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上は絶対です

登場人物紹介

・近藤 由美

主人公だが今回の話で彼女視点なのは後半から。


・フォース

前半は彼視点で話が進んでいく。

獄卒総長の肩書きと叫喚奏者の異名を持つ。

体格のいいおっさんで雰囲気は渋め。

非常に面倒くさがり。


・セコンド

獄卒長の肩書きと黒縄技師の異名を持つ。

古株の獄卒だが獄卒総長であるフォースとは初対面?


・親方

現場監督。

パワハラセクハラは当たり前のブラック上司。

筋骨隆々な緑の鬼のような姿をしたおっさん。

獄卒とは別種のはっきりした人型を持つ種族。


「くっ、なんですか? お前は……。 いきなり現れて私の上司だの、逆らうようなら用済みだの、意味わかりませんよ」


はぁ……物わかりの悪りぃ奴だ。


お前は獄卒長で俺は獄卒総長。 俺の方が偉いんだから大人しくいうことを聞いていればいいものを……。


「獄卒総長フォースかなんだか知りませんが、獄卒長セコンドの前ででかい顔はさせねぇんだよっ!」


シュルッ! ギュゥッ!


あらら、おじさん縛られちゃったよ。 おじさんの拘束シーンなんて誰得だよ、まったく……。


「ハッーハッー! 動きを封じちまえばお前は終わりだっ。 さぁ、斧でその余裕の顔をぶっ壊してやるよォッ!」


頭も悪けりゃ口も悪いってか? 最初は丁寧な口調だったから話がわかる奴だと思ったのに……はぁ、めんどくせぇわ……。


「ズァァァァーッ!!!」


セコンドは容赦なく俺に斧を振り下ろす。


が……。


ガキンッ!


俺の頭が割れるどころか、斧の方が砕け散る。


「な、何故だーッ! さっきからなんなんだよー! なんでテメェには攻撃がつうじねぇんだぁ?」


哀れだねぇ、セコンドさんよぉ。


「可哀想だから説明してやるよ。 この世界は絶対的なルールの下になりたってんだ。 お前の攻撃が俺に一切通用しないのも、別に俺の身体が鋼鉄のように頑丈なわけじゃねぇ。 全部はルールなんだ」


「はぁ、ルールだぁ? 意味わかんねぇぞっ!」


「俺をお前の攻撃から守ったルール、それは『下位存在は上位存在の前では無力』、そして下位上位の目安となるのはその者の肩書きだ。お前は獄卒長で俺はお前より上の獄卒総長。 つまりこの世界にいる限りお前は俺には絶対に逆らえない」


「なんだそれ、誰が決めた!?」


まだ食い下がるか……。 しつこいねぇ……。


「お前は海が青いことや、物が地面に落ちることにいちいち突っかかるのか? このルールはこの世界の環境そのものだ。 ここの一生物がどうこう考えるもんじゃねぇんだ」


納得してくれただろうか……。


「うるせぇぇ、認めない認めない認めない認めない認めなぁぁぁい!!!」


ガキンッ! バキン! ゴキン! ゴシャッ! ベキン!


あいつ必死で俺に攻撃してるよ。 数を重ねたって無理なもんは無理だってのに……。


「くっ、武器が全部砕け散ってしまった……。 くそっ、チクショォォォ、クソッタレがぁぁぁ!」


ついには素手で悪足掻き。 可哀想な奴だよ、おじさん泣けてくるぜ……。


さて、可哀想なこの馬鹿をさっさと始末しなきゃな。 おじさん、頑張りますよーっと。


グシャッ!


「あがっ……くそっ、ぐぅっ……ぁぁ」


俺の鋭い手刀がセコンドの横腹に決まった。


呆気ない、たった一撃で先ほどまで騒がしかった男もこの通り、今はただの屍に成り果てた。


まぁ、どうでもいいや。 仕事はここまでにして今日は帰って酒かっ喰らってお昼寝だな。


———


「オラァッ! しっかり足腰に力入れんかいっ!」


パシィッ!


「きゃん! すみません、頑張りますから叩くのやめて下さい……」


ビシッ!


「俺の愛の鞭を受けられねぇってか? それならこっちにも考えがあるぞ?」


「ひっ、すみませんーっ」


目の前に居るのは筋骨隆々で緑の肌の大男、文字通り鬼の姿をしたこの男で通称親方。 今の私はこの親方の下で肉体労働をしている。


一連のやりとりの通り、彼はすぐに手を出すパワハラ上司だ。 今も指をパキパキ鳴らしながら私を睨んでいる。


ここではこのパワハラ上司が絶対の存在。 彼の機嫌を損ねれるようなことはあってはならない。


「俺は少し休んでくるから手を休めるんじゃないぞ? もし作業が進んでなかったら、この作業場にいるみんなの人間サンドバッグの刑な」


「はひぃぃ……」


はぁ……息がつまるところだった……。 親方が休憩に入ったこの時間がほんの少しのやすらぎね。


実はここに来て3日経つんだけど、この男、実に人使いが荒い。


実はこの3日間、休憩も殆どなく作業をしているのだ。


作業はトンネルを掘るため、スコップ一つで穴を掘り進めること。


女子中学生には非常にキツイ重労働だが途中で三時間に10分以上の休憩は許されていない。


労働時間は深夜0時から夜の24時の24時間だ。


いつ寝るのか? 寝るなんてもってのほかです、はい……。


もしそのようなことがあればサボりとみなされ、人間サンドバッグにされてしまう。


鈍臭くて失敗ばかりの私はここに来てから既に5回ほど人間サンドバッグとしてリンチを受けてきた。


そのほかにも軽いお仕置きとして、ビンタされたり、お尻を叩かれたり、胸を揉まれたり、スカートをめくられたり……。


おかげさまで身体はもうボロボロ……。


ちなみに親方を始め、他の作業員には普通に休憩はあるし、週に2日、ローテーションで休みもある。


さて、結構掘り進んだわね……。


今日のノルマは一応達成ってところかしら。


…………よし、親方は居ないぞ。


少し腰をかがめよう……。


「よいしょっと……ふぁぁ……」


少し、少しだけお休みなさい……。


…………。


———


「はっ、寝すぎた!?」


しまったしまったしまったー!


疲れのあまり本格的に寝てしまってたーっ。


あれ、でもそれなら親方に無理やり起こされてるような……。


ゴトッ! ゴトッ!


ん? 地面が何やら揺れている。 そういえばここは私が眠りについた場所じゃないわ……。


ここ、どう見ても室内よね。 あれれ? 一体ここは……?


………………。


私がここは何処なのか。 それを知るのは少し後になるので先に話しておくと、今の私はコンテナのような檻に閉じ込められていて、これからオークションにかけられるため、その会場に運ばれているところ。


おそらく先ほどの昼寝で怒り狂った親方が私を売っぱらってしまったのだろう……。


とりあえず現状のピンチを脱することは出来た。


けど……この後、更に恐ろしい場所に行き着くこととなるのだった……。

前半は責め苦なしですみません……

次回、そのままオークションに出品されます。

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