03 お転婆王女オルリベイラ
とうとう見つかってしまった悠弥
森で生活して、しばらくが経ったころ、事件が起こった。ベッドで寝ていたが、気配察知に反応があった。しかも、1つ2つじゃない。いつもなら、モンスターかと気にならないけど、今回は、すごい数の気配を感じる。
外に出ると、塀の向こうがざわざわしていた。なんか面倒に巻き込まれる予感しかしない。
潜り戸から、外に出ると、フルプレートの兵士がズラリとならんでいた。
「貴殿が、この砦の主か?」
「砦じゃなくて、家です。」
「陛下より、この砦の主は、城に参上せよとの王命である。」
面倒ごとだった。
「嫌です。用事があるなら、そっちから来てください。」
「貴様、不敬罪であるぞ。」
「不敬罪なら、俺を捕まえるか?」
兵士が剣を抜いた。
殺しちゃまずいよなぁ。俺はボックスから、刀を出した。
「今なら、まだ罪には問わない。おとなしく来い。」
「何回も言うけど、用があるなら、そっちから来てください。丁寧に言ってるうちに、退いたほうが身のためですよ。」
帰ってくれ。
「ならば、仕方ない。貴殿を拘束し、城へ連行する。かかれ!」
兵士が一斉に掛かってきたが、俺は刀で横薙ぎ一閃。
「ぐわぁ!」
兵士たちが勢いよく吹き飛んだ。
「鞘から抜いてないだけ、優しいと思ってくださいよ。」
「貴様!」
隊長らしい兵士が、飛び掛かってきたが、腕を掴んで、そのまま投げた。兵士は地面に叩きつけられ、悶絶している。
「早く持って帰って。ほら、行った、行った。」
俺が手を振ると、兵士たちは、帰っていった。
それからしばらくは、平穏無事に過ごしていたが、1ヶ月が経った頃、またやつらはやってきた。俺は、門の前で、待っていた。
「また懲りずに来たんですか?」
「何を無礼な!」
「無礼はそっちでしょう。」
兵士たちは、俺の前で止まる。後ろから、豪華な馬車が来た。また面倒事だよ。
馬車のドアが開き、そこから出てきたのは、俺と二回りほど違うかと思う少女だった。
「セルザイン王国、オルリベイラ・クィン・セルザイン王女殿下である。」
兵士たちが跪いている。
今度は、何?
「あなた、跪きなさい。」
何か言っているが、
「あなたです。聞こえないのですか?」
俺か?と指をさす。
「そうです。あなたです。」
「なんで?」
「なんで?私が王女だからです。」
あー、この世界って、貴族とか王族とかある世界だった。
「嫌だよ。俺は別にあんたの国の国民じゃないし、あんたたちの助けがなくても、別に困らねぇよ。」
「貴様!殿下に向かって、何という無礼!」
「だから、あんたらの国民じゃないって。」
「まぁ、いいでしょう。」
王女が前に出る。
「殿下、危険です。」
兵士が、王女を止めようとしている。
「下がりなさい。前回は、こちらが先に剣を抜いたと聞いています。」
「そ、それは、、、」
「私の影が、間違った情報を私に報告したとでも?」
「くっ。」
兵士は、苦虫を嚙み潰したような顔をしている。
「あなた、お名前は?」
「悠弥、時任悠弥だ。」
「悠弥、家名をお持ちなのですね。」
さらに近づいてきた。
「悠弥が名前だよ。」
「これは失礼。時任、今日は、あなたと話し合いに来ました。」
「脅迫の間違いじゃないのか?」
「いえ、どこかお部屋を用意してくださるかしら?話し合いは、私ともう一人の3人でいたします。」
王女は、後ろにいたもう一人の兵士を指さした。
「殿下、危険すぎます。」
兵士が止めたが、
「黙りなさい。先に礼を欠いたのは、こちらです。」
「じゃぁ、ついてきてくれ。」
俺は、潜り戸から、王女とその護衛を通した。
「時任、この部屋は何なのです?」
「別に普通の部屋だ。応接室ってところか?」
王女は、珍しそうに部屋を見渡す。
「見物してるとこ申し訳ないけど、さっそく話し合いを始めたい。」
「これは失礼。」
3人はソファに座る。
「ふかふかですわ。」
王女は、驚いているようだった。前世の常識で作ったソファが、この世界のどのレベルかが分からないな。王女の様子から、相当のレベルなのは分かる。
「時任、率直に聞きますわ。私の臣下になりなさい。」
どうも、王族とか貴族ってやつは、上からものを言わないと、気が済まないらしい。
「断る。」
まさか、断られると思っていなかったみたいな顔をしている。だが、”あっ”と思いついたような顔で、
「臣下というのは、私、直属の臣下です。父上にも何も言わせませんわ。」
勘違いしている。
「そうじゃない。俺は誰にも従わないって話をしてるんだ。」
「なぜですの?」
マジで分かってないのか。
「脅すつもりじゃないけど、昨日の事をどう聞いてる?誰かに守ってもらったり、助けてもらったりしなくても、俺はこの森で生きていける。」
「そんな人間など、世界におりませんわ。人は誰かと支え合いながら、生活するものです。我ら、王族とて、例外ではありません。国民を守り、国民の税のおかげで生きておりますの。」
どうやら、この国の王族は、思った以上に賢いらしい。
「何をどう言われようと、あんたたちに従うつもりはないよ。」
「では、お友達ですわね。」
はっ?俺がどんな顔をしていたか分からないけど、王女はクスリと笑い、
「何かおかしい事言いましたか?父に会うのもダメ、私の臣下になることもダメ、だったら、お友達しかありませんわ。いかがでしょう?」
「俺にどんなメリットがあるか分からないな。」
「あら、お友達って、メリットがないといけませんの?」
「無茶苦茶なことやってるくせに、正論言うなよ。」
「では、お友達ですわね。今回は、これで帰りますわ。」
王女は、言うだけ言って、帰っていった。イメージしていた王侯貴族と違い、しっかりした人物のようだ。
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