慈愛の覚醒
-霧島自室-
「私は悪くない、、、私は悪くない、、、」
ベッドの上でうずくまっていた。
「何、、、何が起こったの、、、私は何もしていない。」
自問自答しているが、答えが出るはずもない。
しばらくするとドアをノックする音が聞こえる。
「・・・」
彼女は今、誰とも会いたくなかった。
「霧島様、コール・ザイナーでございます。」
ザイナー家当主コールだった。彼は教皇派に身を置く大司教だ。
しばらく返事を待ったが、静かにドアが開く。
「失礼かと思いましたが、入らせていただきました。」
霧島は、コールを睨むように見つめる。
「少し前、報告を受けまして、その事について、お話を伺えたらと、、、」
「私は悪くない。何もしていない。あの人が私に迫ってきて、、、」
混乱する彼女を、コールは優しく宥める。
「心配されるような事は何もありません。私は貴女の味方です。ゆっくりで良いのです。何があったかお聞かせ願いますか?」
コールは彼女に落ち着くよう深呼吸を促し、ようやく口を開いた。
「お風呂の脱衣所で、男の人が入ってきた、、、私の着替えを手伝うと、、、」
コールは、優しく相槌を打つ。
「抵抗したんですが、男性の力に勝てず、彼が私の腕を、、、」
霧島は、言葉を失った。それを埋めるようにコールが続ける。
「その時に不思議な現象が起こったのですね。」
彼女は頷いた。しばらくコールは考えたあと、
「それは慈愛の力ではないかと思います。」
「で、でも、、、」
「はい。貴女が聞かされた慈愛の力は『治癒能力』だと思いますが、私が持つ古い文献には、慈愛の力は、自分の生命力や活力を糧に、生命を『創造再生』する力だと記されています。」
「そんな、、、」
「そんなバカげた力があるはずはない、、、と思いますか?」
「分かりません。」
彼女は、下を向く。未だに魔法やスキルを信じられず、脱衣所の力も自分の意志でやったことじゃない。と思っている彼女にとって、この世界は全てが信じられない思いでいた。
「今は信じられないかもしれませんが、私はずっと貴女の味方でいます。困った時は私を頼ってください。」
そういうと、彼は部屋から出ていった。
「!?」
コールが出ていく姿を目で追っていた霧島は、彼が座っていた椅子に何か落ちている事に気が付く。
彼女が拾うとそれはメモだった。
”枢機卿を信じてはなりません。いつの日かユウヤと呼ばれる青年が現れます。それを待ちなさい。”
(これって、盗聴されているから、メモってこと?)
彼女はそのメモをそっとポケットにしまった。
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