14 結婚準備
改稿版
王都での騒動が終わり、拠点に戻って来た悠弥。
前世では婚約者に裏切られ、それ以来、恋愛に消極的だったが、それが異世界にて、結婚まで決まってしまう。人生とは何とも不思議なものである。と感じている悠弥。
とはいえ、やはり結婚には色々と準備が必要で、前世同様に結納品やら、金銭が掛かる。
「まずは結納品か、、、モンスターの素材か?」
当初、王国側が考えていた予定では、王都から拠点までの移動で片道一ヶ月掛かる予定だったので、猶予は二ヶ月ある。
悠弥はさっそく森に出た。今までは王都の方面である西側ばかりを探索していたが、東側に強力なモンスターがいるとの事なので、狩りの範囲を広げる意味でも足を伸ばそうと計画した。
その間に拠点の拡張も行わなければならない。100人以上を収容できる大きさが分からないため、木材の調達や設計などもやらなければいけない。
色々と考えているうちに、森の深い場所まで到達した。
気配察知であたりのモンスターを探る。
「でかいな。クレイボアか?」
弓を取り出し、茂みに身を隠しながら、移動する。
HUD:
『獅子竜』
☆肉食。
狡猾、残忍
爪、牙、鱗、皮、内臓が素材
食用不可
竜種。ライオンのようなたてがみが特徴。鋭い爪と牙は脅威。
体表は鱗で覆われており、斬撃、刺突は基本的に通用しない。
魔法も通りにくい。
食事以外で地上に降りてくることは少ない。
悠弥は弓を構える。
-シャンッ-
と矢を放つとライオンヘッドの頭に突き刺さり、モンスターは倒れた。
どうやら、食事中だったようだ。
「ディバネイトの鏃だったら、刺さるじゃないか。試しに撃ってみたが、心配なさそうだな。」
まだ奥に行けると悠弥はさらに奥地に。暗くなれば、ゲートで帰れるため、足取りは軽い。
「距離考えなくていいのは、ありがたい。」
数日を掛けて、森の探索を進める悠弥。
森の奥に進むにつれて、少し温度も下がったに感じる。
「そろそろ山が近くなってきたからか、寒くなったな。」
HUD:
『灰色熊』
☆肉食。
獰猛。
肉、毛皮が素材。
食用可。
鋭い爪と牙で攻撃する。脂肪が多いため、打撃が効きにくい。
HUD:
『灰色虎』
☆肉食。
獰猛。
爪、毛皮が素材
食用不可。
鋭い爪と牙で攻撃する。俊敏性が高いため、注意が必要。
「この森、灰色系のモンスター多いな。何か関係あるのか?」
まだ狩りは終わらない。
ヘイルズ山脈の山肌が肉眼でもはっきりと見えるようになる頃、大型のモンスターに出会う。
「でけぇ、、、」
気配察知に掛かったそれは、竜種だった。
HUD:
『翡翠眼竜』
☆肉食。
温厚。
眼、爪、牙、鱗、皮、レンズが素材。
食用不可。
竜種である。空腹時は気性が荒くなる。
翡翠色の綺麗な瞳を持つ。
体表は鱗で覆われているため、物理的な攻撃は基本的に通用しない。
鱗は白色だが、光に反射すると虹色に光るため、貴族たちの間では
人気の素材になっている。
攻撃方法は眼から取り入れた光を口の奥にあるレンズで光線のよう
に浴びせる。温度は数千度に達する。
「レーザー兵器かよ。」
木の陰から隙を窺う。
(ここか!)
弓を目一杯引き絞り、矢を放つ。
「ピィィン!」
一発で仕留めることは無理だった。モンスターも悠弥を見つけ、
「硬いな。」
モンスターの口が光った。
(やっぱり光線かよ。シールド、、、)
咄嗟に張ったシールドに光線が当たる。
(耐えれるか、、、)
シールドに穴が空いた。
(無理なのかよ!)
光線を躱しながら、少し距離を取る。
(あー、燃えてないだけマシか、、、)
木々が焼き切れていた。
(近接しかないか、、、でも物理に強いってあったからな。)
ものは試しだと、刀を抜き、隙を見て斬りかかった。
「ぴぃぃん!」
-ザンッ-
鈍い音と共に首が落ちる。
「斬れない事はなかったが、だいぶと硬いな。少し前のライオンヘッドと全然違うじゃないか。これは無知なる森か、、、」
竜の鱗を貫通できた理由はディバネイト製の刀だったからだ。
それからの狩りは順調だった。
野菜や調味料の植物の採集も忘れない。
夕日が森を赤く染める頃、
「今日は帰るか、、、」
ゲートで拠点に戻った。
-悠弥・拠点-
翌日、朝食を摂った後、畑の世話をする。
森で採ってきた木材を加工する。ある程度、板材と角材が完成したら、モンスターの解体作業だ。これが一番時間が掛かる。
丸一日掛けて、モンスターを解体してもまだ終わらない。
「とりあえず、食材と素材が高そうなモンスターだけ解体するか。」
悠弥は数日かけて、解体作業を行った。
「さて、そろそろアイテムでも作ってみるか、、、」
悠弥はずっと考えていた道具があった。
「この世界って、通信できるような便利な道具ないよな。」
HUDに図面を起こしてはトレースし、失敗を繰り返しながら、
「出来た!これだよ、これ。」
ディバネイトと魔法石を錬金で合金に錬成し、魔力を流すと、電波?のような波長が出た。それを『魔力波』と名付け、合金を『魔合金』と名付けた。
「で、これをこうして、、、」
魔合金を薄く加工し、球状に丸めていく。そして、プログラミングの要領で識別番号のような魔力を刻み、発信と受信の魔力を刻む。
「これで魔力を流して、言葉をイメージすれば、、、」
”こんにちわ、異世界。”
文字が表示された。
「出来たな。これは、、、『伝玉』にしよう。」
いくつか伝玉を製作し、その日を終える。
次の日は拠点の拡張作業を行った。防壁を西側に大きく伸ばした。
この作業に数日を掛け、結界を張りなおす。
既存の防壁は解体も面倒だったので扉を作り、対処した。
防壁が出来上がると、武器と防具の製作を始める。
久々の狩りやアイテム製作。悠弥はスローライフを楽しんでいる。
時間も忘れて、鍛冶、縫製に没頭した。
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「よし、満足だな。いやぁ、久しぶりにやったな。」
満足いく結果に、悠弥は喜んだ。
「そろそろか、、、」
悠弥はゲートで王都に向かう。
-セルザイン王国王城・応接室-
「そろそろ悠弥が来る頃ではないか?」
バルフェルトがソファで悠弥を待っている。
応接室にゲートが開く。
「お揃いか、、、」
悠弥が出てきた。国王、宰相、王女にシイカと全員揃っていた。
「準備は出来たか?」
バルフェルトが悠弥に問う。彼はゆっくりとソファに座り、ボックスからアイテムを取り出す。
「森の奥に行って、色々と採ってきた。」
テーブルに素材を並べる。
「悠弥、これはジェイダイトアイの瞳ではないのか?」
「そうだな。」
HUD:
『翡翠眼竜の瞳』
☆翡翠眼竜から取れる瞳。綺麗な翡翠色をしている。
魔道具の核として利用されている。
その希少性から市場に出回る事はない。
「悠弥よ、王国への献上品は先の宝剣でよい。王家にはこの瞳で十分だ。」
悠弥以外の全員が瞳に釘付けである。
「そいつは良かった。」
「生きているうちにこの瞳を目にする時が来るとはな。」
「そんなに珍しいのか。」
「当たり前だ。ジェイダイトアイの討伐など、勇者が討伐して以来、記録が残っておらん。」
「満足してくれて、良かったよ。」
バルフェルトは瞳をジャスタに宝物庫に保管するよう指示を出し、次の話題に移る。
「次はシイカ嬢のベント家への結納品だが、彼女の家は武家の名家だ。何か武器か防具がよいと考えるが、あるか?」
「色々と用意はしてきたが、どれがいい?」
武器と防具を並べる。
「またすごい品が出てくるの。どれも一級品であるな。」
一通り見て回る。
「悠弥殿、私の父にはこれがいいと思います。」
シイカが提案したのは、剣身の幅が広い長剣だった。
「重量があるが、大丈夫か?」
「はい。父は元々、大剣を得意としているので、これくらいの大きさだと取り回しも良く、父も喜ぶと思う。以前より、少し小さめの剣を探していましたので。」
「分かった。じゃぁ、それを持って行ってくれ。」
「これで準備は整ったな。結婚の発表はまだ先になるが、その時は悠弥も出席するのだぞ。」
「はいよ。これからもよろしく頼む。”お義父さま”。」
「はっ、心にもない事を。」
二人は握手を交わす。
「よし、次は引っ越しであるな。」
「それだが、オリビアとシイカはゲートで移動させようと思うがいいか?」
「それは良いが、荷物はどうする?」
「俺のボックスで運ぶさ。どこかに集めておいてくれ。」
「承知した。では、訓練場を封鎖して、そこに荷物を集めておこう。戦乙女たちは執事、侍女たちと一緒にギルベルトに送らせる。それでよいな?」
「分かった。あと、これを渡しておく。」
悠弥は伝玉を渡す。
「これはなんだ?」
「これは”伝玉”っていう魔道具だ。」
「貴公は魔道具まで作れるのか?して、その効果はなんだ?」
「魔力を流しながら、イメージした短い文章を送る事ができる。これで簡単な情報のやりとりなら、時間差なくできるはずだ。」
バルフェルトは天を仰ぐ。
「悠弥よ。貴公はまたとんでもない代物を作ってくれたな。」
「そうだろ?」
「分かっておるならよい。」
悠弥は伝玉の使い方を説明する。
「ジャスタ、これは私と二人だけの機密事項とする。よいな?」
「もちろんでございます。これは世に出しては、戦乱が起こりましょう。」
「こんなところか?」
「いや、まだある。貴公に屋敷を用意した。」
「えっ、、、やめてくれよ。俺はこの国に仕える気はないぜ?」
「それは分かっておる。ただ、王城に来るにあたって、毎回応接室ではこちらが困る。王都に屋敷を持ち、そこから登城せよ。」
「そういう事か。分かったよ。このあと見に行ってみる。俺のゲートは一度行った場所しかいけないんだ。」
「準備は出来ておる。」
「これで済んだかな。じゃぁ、屋敷に行くとするか。」
悠弥とオリビア、シイカは屋敷に向かう。
「ふぅ、、、毎回、悠弥には驚かされるな。」
「本当でございます。」
バルフェルトとジャスタは肩の荷が下りる。
「この伝玉という魔道具、これだけでも国益にどれだけの影響を及ぼすか、、、」
「私もそう考えます。ただ出てきてしまったものは仕方ないかと、、、ゲートよりはマシと考える事としましょう。」
「どちらも変わらんわ。現状、ゲートは使い手が悠弥しかおらん。あやつさえ暴走しなければ、問題はない。しかし、伝玉は魔力さえあれば、連絡できてしまう。どちらも世界を揺るがす事に変わりはない。」
「もしかすると、世界は変革の時期を迎えているのかもしれませんね。」
「これも女神ミーシア様の思し召しか、、、だとすれば、私の肩には少々重すぎるな。」
「陛下だからこその女神様の御意志ではないかと、、、」
「女神様の期待に応えるよう努力しよう。」
「よい心掛けかと、、、」
「ふん、言い寄るわ。」
世界を揺るがす秘密を二つも抱えた二人は、不安と興奮のあまり数日の間、眠れなかったという。
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