勇者たち
召喚の儀。この世界の理とは違う世界から、対象を顕現させる儀式である。
顕現した対象が命ある者ならば、恩恵と呼ばれる強力な力を授かる。
武器や道具の場合は、強力な効果を持つ。
しかし、その代償は大きく。その犠牲によっても効果は異なるため、頻繁に実施する事ができない。
-ブレイン聖国・大聖堂召喚の間-
「こ、ここは、、、」
ここに4人の男女が召喚されていた。
「よくぞ、召喚に応えてくれた。」
この男はブレイン聖国枢機卿セイル・フォルトナーである。
「召喚!?それって、アニメとか漫画とかにある?」
黒髪の青年が答える。
「貴殿らは、この世界の秩序を守るために、神の御業により召喚された勇者なのです。」
「俺たちが勇者だって?何の冗談を言ってんだよ!」
赤髪の男は、セイルに殴りかかったが、周囲にいた兵士に簡単に取り押さえられた。
「くそ!離しやがれ!」
赤髪は往生際悪く暴れている。
「今を見ても分かる通り、貴殿たちは勇者として、召喚されているが、その力はまだ発揮するに至っておらん。」
セイルは少し威圧するかのように、4人を見た。
「では、私たちは何か特別な訓練や経験を積めばいいのですか?」
蒼い髪の青年が口を開いた。
「そう焦らずとも、まずは貴殿らの名前を教えてもらえぬか?それも分からぬまま、信頼は築けまい。」
確かにそうだと、青年たちは自己紹介を始める。
黒髪の青年は剣崎優20歳、
赤髪の青年は火車轟19歳、
蒼髪の青年は氷坂凍19歳、
濃紫髪の少女は霧島希愛18歳。
それぞれ日本から来たという事だ。
「私はブレイン聖国枢機卿セイル・フォルトナーです。どうか勇者どの、この世界に秩序をもたらし、平安の世を築くために協力願いたい。」
セイルが頭を下げるが、火車が食い下がる。
「勝手な事言ってんじゃねぇよ。俺たちに何のメリットがあんだよ!えぇ?」
横柄な態度に兵士が構える。
「言いたい事は分かります。召喚した事はこちらの都合。出来る限りの配慮はさせていただく。どうか協力してくれまいか?」
セイルは冷静に説得を試みている。
「セイルさん、僕たちが帰ることはできますか?」
剣崎の質問に、セイルは難色を示す。
「言いにくいが、それは難しいと言わざるを得ません。世界が混沌に陥っている今、貴殿らを元の世界に帰すだけの魔力が集められないのです。」
「では、世界が平和になれば、それが叶うと言う事ですね?」
「確約はできませんが、魔力を集めやすくなりますので、送還の儀を行うことは可能かと、、、」
セイルの態度は怪しいものだったが、今、この場にいる者に分かるはずもなかった。
「火車くん、ここはひとつ世界平和のために、協力しようじゃないか。それが帰れる事にも繋がるみたいだし。」
「はぁ?気安くするんじゃねぇよ!」
「私は剣崎くんの意見を尊重する。今、出せる最適な案だと感じる。」
氷坂は、剣崎に賛成のようだ。
「わ、私は、、、」
男性3人とは対照的に、霧島は内向的な性格のためか、はっきりしない。
それでも、話は進んでいく。
「では、皆様には大聖堂に個室を用意しておりますので、今日はゆっくりと過ごしていただきたい。何かあれば、側付の者に申してくだされば、出来る限り応えましょう。」
4人はそれぞれの思いはあるものの、それを胸に抑えつつ、その日を過ごした。
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