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【連載】異世界における特異点  作者: とぐさ
第一章 今より少しマシな未来へ
3/47

03 洞窟探検隊

改稿版

 水を確保できた事に彼は安心を覚えた。食料も今のところ森の野菜で何とかなる。


 こうなると、次は寝床の確保をしたい。マップを見ても、人里らしきものもない。そもそもこのマップはどこまで表示してくれるのか。既存の情報が表示されているならば、現実と差異はないのか?


 考えれば、疑問は尽きないが、それよりも今は寝床の確保、肉を食べたい欲求が彼を突き動かしている。


 川を中心に辺りを探索する。

 水を確保するまでは避けていた気配。たぶん、モンスターだろうと様子を窺うと、自分の3倍以上はあろうかというモンスターを見つける。


 HUD:

 『土猪クレイボア

  ☆草食。

   極めて獰猛。

   肉、皮、牙が素材

   食用可。肉は大変美味。

   この世界では中流層が主に食べている。


 悠弥は心の中で歓喜した。


(にくぅぅぅ!肉だ!)


 茂みから慎重に様子を窺い、タイミングを見る。

 クレイボアは地面の匂いを嗅いでいる。たぶん、餌を探しているのだろう。


”風刃”


 ドサッとクレイボアの首が落ちた。

 風の魔法は視覚的に認識しにくいため、狩りには最適だった。


 悠弥は、肉だ!と浮かれていたが、重要な事に気付いた。


「どうやって持っていこう、、、」


 HUD:

 『身体強化ブースト

 ☆身体能力を向上させる。この異世界のものとは異なる。

  性能は魔力に依存する。


「マジかよ。人力なのか。なんかもっと無いのか?インベントリとかアイテムボックス的な何かは。」


 HUD:

 『空間収納ボックス

 ☆別の空間にアイテム・素材を収納できる。

  空間内時間停止。容量は魔力に依存する。


「それだ!あるじゃねぇか。これだよ、これ。異世界の定番だよな。」


 ボックスの性能確認し、クレイボアを収納する。


「これで食材の確保も楽になったな。」


 そこからの彼は食材集めに没頭した。


「クズイモに、黒コショウ、カラミ草、ネリカラ草、ツブカラ草、ホボ草、ネリイモ、、、よく見ると、この森は食材の宝庫だったんだな。」


 すべてをボックスに収納。ただ不便な事はボックス内の数量が分からない事。欠片でも表示上は明記される。


「なんか痒いところに手が届かないんだよな。」


 言っても仕方ないかと探索を進めた。

 寝床を確保できた時にと、風刃で木を伐採し、ボックスに入れていく。容量は魔力に依存するとあるが、自分の魔力がどれ程か分からないので、試しに入れてみたら、驚くほど入っていく。


 川に戻り、水を入れようとしたが、それは入らなかった。


「液体は無理か。容器が必要って感じだな。」


 水まで入ったら便利だと思ったが、そんなに甘くはなかった。


 夕暮れを迎える頃、悠弥は洞窟を見つけた。

 川から西へ少し離れた場所に崖らしき地形があったので、もしやとは思っていた。


 中を覗くとそこは幅5メートルほど、高さは3メートルほどだろうか。

 奥は光が届いていないせいか見通せるものではなかった。


「気配察知と危険察知に反応はないな。」


 慎重に中に入ると、HUDの地図が洞窟の中を表示した。


「おっ、結構深いのか。マップ表示されるだけでもチートって事か。」


 HUD:

 『地図が更新されました。』


 便利な機能だ。自信の魔力を放出して、周りの地形を把握、更新してくれるスキルらしい。

 洞窟内に気配がなかったため、入り口に大量の丸太を積み上げ、敵の侵入を警戒。


 もう外は暗くなっていたため、寝床作りは明日にしようと、岩壁にもたれ掛かり、久しぶりにぐっすりと眠ることができた。


 翌日、陽が昇り切る前に目が覚めた悠弥。

 今日はどうしてもやりたいことがある。


 それは、肉を食べる事だ。

 だが、それには一つ問題があった。


 動物の解体はできるのだろうか?


 前世でキャンプをしていても、食材はスーパーなどで購入しているため、やった事はない。

 ものは試しと、クレイボアを出し、解体しようとするが何から手を付けたらいいか分からない。


 HUD:

 『クレイボア/解体』

 ☆そのままの状態でも食用可能だが、血抜きを行わない場合は衛生上問題が発生する場合があり、推奨しない。巨躯のため、血抜きが完了するまでに6時間が必要。


 彼は膝が折れた。


「マジか、、、精肉店の人って、こんな事やってんの、、、機械化されてても、大変なんだな。」


 クレイボアの血抜きは、内臓も処理する必要があるとHUDが教えてくれたため、再度ボックスに収めた。


 であるならと、寝床を作り始めると、HUDがスキルを表示する。


 HUD:

 『全生産・製造』

 ☆解体、料理、鍛冶、縫製、錬金、彫金、調薬、

  建築、建設、農業、林業、工業、鉱業など。

  レシピ、設計図を作成・理解可能。


 『生産適性』

 ☆生産・製造に必要な時間を短縮できる。作業を最適化する。


 表示された瞬間、ベッドの作り方が脳内に浮かぶ。さっきやろうとしていた解体手順も手に取るように理解した。

 このスキルにより、生産と製造を効率よく進める事が可能となった。


「マジか、、、」


 驚愕するしかなかった。そのスキルのおかげで、今できる簡易的なベッドが完成する。少し太い枝と蔓でできたベッドだったが、今は十分だった。


 次は川に向かい、手ごろな大きさの石を集め始める。

 石を見つめると、その情報が表示されるため、比較的簡単に石器を作ることができた。


 手斧と石ナイフをいくつか手に入れた彼は、洞窟前に戻る。


 手ごろな太さの枝を探し、そこにクレイボアを吊るし、解体を始めた。

 最初は少し躊躇していたが、やっていみると意外にもそのグロさにストレスを感じる事はなかった。

 たぶん、何かのスキルのおかげだろうと気にする事をやめた。


「でも、食べれるのは夕方なんだよな。」


 まだHUDの時刻は昼前である。


 また野菜中心の生活かと辺りを探索していると、獲物を見つけた。


 HUD:

 『土竜鳥ドリルバード

 ☆草食。

  臆病。

  羽根、肉が素材。

  食用可。

  嘴がドリルのように旋回し、敵が来ると地中に潜って逃げる。


「ドリルバードか。食用可か。まあ、鳥だろうな。」


 風刃ですばやく処理し、収納する。

 その後も、”桃兎ラブラビット”や””鎖蛇フレイルスネーク”といったモンスターを見つけ、狩りを行った。


 HUD:

 『桃兎ラブラビット

 ☆草食。

  臆病。

  肉・皮が素材。

  食用可。肉は大変美味。

  攻撃性はない。薄い桜色の毛皮が高級素材。


 『鎖蛇フレイルスネーク

 ☆肉食。

  獰猛。

  肉、皮が素材。

  食用可。

  尾に無数の棘が生えており、体の柔軟性を利用して振り回し、攻撃してくる。


 昼を少し過ぎたころに洞窟に戻り、獲物を処理していく。

 幸いにもドリルバードの処理は簡単で20分程度で食べれるまでに処理できた。


 薪になりそうな枝を集め、焚火を起こす。ファイアでは火力が強すぎたため、生活魔法と名付けた『着火イグ』という魔法を創造する。


 HUD:

 『魔法体系化』

 ☆攻撃魔法/生活魔法を体系化。脳内辞書に自動で追加される。

  リスト化。


 素焼きではあるが、彼にとっては何日ぶりかの肉である。格別に美味しく感じていた。


 昼からは、木材の加工をメインに行った。木材の加工には風魔法を利用した生活魔法『風鋸ソー』を作る。

 この魔法で石器がいらなくなったと思ったが、細部の加工に向いていなかった。


 金属がないため、釘やネジがいらないよう木材を加工し、棚などの組み立てた。


 水を入れるための容器も作成。

 森に耐水性の樹液を発見したため、それを内部に塗布し、水を持ち運べるようにした。


 あれこれやっている内に、洞窟には入り口に壁や扉が設置され、それとなく生活ができるようなスペースへと変わっていた。


 時刻は夕方になり、クレイボアの解体も終わる。ボックス内は時間が停止しているため、食材が腐敗する事はない。これは非常にありがたい機能だった。


 夕飯も済ませ、ベッドに寝転がり、明日は何をするかなどと考えているうちに悠弥は眠りについた。


 翌日、目が覚めた悠弥はボックス内を確認していた。

 

 食料も確保できた。水も十分にある。それならばと、彼は洞窟の奥に行くことを決めた。

 洞窟内はマップで表示されているので、迷う事はないが詳細に描かれてはない。


 もし、ダンジョンや迷宮などが存在する場合を考えて、少し慎重に進む必要があった。

 感覚的なものでしかないが、マップからすると一キロメートルはないと思いたい。


 しばらくは何もない岩肌が続く。その先は光が届いていないため、確認できない。

 生活魔法『燈火ランプ』で視界を確保する。

 詠唱魔法を取得できたおかげか、イメージが簡単に魔法にできる。


 マップを確認しながら、徐々に奥へと進んでいくと、袋小路に入った。燈火の光を強くすると、部屋全体が明るく照らされる。


「綺麗な石だな。」


 そこにはピンクに輝く半透明の鉱物があった。


 HUD:

 『岩塩』

 ☆塩が結晶化した鉱物。

  以前は海だった可能性がある場所で採掘できる。

  周辺の環境で変色する。


「これは助かる。周辺の環境で色が変わるってのは、どういう事だ。」


 HUD:

 『ピンク色の岩塩』

 ☆周辺に鉄分を多く含む環境が存在する可能性がある。


「鉄があるのか。」


 岩塩をボックスに収納し、周辺を調べていると、HUDが反応した。


 HUD:

 『生産/採掘/探査エクスプロア

 ☆生産製造スキルの一つ。魔力を使い、周辺にある金属を探し出す。


「やってみるか。」


 (”探査”)


 体から何かが抜けていく感じがする。


「おっ、ここか。でも、岩を手で砕くのか、、、」


 HUD:

 『生産/採掘/掘削ディグ

 ☆生産製造スキルの一つ。任意の鉱物を掘削する。


「もう何でもありだな。」


 順調に掘り進めると、そこに鉄鉱脈があった。


「これで石器とはおさらばだな。」


 探査と掘削で、大量の鉱石を収納していく。

 HUDの時刻はまだ10時を過ぎた所だ。悠弥は少し休憩を入れ、また洞窟内の探索を続ける。


 少し奥に進んだところで、気配察知に反応があった。

 燈火の光が届いていない場所をよくみると、


 HUD:

 『大蜘蛛おおぐも

 ☆雑食。

  非常に狡猾で残忍。

  粘着糸が素材。

  獲物を糸で絡めとり、溶解性の唾液で溶かし、食べる。

  粘着糸は煮る事で粘液が除去できる。

  粘着糸は非常に強靭。難燃性。

  一定の保温効果がある布の素材に適している。


「モンスターか。気配察知の範囲もそれほど広くないって事か。」


 大蜘蛛の強さはそれほどでもなかった。動きが遅かったため、風刃で一撃だった。


「これは俺が強いのか、モンスターが弱いのか分からないな。」


 比較対象が自分しかいないため、その判断は難しかった。

 途中、”鎧百足センティ”、”火蝙蝠フレイムバット”、”孤狼蟻ロンリーアント”などのモンスターに出会ったが、それほどの苦労はしなかった。


 HUD:

 『鎧百足センティ

  ☆肉食。

   獰猛。

   外殻が素材。

   食用不可

   非常に強固な外殻を有する百足である。

   防刃効果が高い。


 HUD:

 『火蝙蝠フレイムバット

  ☆雑食。

   臆病。

   皮が素材。

   食用不可

   赤い蝙蝠。皮は防火性に優れている。


 HUD:

 『孤狼蟻ロンリーアント

  ☆雑食

   慎重。

   外殻が素材

   食用不可

   蟻には珍しい群れない蟻。強力な顎と蟻酸で攻撃してくる。

   外殻は強固で、鉄と同程度の硬度を持つ。


 そして、この洞窟は岩塩が非常に豊富で、どれだけ収納したかも忘れるほど存在していた。

 鉱物の種類も多数存在し、価値は分からないが、相当量を確保できた。


 時刻は昼休憩を挟み、16時だった。


「そろそろ戻るか。」


 帰り道は楽なものだった。

 洞窟を半分探索しただけで、多くの素材が手に入った。鉄はもちろんの事、金や銀、銅もあった。この世界特有の鉱物も発見している。


 特に多かった鉱物が”イビルライト鉱石”、”ブレサイト鉱石”、”ディバネイト鉱石”の3種類だった。他にも希少な金属と表記してあったものもあったが、使えそうな量が取れたわけではない。


 HUD:

 『イビルライト鉱石』

 ☆深紅に輝く性質を持つ。

  見た目から悪魔の瞳のようだとされた事から、その名がついた。

  加工は難しくないが、産出量が少ないため、高価で取引されている。

  呪詛と相性がいい。


 HUD:

 『ブレサイト鉱石』

 ☆白く輝く性質を持つ。

  神の祝福を受けたとされる金属。

  加工は難しくないが、産出量が非常に少ないため、非常に高価である。

  祝福と相性がいい。


 HUD:

 『ディバネイト鉱石』

 ☆黒く金色に輝く性質を持つ。

  魔力を通すと黒金色に輝くため、その名が付いた。

  割りとよく発見されるが、加工が非常に難しく、市場に出回る事がないため、

  その価値は非常に高い。

  魔力と相性がいい。



 満足の行く結果に、今日はぐっすりと眠れそうだった。

読んでいただきありがとうございます。


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