表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載】異世界における特異点  作者: とぐさ
第一章 今より少しマシな未来へ
20/47

20 魔王ガンダル

「話を聞こうか。」


 魔王を上座に、俺たちは座る。さっきまでの魔王とは、少し雰囲気が違う。


「勇者について、どう思う?」


 周囲がざわつく。


「召喚者か。300年前、やつらには好き勝手やられた。先代は、今の我より強かったのだが、その召喚者にあっさりと負けてしまった。あれは、この世界にあってはならん存在だ。」


 相当嫌われてるな。


「その召喚者が、あと数年で現れると言ったら?」


「そのような事が、、、?だが、なぜ貴公がそれを知っている?」


「あんたは召喚者を嫌っているようだから、信用を前提で話す。俺は、あんたの嫌いな召喚者だ。」


「悠弥!なぜそれを!!」


 シイカは慌てる。魔王の側近たちが、武器に手を掛ける。


「やめよ。貴様たちが武器を抜いたところで、あやつに捻られるのがオチよ。我とて、できるなら、今すぐにでも、悠弥の首を撥ねてしまいたい。」


「ならば!」


「やめよと言うておる。魔王の間で起こった事は、我の油断でも慢心でもなく、実力差だ。我には見えなかったのだ。悠弥がその気になれば、この国など、簡単に滅ぼせるであろう。のぉ、悠弥?」


 その問いに俺は応えなかった。


「で、我らにどうせよと?」


「えらく素直じゃないか。」


「ここは魔王国。強い者が全てだ。我は、貴公に従うほかあるまいて。」


 正直に話して正解だった。


「俺たちと協力体制を取ってもらいたい。」


「セルザイン王国とか?元々、交易はしておるぞ。」


「国同士じゃない。魔王と俺とでだ。」


「それは何故じゃ?」


「人払いを頼めるか?」


 魔王は、側近たちに手振りをする。


「しかし、、、」


「よい。そろそろ貴様たちも認めよ。」


「かしこまりました。」




「じゃぁ、見せるぞ。」


 俺はゲートを開いた。


「これは何じゃ?」


「ゲートというスキルだ。俺しか使えないが、ある地点とある地点を繋ぐことができる。」


 魔王は言葉を失っている。


「さすが魔王だ。これが理解できたみたいだな。」


「さすがの我も、100年は寿命が縮んだわ。本当に、貴公しか使えないのだな?」


「あぁ、俺の認識ではそうだ。このスキルを使った疑いのある暗殺とかも聞かないからな。」


「今、貴公を追い出さなくて良かったと、心から思っておる。」


「仲良くなれそうだな。」


「仲良くするしかあるまいて。ちなみに、これはどれほどの輸送が可能か?」


「制限は大きさだけだ。馬車くらいが限界だ。騎乗竜まで大きいと、無理だな。」


「それでも、、、」


「あぁ、それでもだな。だが、これを戦争に使うことはない。さっきも言ったが、俺とあんたとで協力体制を持ちたい。俺はセルザイン王国の国民でも、臣下でもないからな。」


「では、その女は、なぜ付いてきておる?」


「シイカか。俺の妻だ。」


「それは、セルザイン王国と繋がってると同じではないのか?」


「俺も交渉事は、得意な方じゃないからな。狸爺が一枚上手だっただけだ。」


「私はお荷物なのか?」


「そんなことないよ。もう何日も同じ生活圏にいるんだ。嫌だったら、とっくに追い出してるさ。」


 魔王は咳払いを1つ。


「すまん。このゲートは、性能上、行った場所にしか開くことはできない。だから、魔王国に来た。」


「なぜ、そんな回りくどいやり方をする。貴公なら、このスキルと強さを武器に、脅迫でもすれば、良かろう?」


「嫌いなんだよ。今、この世界を戦乱に落としたいやつがいる。このままだと、世界は戦禍に見舞われる。それが気に食わない。戦乱は起きる。だが、クソみたいな未来を、ほんの少しマシな未来に変える事はできる。俺は、そういう存在らしい。」


「分かった。貴公に協力する。」


「そんなに簡単に決めちまっていいのか?」


「貴公は、嘘を言っていない。魔力に淀みがない。それが一番の信頼だ。もし、それを隠せるだけの技量を持ち合わせているなら、我らは既に、この世におらんだろう。」


「そいつはどうも。これを渡しておく。」


 俺は、伝玉を渡す。


「これは?」


「遠くにいても、魔力さえ流せば、連絡が取れる魔道具だ。ここに来る時には、そいつで連絡する。」


「本当に、後悔しないで済みそうだ。」


「喜んでもらえて、良かったよ。じゃぁ、俺たちはこれで戻る。」


「悠弥よ、これでは、我々だけにメリットが大きすぎる。我らに、これに値する魔道具などないが、せめて、受け取ってくれ。」


 魔王が、「サリスフィア!サリスフィア!」手を2回叩いた。


「負け犬お父様、お呼びでしょうか?」


「ぐっ、サラよ。お前は、悠弥と共に行き、彼を支えよ。」


「はい。かしこまりました。」


 はっ?またか。


「ちょっと待ってくれ、別にこれは、俺が勝手にやってることで、対価を求めてるわけじゃない。」


「あら、悠弥と言ったかしら、私は強い男が好き。そして、あなたは強い。これ以上に何か理由が必要かしら?」


 サラは、妖艶に迫ってくる。


「いや、、、ちょ、、、」


「悠弥!」


 シイカが割って入る。


「サラ殿、彼には既に、殿下と私がいる。ここは遠慮願いたい。」


「なぜ?2人も妻がいるなら、私で3人になっても同じでしょ?それとも、あなたは、私に負けるのが怖い?そうよね~、剣を持っているところを見ると、脱いだら、筋肉カチカチで、私のような体じゃないでしょうから。」


「なっ、私だって、体には自信がある!あっ、悠弥、、、今のは忘れてほしい。」


 シイカは、赤面して、黙ってしまった。


「悠弥よ、娘もこう言っておる。まずは、一緒にいてくれるだけで構わん。どうか娘をよろしく頼んだぞ。」


 まじか、、、


「ふふふ、悠弥、絶対にあなたを虜にするわ。」


 シイカは怒っている。俺の脳裏によぎるのは、オリビアの説教だった。気が重い。


「じゃぁ、俺たちは帰るから、何かあったら、連絡をくれ。」


 俺たちは、拠点へ戻った。

読んでいただきありがとうございます。


感想・指摘・アドバイスは大歓迎です。

悪口・誹謗中傷などは、お控えください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ