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第十二殺

 フィールドに入ってすぐに、他プレイヤーがいる場所から左側に進んでいく。今回はフィールドの移動限界の見えない壁に沿って、探索していくつもりだ。とりあえず、1番端っこまで行くためにひたすら左に歩いていく。その道中、採取できるものは採取しながら、進んで時折遭遇するモンスターは難なく倒していく。ちなみにこの案は俺ではなくトゥルムの発案である。俺1人だったら、何も決めずに、走りまくって探索していただろう。




「端までは来たな」




 俺はこれ以上通れない場所まで来た。前に手を伸ばせば、見えない壁に当たる。




「そうだね。今からこの壁に沿って、右側を見ながら登っていこう。それで1番上まで行ったら右斜めに下って行こう。これである程度は探索できるから」




 とのことらしい。これなら確かに全体は探索できなくてもある程度の探索はできる。かなり効率的だと思う。




「じゃあしっかり見て行くか。《鷹の目》」




 俺は鷹の目を発動させて、右を見ながら登っていった。




◇ ◇ ◇




 見えない壁沿いに進んでいって歩くこと約10分。《鷹の目》を発動させてギリギリ見える場所に何かが光っている。




「止まってくれ。向こうに何か光ってる。あの感じは採取可能の光じゃない」




 前を見るトゥルムに止まるように言って、見えた方向に指を向けた。




「ナイスだよ~。早速行ってみよう!」




 俺が光を見つけた場所に進んでいく。




「このあたりだったはずだが……。見当たらないな」




 光が見えたところまで来たが、そこには何もなかった。




「うーん。ここだったんだよね?あ、《鷹の目》使ってみて」




 なるほど。さっきと同じ条件で見てみるってことか。




「わかった。《鷹の目》」




 トゥルムが言う通りに《鷹の目》を使って地面を見てみる。なんだか変な感じだ。望遠鏡を使って近くのものを見ている気分だ。しかし、《鷹の目》を通してみれば、今立っている地面が光っている。




「どう?地面は光ってる?」」




 地面を見ている俺に問いかけてくる。




「ああ。光ってる。これどうすればいいんだ?」




 確かに光ってはいるが、これをどうすればいいのかがわからない。




「えっとね……。光ってるなら採取と同じで触れれば何かあるはずだよ」




 なるほど。早速触れてみた。




『レアクエスト【空と獣の王】を受注しますか?Y/N』




 触れた瞬間、俺とトゥルムの目の前にクエスト発生を告げるウィンドウが現れた。空と獣の王。間違いなく出てくる敵はアイツだろう。




「そんなの当然受ける!敵は間違いなくグリフォンだろうしね」




 トゥルムも俺と同じ考えのようだ。まあ、あからさまなクエスト名だからな。グリフォンは飛ばれたら厄介だが、今はトゥルムがいるから問題ないだろう。




「そうだな」




 Yを選んで、クエストを受ける。




『レアクエスト【空と獣の王】を開始します』




――キュリェエエエェ!!!




 アナウンスと同時に空から1匹のグリフォンが雄たけびを上げながら姿を現した。そのレベルは58。俺たちよりもかなり高いが、セイクヴォルグほどじゃない。


 グリフォンは地面に降り立つことなく、空中にとどまっている。どうやら降りてくる気がないらしい。




「まずは引きずりおろすか」




 俺は隣にいるトゥルムがしっかり聞こえるくらいの声で呟いた。そして、インベントリから弓を取り出して、グリフォンに向かって高速で走り出す。と同時にまずは1射目。ヒット。そして、グリフォンの近くの木を蹴るのと同時に2射目を放つ。グリフォンは次の攻撃に備えていたのかこれは爪で迎撃された。そして、木を蹴ってグリフォンめがけて跳んだ俺は視線をグリフォンから話すことなくインベントリを操作して、すぐに弓と短剣2本を交換する。そしてグリフォンはもうすぐそこだ。そしてグリフォンは、俺に向かって爪を振り上げている。空中では動き回ることはできないが、防ぐ術がないわけではない。俺は今、2本の剣を持っているのだ。ならばそのうちの1本で攻撃を捌けばもう1本で攻撃できる。




「ふッ!」




 まずは右手の短剣でグリフォンの爪を横に弾いて、俺に当たらないようにする。そして次の瞬間、




「《イグニスジャベリン》」




 魔法の準備を終えたトゥルムが魔法を発動させ、グリフォンの翼に向けて放った。グリフォンの意識は俺に集中しすぎていたから、簡単に炎の槍はヒット。そして体勢を崩したグリフォンの首は俺の目の前にある。当然、そんなチャンスを逃すことなく、左手の短剣を突き刺した。それで、一瞬でトゥルムに切り替わったヘイトを俺に戻す。難なく着地して、グリフォンと向き合う。トゥルムが翼に魔法を当てたと言っても、まだグリフォンは空中にいる。




――ギュリェェェエエエ!!!!




 登場の時とは明らかに違う、怒気を含んだ雄たけびを上げて、翼を広げた。その時、グリフォンの周りには8個の魔法陣が浮かび上がり、魔法を発動させた。その魔法は、威力はあまりないが、ノックバック効果が強い《ウィンドショット》だ。その魔法はすべて俺に狙いを定めており、完全に俺しか狙っていない。そして、グリフォンは発動させた魔法をわずかにタイミングをずらして放つことで、回避しにくくしている。だが、8発くらいの数では俺には当てられない。すべて、回避して、トゥルムに視線を向けた。トゥルムは「わかってる」と言いたげににやりと笑った。




「シャロ!《イグニスジャベリン》」




 俺の名前を叫んで、ある1点を指さして、魔法を発動させる。使った魔法はさっきと同じ。そして、普通の魔法使いの攻撃ではグリフォンをたった2発で落とすなんてことはできないだろう。だが、あいにくとトゥルムは普通ではなく、限界ギリギリまでINTにステータスを振っているのだ。そして、トゥルムがこれで落ちると確信して俺の名前を叫んだのだ。ならば信じて、攻撃の準備に移ろう。俺はトゥルムが指さした、グリフォンが落下してくるであろう位置に先回りして、右手の短剣だけベルトについた鞘にしまう。そして、空いた右手を手刀の形にして、顔の横に持ってくる。


 そして溜める。限界まで溜めていく。時間が経てば経つほどに手の光は増して輝いていく。そして、魔法を使った後にできた隙にトゥルムの魔法が最初にヒットした翼と同じ翼を貫いた。当然、グリフォンは落ちてくる。片翼で空を飛ぶことはできないのだ。俺がいる、トゥルムが予想した落下地点にグリフォンあ落下してきた。相変わらずの先読み能力だと思う。先読みの力は俺もかなりあると思っている。しかし、先読みで俺が敵わなかった人が2人いる。1人目は、俺を殺して見せた魔王。そして、魔王に並ぶのではないかと思えるほどの卓越した先読みをするトゥルム。この2人には先読みという力では絶対に勝てないとさえ思う。そんなことを考えて、すぐに目の前に迫るグリフォンに意識を戻した。




「流石だ」




 にやりと笑って、トゥルムに賞賛を送る。迫るグリフォンを集中して見る。


――ここだ。




「《月狼流:溜光貫手》」




 落下してきたグリフォンの首に手刀を放つ。狙っていた首の中心に全くずれることなく俺の手が突き刺さる。さらに左手に持った短剣を逆手に持ち直して、《ヴォーパルスラッシュ》を発動させて頭に突き刺した。流石に首に刺せば俺の手にも刺さるから頭を刺した。しかし、まだグリフォンは生きていた。回避もそんなにしていないし、これは仕方ないだろう。ちらりとトゥルムを見れば、しっかり魔法の準備をしていた。グリフォンは落下とさっきの攻撃でダウンしている。




「頼んだぞ」




 すぐに手と短剣を引き抜いて、その場から飛び退いた。俺が離れたことを確認したトゥルムが魔法を発動させた。




「《滅亡(ダウンフォール)》」




――え……?




 次の瞬間、黒い光の柱が降ってきた。それはまるで天罰のようであり、すべてを無にすると思わせるほどに黒い光。光が消え、グリフォンもポリゴンエフェクトとなって消えていた。戦闘が終わったことでいつものようにウィンドウが出てきた。だが今の俺にはそんなことは些細なことであり、頭に全く入ってこなかった。




――そんなわけない……。だって……その魔法は……それはアイツの……




 規模が違うが間違いなく、俺を心臓を貫いて殺した魔法だ。グリフォンを倒して喜ぶトゥルムを見て、そんなわけがないとある考えを否定する。しかし、真桜との今までを思い返せば思い返すほどにその考えを強くしていった。




「……魔王……なのか……?」

読んでくれてありがとう

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