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火車轟

-火車自室-


 彼には火の魔法に適性があると判断され、訓練を続けていたが、彼の性格を考えるとそれも長くは続かなかった。


「けっ、なんだってんだよ。早く俺を外に出せよ!」


 火車は興奮を抑えきれなかった。日本では素行の悪さから、親からも見放され、喧嘩に明け暮れる日々。

 しかし、この世界に召喚されてからは、自分に力があると分かり、その強大さに誰も逆らえない。


 彼にとって、ここは天国のような世界だった。


 ドアをノックする音が聞こえる。


「あぁ?誰だよ。」


 部屋に修道着を着た女性が入ってくる。


「火車様、お風呂の用意ができました。いかがされますか?」


「そうかよ。じゃぁ、今日はお前が一緒に入れ。」


「かしこまりました。」


 そう、彼は女性に溺れていた。この世界に来て、彼が最初に望んだものが『女』だった。


 そして、彼は毎晩、女性を呼び出しては、一夜を共にしていた。



-枢機卿・屋敷-


 セイルと騎士団長が何やら話している。


「今日も彼は女性を望んでいるのかね?」


「はい。順調に溺れております。彼は元々素質があったのでしょう。」


「勇者と言えど、快楽の罪悪には勝てぬか、、、」


「しかし、問題もよく起こすため、もう少し自制はしていただきたいと思います。」


「それは君たちに任せる事としよう。扱いやすくて助かる。」



-大聖堂・廊下-


「おい、今日も用意できてるんだろうな?」


 火車が少し後ろを歩く、お世話係の女性を見る。


「準備できております。今宵は私が火車様のお相手をさせていただきます。」


「いいねぇ。分かってんじゃねぇか。」


 火車は女性の胸を触る。


「ここではおやめください。ここは神聖な大聖堂。このような行為は神が見ておられます。」


「うるせぇ、俺は神なんざ知らねぇんだよ。なら、早く来いや。」


 彼は無理やり彼女の手を引く。


「轟!何をやっている!」


 剣崎が火車の腕を掴む。


「あぁ?てめぇに名前を呼び捨てにされる覚えはねぇ。黙ってろ。俺は今からこの女を抱くんだよ。」


「女性をそんな風に扱うんじゃない。」


 火車は剣崎の手を振りほどこうとするが、力に差がありすぎるのか自由にできない。


「剣崎様、これは私が決めた事ですので、どうかご容赦くださいませ。」


「はっ、どうだ聞いたか?この女は俺に抱かれたいだとよ。」


 剣崎は腕を離した。


「お前も素直になれよ。この世界じゃ、力が全てだ。女でも金でも全部思い通りだ。いいぞぉ、女の体はよぉ。」


 耳元で囁く火車に、怒りを必死に抑える剣崎。

 今の剣崎に、火車を止める勇気も理由も持ち合わせていなかった。

読んでいただきありがとうございます。


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