10 一件落着ってわけにはいかないか
俺は、王の間を出ようとした時、
「悠弥よ。」
バルフェルトに止められる。
「息子のことは、これで済んだとして、王城を破壊したことは、済んでおらんぞ。」
えっ、、、
「聞くところによると、我が国の臣民ではないと言うではないか?そうなると、目をつぶってやる事もできん。」
バルフェルトは、悪戯っぽく、ニヤつく。狸爺め。
「なんだ、金があればいいのか?」
「そうだな、この被害状況だと、ジャスタ!」
「はっ。」
なんか委員長みたいなやつが出てきた。
「そうですね。今回の、、、ここが、、、特にひどいのが、、、」
何かを計算している。
「これくらいになろうかと、、、」
それを見たバルフェルトは、膝から崩れ落ち、
「おぉ、こんなに被害が、、、これでは国が傾きかねん。臣民に、どう説明すればよいのやら、、、」
などと、三文芝居を繰り広げる。「陛下、お労しや」などと、ジャスタも涙を拭く芝居をしている。
「ふぅ、、、ジジイ、今回は騙されてやる。何が欲しいんだ?すぐに取ってくる。」
「そうだな~」
バルフェルトは、チラチラと、オリビアを見ている。彼女は、ハッとして、俺の前に来た。
「お父様、この被害のすべてを悠弥さまが、負うことは、非常に重いと思われます。」
”さま”って言ったな。いい予感がしない。
「そこで、私が悠弥さまの元に嫁ぎ、王族と繋がることで、相殺といたしましょう。」
はっ?
「おぉ、それは良い案だ。ワシも娘の婿とあらば、容赦せざるをえん。オリビア、苦労を掛けるのぉ。」
「お父様~。」
いい加減にしろ。
「ちゃんと金は払う。だから、オリビアにそんな事をさせなくていい。」
俺の言葉に、バルフェルトは、急に真顔になる。
「悠弥よ。別に無理強いをするつもりはない。だが、私とて、木の股から生まれたわけではない。オリビアはおぬしを慕っておる。父親として、娘の幸せを願っておる。」
「本音は?」
「甘やかしたおかげで、お転婆になっていまい、嫁の貰い手に困っておる。」
スパーンっと、気持ちのいい音がする。オリビアが、ハリセンでバルフェルトを叩いていた。どっから出てきた。
「お父様!」
怒っているけど、そういうとこだぞ。国王を叩くやつがあるか。
「悠弥。」
オリビアが、しおらしい態度で、言う。
「私は、あたなをお慕いしています。どうか、そう邪険にせず、、、それとも私は、あなたの妻としては、不服でありましょうか?」
その表情は、卑怯だな。
「分かったよ。」
オリビアは、抱き着いてきた。
「ジジイ、満足か?」
「満足した。これでおぬしは、無罪放免。娘の幸せも叶え、完璧な父親じゃ。」
「言っとけ。」
全面戦争まで覚悟していたが、今回は、これで良しとするか。
「悠弥。これで私とあなたは、夫婦です。よろしくお願いしますね。」
これからが思いやられる。
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