オークションを開きます
登場人物紹介
・Mr.ヤマブキ
人身売買を生業にしている地獄の闇商人。
山吹色をした煙のような姿の獄卒。
今回は彼目線で話の記録を元に進行していく。
・近藤 由美
Mr.ヤマブキに出品されることになったホモ・サピエンスの少女。
超再生能力を金儲けに利用されることに……。
・エンパク
金持ち。オークションの常連。
白い色をした獄卒。 生き物に詳しい。
・ファスト
獄卒長。 等活武神の異名を持つ。
由美を探している。
用語
・獄卒鬼族
地獄の獄卒達がこの種族に該当。
煙のような身体を持ち、身体の一部を自在に変形させることが出来る。
性別は無いが、精神的には雄が殆ど。
獄卒長以上の上位個体は人型の形を取ることができる。
『オークション商品記録』 記入者/Mr.ヤマブキ
X月12日
ここには知的生命体が複数種存在する。
数年前まではこの世界の主な人類は我々「獄卒鬼族」で、他の種族は例え知能が我々と同等だとしても下等生物として扱い、自由に捕獲・飼育すら許された。
その頃のこの業界は堂々と表立って、様々な珍妙な知的生命体を捕まえては奴隷やペットとして自由に売買できた。
しかしこの業界はある出来事がきっかけで崩壊することになる。
他の知的生命体供が我々に反乱を起こしたからだ。
変幻自在でほぼ無敵の肉体を持つ我々も多種多様の種族が入り混じる奴ら全てを力ずくでねじ伏せる事は叶わなかった……。
それからしばらくして我々は全ての知的生命体の権利を尊重する法が定められる。 当然、知的生命体の身柄を売り捌いて生計を立てていたこの業界は大打撃を受けることになる。
家具や食品等、普通に売られているもので、なんとか売上を維持しようとしたが、以前ほどの売上を上げることは出来ず数多くの同業者がこの業界から足を洗った。
私も時代の流れに従いこの業界から足を洗うことにする……。
X月16日
先日この業界から足を洗うと言った。 たしかに辞めるつもりだが、それは少し先延ばしにすることとする。
何故なら今日、希少すぎる商品が入荷されたからだ。
商品名は『近藤 由美』。
この生き物は最近この世界に落ちてきたと噂のホモ・サピエンスという種族らしい。
こいつは知的生命体ではあるが、実はこの世界の生物ではない。 故に権利を尊重する必要が一切ない。
うまく売れば一生豪遊して遊べるくらいのお金が手に入る。
さっそく私は『近藤 由美』を目玉にしたオークションを開催することにした。
X月17日
オークションの準備日。
当日に向けて商品・『近藤 由美』を綺麗に洗うことにした。
今回のオークションはこの世界に住むVIP達が集まる。
そんな場所に小汚いものは出せないからだ。
さっそく『近藤 由美』を水で濡らしたブラシで洗う。
途中までは嫌がりながらもじっと我慢していたが、身体の下部分にブラシを持って行った時のこと……。
『近藤 由美』は下半身を守り抵抗を始めたのだ。
脚の付け根、下腹部周辺は特に清潔にしないと臭いがキツイというのに……。
力ずくで擦る手も考えたが、大切な目玉商品だ。 当日までは傷を付けたくないので今日は諦めることとする。
X月18日
ホモ・サピエンスについて勉強……。
資料によれば『近藤 由美』はホモ・サピエンスの雌に該当するようだ。 更に年齢も若く気難しい時期だそうだ。
どうやらホモ・サピエンスは下腹部を他者に触れられることを極度に嫌うようで、雌の場合は特にそういう特性が強く出るようだ……。
更に身につけている布は服と呼ばれ、脱がす事も可能という新事実が判明した。
つまり完全に綺麗に洗うには服を全て引っぺがす必要があるということだ……。
はぁ、中々面倒な生き物だな。
X月19日
『近藤 由美』の服を引っぺがすことにした。
手始めに下半身のスカートと呼ばれる黒い布を脱がそうとした。 しかし抵抗もあってか、これが中々外れない。
なんとか剥ぎ取ったが、そこで新事実を発見する。
『近藤 由美』はスカートの下に白く薄い生地の別の布を身につけていた。
この布は一体……。
X月20日
とりあえず下半身の白い布は諦め、上半身の水色の布、通称Tシャツの剥ぎ取りを試みる。
結果なんとか剥ぎとることに成功する。
しかし、このTシャツの下にも白い布を発見した。
X月21日
今日は昔からのお客様であるエンパク様がお見えになる。
エンパク様は生き物マニアで知識も豊富だ。 ダメ元でホモ・サピエンスについて質問してみた。
結果、貴重な話を聞くことが出来た。
ホモ・サピエンスの生態や習性はもちろん、彼らの世界の文化についてもしることが出来た。
服の下の白い布は下着といい、上の胸部についているのがブラ、下の下腹部のものをパンツという。
X月22日
ホモ・サピエンスはお風呂に入り身体を綺麗にする。
ということで、『近藤 由美』を地獄の赤く煮えたぎる川に投げ入れた。
大声で叫びながら下半身……もとい尻を押さえて飛び跳ねていたが大丈夫か?
いや、大丈夫じゃなかった。
叫び声が止んだ頃、確認に向かったら彼女は全身真っ黒に……。
身につけていた服もボロボロ、死んではないが弱っているように見える。
とりあえず回収したが、どうしたものか……。
X月23日
オークション前日。
時間がない。
仕方がないのでボロボロのまま出すことにしよう……。
と思ったらあら不思議!
彼女の身体は元どおりになっていた。 更に肉体どころか服も穴一つない状態に戻っていた。
ホモ・サピエンスには人智を超えた再生能力があったのか……。
ということで急遽、身体や身につけているものをバラ売りして販売することにした。
再生するのだから、定期的にオークションを開催し、身体の一部を売り続けた方が安定収入になるというものだ。
『近藤 由美』様々だ!
X月24日
オークション当日。
会場は大盛況。
予定していたよりずっと多くの客が姿を見せる。
まずは客は『近藤 由美』本体を買う気満々で来ているので、販売内容の変更点を挨拶を交えながら説明する。
1.『近藤 由美』の身体は各部位を切り取り別々に出品すること。
この説明をした瞬間、客は一斉にブーイング。 まぁそれはそうだろう。 急に目玉商品の内容が変わったら問題だしな。 だが、これは想定内だ。
2.代案として『近藤 由美』の身体を分離する際の様子を公開処刑というパフォーマンスを兼ねて披露すること。 このパフォーマンスは定期的に、更に分離された身体も今後売り続ける。
1.の説明から一転、会場は歓喜に包まれた。
私はあれからホモ・サピエンス及び、『近藤 由美』の出現記録を調べたのだ。
この会場は改築以前には、獄卒長ナナ捉えた生き物で弄ぶサーカス会場として使われていた。
しかも『近藤 由美』本人も一度この場で処刑が行われていたらしい。 彼女がサーカスに登場した日は未だかつてない歓喜に包まれたという……。
しかし、その後謎の爆発事故により会場が大破され、獄卒長ナナも事故死したためサーカスはそれ以来行われなくなった。
以後ナナのサーカスのファン達はサーカスが壊れたことを酷く嘆いていたという。
故に2.の説明で充分納得してもらえる自身があったのだ。
それにしても想像以上だ。 客は本当に残酷なパフォーマンスを望んでいたのだな。
もっとも残虐性は「獄卒鬼族」という種族全体の性質だからここの客に限ったことではないが……。
X月24日 その2
オークション開始。
初めから身体を切断したら『近藤 由美』への負担が大きい。 彼女自身は不死身だが、身体はある一定のダメージを受けると仮死状態になり、何処か安全な場所に転生しまうらしい。 なので初めは彼女の衣類をバラ売りする。
まず私は『近藤 由美』のスカートをめくりハサミでパンツの上部分についているリボンを切り取る。
『近藤 由美』の恥ずかしさと屈辱で涙を浮かべる姿は客の心を奪った。
その後、リボンを出品。 こんな布切れじゃダメかと思ったが意外にも値段は上がっていく。 結果、想定の20倍の値段にまで膨れ上がった。 本当にボロい商売だ。
更にパンツのお尻の部分をハサミで切り取り、少し黄ばんだ裏側をモニタに移し客に公開。 客の笑い声を受け、顔を真っ赤にしてうずくまる彼女の姿は受けが良かった。
次は靴下を剥ぎとる。 片方ずつの出品だがこれも難なく売れた。
その後はスカートを少しずつ切り取りその切れ端を次々に出品……。 さすがに安値だがチリも積もれば山となる。
そしてスカートに穴が増える度に『近藤 由美』の嫌がる姿がエスカレート、いい感じに盛り上がった。
さて、スカートを剥ぎ取った後は服だ。 期待していたが、スカートの後だからか『近藤 由美』の反応は地味で会場も微妙な空気だった。 仕方がないので服は袖を二枚と本体の三枚に分けたところで販売終了。
さぁ、服も剥ぎ取れたことだし次は身体を売ろう。 出血量が心配なので今回は両足のみの出品だ。
私は腕を巨大なギロチンに変え、脚を一思いに切断。 その時に彼女から発せられた叫び声は会場を興奮の渦に飲み込む。
手際よく足の付け根を止血した後は、切断した脚をスライスしてハムみたいにした。
二本そのまま売るより売り上げは良くなりそうだし、何より自分の脚を切断されていく様子を彼女に見せつけ、恐怖心を煽ることで絶叫させることが出来、会場は盛り上がる。
それにしても不思議だ。 あんなに雑に切断しているのに断面は綺麗だし何より一切の出血すらない。それどころか断面も真っ黒、まるで黒塗りだ……。 だいたい再生する時点で一般的なホモ・サピエンスと何が違う……。
その後、最後まで会場は絶叫と歓喜に包まれた。
X月25日
売り上げ
パンツのリボン……計400,000円
パンツの尻の部分……計730,000円
靴下×2……計8,000円
スカートの切れ端×12……計60,000円
服の袖×2……計18,000円
服……計100,000円
スライスした脚の肉×20……計6,180,000円
合計7,436,000円
想定以上に売れた。 次は一ヶ月後に開催するとしよう。
それまでに『近藤 由美』の耐久試験をしておく。
やはり服の一部より肉体そのものは桁違い。 耐久力次第では1日に数千万円稼ぐことも可能だ。
———
ふぅ、今日も記録したなぁ……。
それにしてもこの子の怯える顔は癖になる。 時々こうして針で続けば……。
「ギャン!」
不覚にも私も虜になってしまったな。 昨日の今日でもう完全に再生している。 ふふっ、これは耐久試験がますます楽しみになってくるぞ。
さて、今日は遅いしそろそろ寝よ……。
ガシャン!
なっ、なんだ!?
「Mr.ヤマブキですね? 誠に勝手ながら近藤 由美を頂きます」
なんだ、こいつ。 何を勝手に……。
「タダとは言いません……。 彼女を一億で買います」
「ふざけるなっ!」
渡せるかよっ、こいつは金の生る木だ。 大体勝手に他人の家に……。
ジャキン!
「なっ……!?」
「仕方がありませんがこの世界の為に、貴方を始末して彼女を頂きます」
くっ、なん……っ?
なんだ、世界がひっくり返ったのか? いや違うっ!
私の首が切り落とされ地に落ちたのか?
こいつは……わかったぞ。 顔を見たことがある。
こいつは獄卒長ファスト様。 なぜ貴方が……。
「すみません、貴方の犠牲は無駄にはしません……」
ファスト様は言ってしまった。 近藤 由美を連れて何処かに……。
いきなり変な用語が出たときは、今回のように前書きにて説明させていただきます!




