうけど、大怪我はしたはずだ。
俺は、結界付近であたふたしている影に近寄る。
「なぁ、あんたら、何やってんだ?」
もう見た目が怪しい。
「!?」
「お前ら、俺に用があるんだろ?」
その4人は、剣を抜く。一人は、左腕が動かないようだ。
「歯食いしばれよ。」
結果、全員の左頬に、平手打ちをかまし、気絶させた。
「マジで、チート様様だな。」
全員を縛り、門の脇にある部屋に連れていく。
「ぶはっ」
俺は魔法で、頭から水をぶっかけた。4人が目を覚ます。
「くっ、殺せっ。」
「リアルで初めて見た。これが”くっころ”かぁ。ちょっと感動。」
「何を言っている。」
「お前ら、女か?」
俺は、やつらの頭巾を取った。
「さて、誰の命令だ?」
「・・・」
だんまりを決めている。
「あぁ、そう。直接、王城に乗り込んで、聞いて回ってもいいんだが?」
「・・・」
だんまりだ。隠密行動を取るくらいだから、そういう訓練も受けているんだろうけど、その口を割らせるための知識が、俺にはない。
ずっと、この状況では、埒が明かないので、ここは一発かましてやることにした。
「ちょっと見てろよ。」
俺は、4人を外に運び出し、指をさす方向を注目させた。俺は、大きな火の玉を作り、空中に投げる。
-ドォォォンー
火の玉は、体が吹き飛びそうなほどの衝撃波のあとに、耳が壊れそうな轟音とともに、空中で爆発した。
「勘違いしてるみたいだけど、別に何もしゃべらなくても、街ひとつ吹き飛ばすくらいは、簡単なんだよ。自分たちの態度次第で、お前らに命令を下したやつらの命運が決まるんだ。よく考えて、決めろ。」
4人は、驚きのあまり、聞こえているのか聞こえていないのか分からない顔をしている。
「はっ!?」
一人が正気に戻ったみたいだ。
「第一王子だ。」
俺は、ため息をついた。
「なら、お前らのご主人様に挨拶をしなきゃな。」
「ま、待ってくれ。」
「あぁ?」
俺は、彼女を睨む。
「待ってください。これは、王族に楯突いたあなたにも原因が、、、」
「それは、お前らの理屈だろう。俺は、お前らの国民じゃない。前に説明したんだけどな。」
「ならば、私たちの命で、どうか許してはいただけないだろうか?」
「お前らの理屈で言うなら、お前たちの命は、その王子とやらの価値と同じなのか?」
「そ、それは、、、」
「なら、直接”お話”するしかないよな。」
彼女たちは、何も言い返さなかった。俺は、彼女らの前にしゃがみ込み、
「今から、お前らの拘束を解くけど、まだ俺に何かしようと思うか?」
彼女たちは首を振った。
「よし、信じるぞ。」
俺は、彼女たちを塀の中に入れ、拘束を解いた。
その瞬間、一人が塀を飛び越えようとした。
「きゃあっ!」
結界に弾かれた。
「やると思ったよ。どうして、イケると思ったんだよ。そこまでお人好しじゃねぇよ。」
彼女らは、諦めたように見える。
「腹減ったな。なんか食べるか。お前たちも来い。」
俺は食堂に彼女たちを案内した。4人は、部屋の中を見廻している。少しでも情報を持ち帰ろうとしているのかもしれない。
腕を怪我しているやつに近づき、腕を取る。
「何をする!」
俺は、彼女に回復魔法をかけた。
「!?」
驚いた顔をしている。
「治癒魔法を使えるのか、、、ですか?」
「あぁ、使える。」
「あなたは、教会関係者か何かか?」
「違うけど?治癒魔法ってのは、教会の独占状態か?」
「そうだ。治癒魔法を使えるものは、女神の祝福を受けた教会の司祭以上だけだ。」
「そっちの事情は知らないが、別に女神は関係ないと思うぞ。俺は特に信心深いほうでもないしな。それよりも飯だ。何か作ってくるから、待ってろ。」
俺は食堂に行く。
「あっ、その辺のもの触ってもいいけど、何もないぞ。家にも結界張ってあるから、出れもしないしな。」
彼女たちは、ビクッと慌てたように取り繕った。たぶん、物色しようとしてたな。
料理を作り、彼女たちにも提供する。
「これは、なんという料理なのでしょうか?」
「オムライスだ。」
「お、オム、、、?」
「オムライス。こっちにケチャップがないから、ご飯は、ガーリックライスにしてるが、卵を薄く焼いたものを、ご飯にかぶせるんだ。」
「申し訳ないが、あなたが言っていることは、何一つ理解できない。卵くらいしか、私たちは知らない。」
「いいから、食え。」
「いや、私たちは、どのスプーンを使えばよいのですか?」
「目の前のやつだ。」
「いや、これは、ブレサイト鋼で、作られていませんか?」
白金に鈍く光るスプーンを手に取る。
「あぁ、そんな名前だったかな。細かいことはいいだろ。せっかく作ったんだから、食べろよ。」
震える手で、オムライスを食べ始めた。最初は、恐る恐る口にしていた様子だったが、今は夢中で食べていた。
「大変おいしかったです。」
「それは、よかった。腹も膨れたところで、今から、お前たちの中で、一人を解放するが、その王子とやらに、報告しろ。そっちに行くから、今回の件のについて、話を聞きたいって伝えろ。」
4人は、頷いた。俺は一人を塀の外まで連れていき、
「ちゃんと報告しろよ。都合のいい情報だけを伝えれば、話はこじれるぞ。」
「分かりました。それでは、行ってきます。」
そいつは、闇に消えていった。
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