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創造レシピ

登場人物紹介

・川口 創一

いじめられっ子、川口 美咲の兄。

由美を激しく憎んだ結果、地獄を生み出し地獄のマスターになった。

地獄王零を操っていた黒幕。

今回は彼目線で進行される(最後を除く)。


・川口 美咲

由美にいじめられていた少女。

いじめを苦に自殺し、更に死体はしばらく回収されなかったため酷い状態になっていた。


・零=赤松 レイ

創一に傀儡にされた変態。 地獄王。

諸悪の根源。


・近藤 由美

主人公だが今回は影が薄い。

ようやく罪の意識と記憶を取り戻した。

最後の最後だけ彼女目線。


・ファスト

獄卒長だったが、自我を完全に取り戻した。

元々の世界では王だった。


・サアド

獄卒長だったが、自我を完全に取り戻した。

元々の世界では守護女神だった。


・エイス

地獄大将。 無間大皇の異名も持つ。

64の眼を持ち全身から火を吹き出している醜悪な姿の鬼。

全長は11200メートル。

伝承の無間地獄に居るとされる鬼がモデル。

創一の最後の駒。

この世界におけるマスターである俺が地獄を創ってから早一ヶ月。


一ヶ月と言っても、これは現実世界においての一ヶ月で地獄ではもう数年は経っているだろ。


この地獄は妹の川口 美咲が近藤 由美に虐め殺された恨みと憎しみ、近藤 由美自身のいじめの罪。 そこに更に多数の小さな生贄に、基盤となった一つの異世界、それらが違和感なく世界に馴染むよう施された記憶操作、それらを纏め記録する物理的な機材、そして全ての超常現象(バグ)を引き起こすためのトリガー……様々な要素が複雑に絡み合い発動した奇跡の現象だ。


どれが欠けても成立しないこの世界が今、崩壊しようとしている。


それは今、近藤 由美が失っていた罪の記憶を取り戻し、真に自身の罪を認め反省したからだ。


地獄は近藤 由美の罪を浄化するためにあるからいいだろって?


そんなわけはない……。


罪の浄化せないために俺は記憶操作をして、一部の記憶を消したんだ。


何故、罪を浄化させない?


当たり前だ、あの女が罪を認めなければこの地獄は永遠に続くからだ。


つまりあいつを、俺の妹を心身共に打ちのめした上に殺した近藤 由美を……。


永遠に嬲り殺し続けるためだ!


———


–これは俺が地獄を創る少し前のことだ–


……俺の最愛の妹、美咲は死んだ。


歩道橋から飛び降り、死体は誰にも気づかれぬまま道路を走る車によって細かくすり潰され、俺が発見した頃には生きていた時の面影すら残らない変わり果てた姿になっていた。


俺はバラバラになった美咲の身体を必死に集めた。


泣きながら集めた。


目の前が涙で見えなくなっても……。


涙を出し過ぎて目を晴らしても俺は朝まで探し続けていた。


そして朝……。


「おい、そこのお前何をしている!」


近所の住人が通報したのだろう……。


警察官が俺を取り押さえた。


「やめろ、やめてくれ! まだ妹の身体は全部見つかっていないんだぁぁぁ」


血走った目に血塗れになった真っ赤な服。


異様な風貌に警察官もこれには一瞬怯んだ。


しかし、如何にも危ない奴な俺がこのまま放置されるわけもなく……。


「ぁぁぁああああ!?」


「暴れるな、落ち着け! くっ、応援頼むーっ」


のちに応援に来た警察官により俺は完全に取り押さえられ、署に連行された。


その後の操作で俺への殺人容疑は晴れ釈放された。


美咲の死は自殺で決着し事件はひと段落だ。


当然、美咲を死に追いやった奴ら、いじめの主犯格である近藤 由美が裁かれることは無かった。


悔しかった、悲しかった、無念だった……。


釈放後、妹を失ったショックで俺は狂った。


奇声を上げ町中を走り回った……。


大きな音を立て家の屋根でよく分からない踊りを踊った……。


暴飲暴食を繰り返しては、全てを吐き出し、更に大量の胃液も捻り出した……。


俺の部屋にたまたま居た小さな蜘蛛の8本の脚を千切り口に入れ、動体をすり鉢ですり潰した……。


地獄の絵を散らしの裏に描き殴った……。


目に余る奇行で何度も親に止められたり、警察を呼ばれたりもした。


しかし俺はやめなかった。


何故だかそう行動するようにと頭にイメージが流れたからだ。


ただの無意識の妄想かもしれない、なんの意味も無いかもしれない。


だが、心が壊れたこの時の俺にとってはたった一つ信じられる道標のようなものだった。


そして、最期に俺は頭にイメージとして流れる文字列を呪文のように唱えた。


「な".c86馬?@mL7蠓ぎ藦#w《部麼マ99,々5時だ啝愚Ap&爲ポ@*→萎びー鱓ぎ気眞G等黒、だ。陽k"阿」!!!!!」


全て唱えたその時……。


『超常能力:創造力(改)を習得しました』


脳内に謎の声が流れた。


創造力……意味がわからないが、超常能力って言うからには異能力や特殊能力みたいなものが身に付いたのだろう。


不思議と俺は状況をあっさり飲み込めた。


すると謎の声が続けて……。


『能力の使い方を貴方の脳内に直接インストールしますか? Y/N?』


能力の使い方を直接俺の脳内に書き込むってことだ。


使い方が分からなければどんな力も意味がない、俺は迷わず……。


「Y!」


俺の頭に膨大な情報が流れ込む感覚がした。


あまりにも大きな情報量だったため、脳への負荷は計り知れない。


俺は電源が切れたかのように、しばらくその場で気絶した。


———


俺の力は想像力で何かを媒体に創り上げたり改変、変換したりするもの……。


しかしこの能力の真髄は自分の望む異世界を創るところにあった。


これが出来れば憎らしい近藤 由美を俺の思うがままに痛めつけられる。


しかし世界一つ創る力だ。 その力を最大限に引き出すにはそれなりに準備が必要だった。


望む世界を作るには。


その1……。


まずは創りたい異世界の下地になる異世界を用意すること。


異世界を用意する……よく分からないが、脳内の説明によれば、自分が適当に風景を想像すれば、その風景に近い場所がある世界を並行世界からランダムで下地に選ばれるらしい。


世界一つを勝手に書き換えるだけあって代償や手間、準備が多数必要だった。


俺は自分の寿命を50年消費し、更に周りにいる小さな虫を殺して数え切れない程の魂を生贄に捧げた。


ちなみに魂みたいな目に見えないものは、死体のあるところで念じるようにイメージすると物体に変換されるようになっている。


観測不可能な並行世界なので、自分の目では確認出来ないが、脳内の声によればこれで下地になる俺と異世界の間で何らかの目に見えない繋がりが出来たらしい。


その2……。


次に異世界のイメージを記録、観測、書き換えするものを用意する。


古いパソコンを使うことにした。 説明によると、何かに自分の想像した世界の詳細を記すとより正確な創造が出来るらしい。 俺は、パソコンに自分が創作した異世界の設定を文章と絵でまとめ、更に昔自作したアクションゲームのデータを持ってきた。


さて、まだまだ準備は続く。


その3……。


説明によると異世界創造は俺一人の想像だけでは脳の負担が大きいらしいので、創造を手伝わせる人間の魂を用意する。


これは丁度いい人物がいた。


美咲が虐められる原因を作った諸悪の根源にして、嗜虐趣味な特殊性癖を持つ、美咲の元カレ、赤松 レイだ。


こいつを安全に捕まえるために自分の想像した魔物を一体創造し、力づくで彼を拉致し誰もいないところで殺して魂を奪い物体化させた。


物体化した魂はパソコンの画面に押し込むと、すっぽり画面の中に入っていった。


その4……。


掌握した異世界を自分の世界に書き換えるため、偽物の歴史、世界観、常識を大まかに設定して元々住んでいた異世界の住人達の記憶を操作。


自分の世界に入って、直接住人を操りたいところだが、それをするには9割の寿命をコストにしなければならない。


なので俺の代わりに赤松をアバター代わりに使うことにした。


赤松はこの世界の絶対的な王、地獄王零と変換、設定し、更に負担を減らすため、住人の中からリーダー格のものに肩書きを与えて配下にした。


獄卒長がその配下にあたる存在だ。


そして最後。


その5……。


創造した魔物達を使い、寝ている近藤 由美を拉致。


魂だけにすれば楽だが、俺は彼女の内面は勿論細胞の一つ余すことなく憎んでいる。


なので、身体を適当に圧縮し、生きたままパソコンの画面に押し込んだ。


最後に仕上げの前に代償やコストの類を全てを確認。


中に『対象の心が浄化された場合、地獄の刑を終了とする』があった。


消したかったが、罰を与える世界であるせいか、設定を変えることは出来なかった。


なので、近藤 由美に自分の罪を思い出させないよう記憶を改ざんした。


そして全ての準備が整い、仕上げに俺は呪文のようなものを唱えた。


「ⅰ6藦わラ!#9.「みやNで?梦鵐!」


発した呪文はトリガーとなり、能力は発動……。


これで近藤 由美は地獄に堕ち、永遠に彷徨う。


復讐の始まりだ。


———


どういうことだ……?


ついに見つけた裏切りの獄卒長ファストとサアド、そして憎き近藤 由美。


一緒にフォース、シークス、セブンスも居たが、皆倒れていた……。


俺の手駒供が……。


まだ、フィフスは倒されてないが……。


「ふふふ、貴方がこれ程までにやるとは思いませんでしたよ。 では私も本気で行かせてもらいますよ? ……はあぁぁぁ、ぶっ殺s……ガフッ!?」


グシャッ!!


フィフスまでもが……これで全滅なのか?


肩書きで絶対的な上下関係を設定したのに?


罪(シンズ)ポイント0。


そうか、あいつ……近藤 由美。


記憶が戻ったのか。


だから俺が設定したこの世界の法則も崩れていっているんだな……。


そうか、この世界もこれで終わりか。


ならば……。


「もう終わりだ、零!」


ファストめ、コマの分際で俺に反抗的だな。


「あぁ、終わりだよ。 何もかもがな……。 だからその前に!」


空間を裂き奴を呼ぶ。


「駒の中で制御が効かなくなった最狂の大駒だぁっ」


召喚!


「な、なんだ。 空から何かが?」


「デカイ、最後の最後で……もうやだぁぁ」


全てを消しされ!


『グルルルルゥ……』


「地獄大将! 無間大皇エイス!」


64の眼を持ち全身から炎を吹き出す醜悪な姿。


その巨体、山より遥かに凶大! その大きさ実に11200メートル!


伝承通り、奴は最恐最悪、無間の大地獄を蹂躙する鬼の姿!


「近藤 由美……お前が罪を悔み元の世界に帰るなら、その前に魂ごと消し去っ……」


エイスが地に降り立ったその瞬間!


その巨大は爆散した。


エイスを吹き飛ばしたのは……まさか!?


「もう諦めろ、デカイだけの木偶の坊ではこの世界本来の王と」


「世界を守護する女神は止められません! 」


エイスが……最強の地獄大将がっ!


「あぁぁぁぁぁがぁああぁぁ、どいつもこいつも俺の邪魔をっ!!!」


ファスト、サアド……本来の力を取り戻したか。


これで俺は全ての駒を失った……。


———


「あのぉぉ、皆さん。 盛り上がってるところ悪いけど……私、忘れられてね?」


私は近藤 由美。


罪を浄化しこれから最終局面!


というところなんだけど……。


さっき、エイスとかいう巨大な怪物が来たじゃん?


あれはファストとサアドがカッコよく倒したように見えるじゃん?


実は……。


「助けて、降ろしてぇ。 落ちる落ちる死ぬ死ぬ死ぬぅー!?」


あの時私はエイスを吹き飛ばした爆風に巻き込まれ、近くの大木に引っかかって居たのでした☆





出す設定は出したので次は最終局面です。

もうしばしお付き合い頂ければ幸いです。

当初は超バッドエンドにしようと思いましたが、なんとなくスッキリしないので、バッドとハッピーの間にしようと考えています。

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