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第十一殺

 動画を投稿した翌朝。日課のトレーニングをこなして、朝食を食べて真桜と宿題に取り掛かる。宿題が終わるまでは、午前中はエレファンではなく宿題をすることに決めていた。(俺と真桜の母親である紗季さんが)ちなみに真桜は勉強が嫌いなわけでなく、それ以上にゲームが好きなだけで勉強ができないわけではない。むしろ一般的に見てかなりできる部類だ。俺も勉強よりもゲームが好きだし、していたいが前世の経験から知識はあればあるだけいいとわかっているので、勉強を怠るつもりは一切ない。




「それで、俺がログアウトした後、3人で何かしたのか?」




 宿題をするペースを落とすことなく、真桜に問いかける。




「うーん。私もヘファちゃんに服を頼んで、ちょっとだけリッカとキョーカとフィールドに出てたくらいかな?」




 真桜も俺と同様に宿題から目を離すことなく答えた。真桜もヘファちゃんに服を作ってもらうのか。どんな感じにするのだろうか?




「真桜はどんな感じの服にしてもらうんだ?」


「ん~?まだ内緒っ!」




 なぜだか内緒にされてしまった。まあ真桜が内緒にするのは俺を驚かせたいときだけなのでそこまで追及する必要はないだろう。




「そうか。まあ楽しみに待ってるよ」


「うんっ!昼まで楽しみにしているがいいよ!」




◇ ◇ ◇




 午前にする分の宿題を終えて、昼食を済ませてエレファンにログインした。目が覚めたのは当然、ログアウトした場所……つまりはヘファちゃんの工房だ。そして俺の目の前には……ボディビルで見るような見事な筋肉。それを惜しげもなく披露しているヘファちゃんの


姿があった。しかも昨日は着ていたエプロンが今はない。俺がログインしていることに気づいた様子はなく、現在進行形でポーズをとっていた。そしてヘファちゃんが俺に気づく前に俺のすぐ隣にあったトゥルムの体が動き始めた。そんなトゥルムはポーズをとってるヘファちゃんを気にすることなく、話しかけた。




「ヘファちゃん~、依頼してたのできた?」




 なるほど。トゥルムはこの光景にすでに慣れているのか。覚えておこう。ヘファちゃんは工房でポージングしている、っと。




「あら~?2人ともログインしたのねんっ。もちろんできてるわよ」




 俺たちがログインしているのに気付いたヘファちゃんが俺たちのほうに寄ってきて、メニュー画面を操作している。すると、俺たちの目の前にもウィンドウが表示されて、ヘファちゃんから防具と武器を受け取った。トゥルムも受け取ったようで、かなり機嫌がよくなっている。




「さ、さ。早速装備してみて!かなりの自信作よ!」




 俺たちが受け取ったのを確認して、すぐに装備するように言ってくる。断る理由は何もないのでそれに従って、装備の説明も見ずに装備する。


 ウィンドウから装備を変えると、一瞬で俺のアバターの服装も変わった。ヘファちゃんが作った服は一言でいえば軍服だった。黒を基調にして、差し色として、赤が使われている。足は膝近くまである長めのブーツ。そして服の上から和風のコートを肩にかけて、武装用の白いベルトがたくさんついている。コートが和風なので確かに黒の狐面にはよく似合っていると思う。これはもう疑うまでもなくヘファちゃんのセンスがいい。




「おー!すごく似合ってるよ!かっこいい!」




 まだ着替えていないトゥルムがなんの恥ずかしげもなく言ってくる。いや、ちょっと恥ずかしがってるな。




「次はお前だろ。俺を驚かせたいんだろ?」


「うん!驚くがいいよ!」




 そう言って、ウィンドウを操作し始める。次の瞬間、トゥルムの服装がヘファちゃんが作った装備に切り替わった。その服装は……まあ、驚いた。完全に俺の服装と同じ、というわけではないが、俺の軍服をそのまま女性版にしたような服装で、色は俺と違って真っ白だ。差し色には俺と同じく赤を使っている。コートも俺と同じく和風のもの。武装用のベルトはトゥルムにはついていない。そして何より顔を隠さないで頭の左側に俺が最初に着けていた白い狐面を付けている。ただ唯一俺とは違うのは綺麗な髪の毛につけられた桜の髪飾りだ。なるほど。俺と色違いってことか。ちなみに初期に選択できる装飾品はメニューからいつでも取り出せる。




「驚いた。まさか色違いにするとは思わなかったよ。でもすごく似合っていて可愛いよ」




 お世辞ではなく本心からそう思うから気にせずに言葉にした。それに対する、トゥルムの反応は少々予想外な物だった。




「あ、ありがと……」




 トゥルムは顔を朱に染めて、お礼を言ってきた。こんな反応をされるとは思わなかった。そういえば今まで似合ってるとは言っていたがこんな風に直接かわいいなんて言ったことなかったっけ?




「おほん!イチャイチャするのは良いけど一先ず戻ってきてねん!それはそうと、2人ともよく似合っているわー!私のセンスは間違いなかったみたいねん」




 わざとらしく咳ばらいをして、俺たちをじっくりと見てくる。見られているのがさらに恥ずかしかったのかトゥルムがまた赤くなった。




「そ、そうだね!さすがヘファちゃんだよ!」




 トゥルムが恥ずかしさを誤魔化すように、慌てて返事をした。




「ああ、想像以上の出来だった。ありがとう。今後もお願いしたいからフレンド登録してくれないか?」


「もちろんいいわよ!いつでも依頼してきなさいな!フレンド特典で多少は安くしてあげる」




 俺がフレンド申請を送って、二つ返事で了承してくれた。本当に、格好さえ気にしなければ最高の取引相手だ。




「それじゃあ、また来るね!」




 羞恥心から立ち直ったトゥルムが、大きく手を振ってヘファちゃんに言う。俺も1度礼をして、工房から出ていく。




「また来てよねー!いつでも待ってるわ!」




 ヘファちゃんが、出ていく俺たちを店先まで見送ってくれた。




◇ ◇ ◇




 店を出て、街中に戻ってきた俺とトゥルムは、一言で言って目立ちに目立ちまくっていた。




「なんだあの装備?軍服?」


「かわいい!どこで買ったのかな?」


「流石にあれはプレイヤーメイドだろ。でも、クオリティ高すぎだろ」


「あれシャロさんじゃないか?狐面の色変わってる!でもあんな色の面はなかったよな?」




 色々言われているのが気になるが、最後の奴はおそらく視聴者だな。いつもありがとよ。といっても俺とトゥルムはまだ目立つのには慣れている。俺は動画を投稿してそこそこの人気はあるので、最近ようやく慣れてきた。まだ、前世からの名残で素顔を見せるのには抵抗があるが。そして、トゥルムもネット活動こそしてはいないが、容姿が優れているからそれなりに今までも目立っていたからそこまで気になっていない様子。




「さて、今日はどうしよっか」




 目立っているのには気づいているだろうが、全く気にせずに話している。




「そうだな。新しい武器も試したいからな。レベリングを兼ねてフィールド探索とかどうだ?ちなみに今のレベルは?」




 おそらく同じくらいだとは思うが、一応聞いておく。




「ん?今は20だね。シャロは?」


「俺は23だ」




 大体同じだが、少し俺のほうが上だったか。流石はセイクヴォルグといったところか。




「負けちゃった~。セイクヴォルグってそんなに経験値あったの?ていうか、勝ってないのに経験値が入ったの?」




 言われてみればそうだ。俺はセイクヴォルグに勝ってないのにも関わらずレベルがかなり上がった。まさか戦闘するだけで経験値が入るのだろうか?




「そうみたいだな。まあ、2時間もあいつと戦闘し続けたんだ。そのくらいはなくちゃ割に合わない」




 そんなこんなでフィールドに出てきた。ちなみに、フィールドはファーストリクスが平原だったのに対して、セカンダルは山だ。坂道を登って、頂上のエリアボスを倒して、山を越えれば次の街[サードルカ]にたどり着く。そしてこの山は……滅茶苦茶にでかい。そのくせほとんどのプレイヤーは足早に頂上を突破するから、案外この山の探索は進んでいない。セカンダルから頂上までの場所は探索されつくしている。しかし、それ以外の場所はあまり探索されていない。




「それもそっか。じゃあ、今日はじっくりフィールドの探索と行こうか!どっちから行く?」




 トゥルムは俺の提案を飲んでくれた。どっちからというのは、探索されつくした搭乗までの直線から右か左のどちらから探索するか、ということだろう。それは最初から決めている。




「左から行こう。ただの勘だけど何かある気がする」

読んでくれてありがとう

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