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第十四殺

 グリフォンを倒し、登山を再開して30分ほどの時間が経ったとき俺たちはあるものを見つけた。




「見つけたのは良いけど、これ入って大丈夫なやつか?」




 俺たちが見つけたのは古い小屋。この小屋は、《鷹の目》が進化していなければ見つけられなかった。何せ、この小屋には結界の様なもので全く見えなくなっていた。それを《空獣王の瞳》の技の中心を見破る能力で赤く光る、結界の中心だけが見えてしまった。そして弓を使って撃ち抜こうとした。だが、この結界は破れなかった。それでもあきらめずに《空中床作成》で飛び上がって《月狼流:溜光貫手》を使ってやっと壊すことに成功した。そして現れたのがこの小屋というわけだ。




「多分いいと思うけど、もしかしたら誰か中にいるのかも」




 確かにそうかもしれないな。しかし、わざわざ結界でこの小屋を隠してまでここに住んでいる人はどんな人なんだ? 何なら、人ですらないかもしれない。




「仙人みたいな人が住んでたりするかもな」




 俺が冗談めかして言うと、トゥルムも笑って言葉を返してきた。




「確かにそうかもね。それか隠居してるお国の偉い人かもね」




 どちらにしろ、2人のイメージは白い髪に白いひげを生やした老人の姿だ。しかし、そんな2人の予想は裏切られることになった。




「さっきから何人の家の前で話し込んでいるのであるか。それに、よくここの結界を破壊したであるな。どっちであるか?」




 俺たちが笑っていたら、小屋の中から特徴的な喋り方の1人の男が出てきた。身長は俺より少し高いくらい。多分180センチピッタリぐらい。そしてその見た目は、予想していたものとは違う。それどころか真逆だ。老人ではなく、見た目は間違いなく若者。そして、その見た目にそぐわない存在感。その存在感は長い人生を経験してきた者のそれだ。そんな、ちぐはぐな人物に俺たち2人は少しの間固まってしまった。それにこの男が纏う空気感は俺の勘がなまっていなければ恐らく……。




「……すまなかった。結界を破壊したのは俺だ。俺はシャロード。こっちはトゥルムだ。それであなた……いや、あなたたちは?」




 トゥルムが横で小さく礼して、目の前の男とその後ろの扉の影に隠れている人物に目を向けた。




「なるほど。グリフォンの奴の瞳を持っているのであるか。それなら納得である。私はこんな見た目だが年齢は300を超えた超越者の1人である[暗殺者]ヴィルヘルムである」




 ふむ。超越者とは聞いたことのない単語だな。そして何より、暗殺者という言葉が出てきた。やはりヴィルヘルムは俺と同業者だったわけだ。見た目が若いのに300歳を超えているというのはなんだか納得できた。でなければこんな存在感と風格が備わるとは思えない。




「そろそろ、出て来るであるよ。この2人は大丈夫であろうよ」




 ヴィルヘルムが後ろに視線をやって、やさしく言う。大丈夫とはどういうことだろうか。




「……そうみたい。シャロードは月下の子に祝福されてるから大丈夫……多分。うん。でも隣の子は分からない……」




 恐る恐る、扉から出てきた少女は自問自答するように呟いている。そして、少女の言葉を聞いたヴィルヘルムが俺をまじまじと見てきた。




「おお。気づかなんだ。本当にあの気難しい月下の嬢ちゃんの祝福を受けてるであるな」


「……普通気づく。……私も超越者の1人、[破壊者]セツナ」




 扉の陰に隠れていた人物は完全に小屋から出てきて、名前を名乗った。しかし、扉の陰の次はヴィルヘルムの背中に隠れている。人見知りなのだろうか?いや、もしかするとセツナが人に会いたくなくてあの結界を張っていたのかもしれないな。それにしても2人とも物騒な二つ名の様なものを名乗っているな。




「聞いてもいいですか?2人が言っている超越者というのは?」




 トゥルムが小さく手を挙げて、2人、といっても1人は隠れているからヴィルヘルムに聞いた。




「む?そうであるな。あまり詳しく話してはならんから簡単に話してしまうが、超越者とは人の枠を外れた者たちの総称であるな。付け加えるのならば、超越者へと至った時点でそのものは不老の存在となるのである」




 なるほど、全然説明になってない。人の枠を超えたものというのは、超越者という名前から想像できる。分かったのは不老であるということだけだ。しかし人の枠を超えたとはどういうことだろうか。レベルの最高値を超えたということだろうか。そういえば2人の頭上には名前は出てるがレベルが出ていない。つまりは、そういうことなのだろうか。




「なるほど。それで2人はどうしてこんなところに?それにあんな結界まで張って」


「何、超越者の役目はただ一つである。だが、それをここで明かすことはできないである」




 俺の問いに間髪入れずに、ヴィルヘルムが即答した。今の段階で知ることのできない情報だろう。ゲームを進めれば知ることができるようになるか?




「それよりもである」




 俺とトゥルムが思案しているところにヴィルヘルムが言ってきた。なんだろうか?




「シャロード。お前さんはなんだか私と同じ匂いを感じるのである。どうだ、私に師事してみないであるか?」




『EXシナリオ【超越の暗殺者】が発生しました。受注しますか?Y/N』




 は?いや、いきなりすぎて頭が追い付かない。EXシナリオってなんだよ!ん?これはクエストではなくシナリオ……?2つの違いは何だろうか?しかしこれは逃してはいけない気がする。




「俺でよければよろしくお願いします」




 俺がそう言えば、自動でYが選択された。そして、ヴィルヘルムが俺の左胸。つまりは心臓のある部分に手を当てた。その瞬間、目の前にいつものウィンドウが現れた。 今のはいったいどういう行動だったのだろうか。




『EXシナリオ【超越の暗殺者】を受注しました』


『【称号】《超越者の弟子》を獲得しました』


『【スキル】《限界超越》を獲得しました』


『【称号】《超越者の加護》を獲得しました』


『【スキル】《一意専心》を獲得しました』




超越者の弟子:人間を超えた超越者の弟子である証




 まあ名前の通り、だな。




限界超越:一番高いステータスを60秒間二倍にする。限界を超えた力の代償として99%のHPを失う




 シンプルなステータス強化。それもとんでもないレベルの。何度も言うようだが、俺は当たれば死ぬので1も100もそんなに変わりないと考えている。だから使って、HPが1になったところでなんとも思わない。しいて言うならば緊張感が増すくらいだろうか。




超越者の加護:世界に大体片手分しかいない超越者の加護


一意専心:一番高いステータスを+50%。そのほかのステータスを-50%




 これは……少し、STRに振った分がもったいなく思えてしまうがそれ以上に嬉しい。このゲームは速ければ速いほどダメージの値も伸びる。だから、AGIを中心に鍛えるつもりの俺にとってこのスキルはありがたいものだ。




「……なら私も弟子にしようかな。……まだ信用はしてないけど、トゥルムちゃんは私と同じ……多分破壊の素質ある。……私の弟子にならない?」




 俺がスキルを見ていたらセツナがトゥルムに弟子になるかを聞いていた。トゥルムの返事は当然、




「お願いします!」




 了承した。俺と同じようにウィンドウが出てきてそれを見て驚いた表情になったトゥルム。




「シャロ!これやばいよ!《限界超越》のおかげでDEFとVITに振らなくてもダメージ受けられるようになっちゃったよ!」




 言われて気づいた。確かにトゥルムの誓いはHPが減れば減るほど威力が上がるものだから《限界超越》を使った後に《滅亡》を使えばその威力はイカレたことになる気がする。それこそ、セツナの二つ名のように[破壊者]と呼ばれるかもしれないレベルの威力になりそうだ。




「そうと決まれば、まずは中に入るのである」




 そう言ってヴィルヘルムが俺とトゥルムを家の中に招き入れた。

読んでくれてありがとう

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