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目が覚めるとそこは、先ずは視界に焚き火がうつる。黒焦げになり、黒煙をぶすぶすとはいている枝に刺さった魚のオプション付きだ。


そのままの姿勢でふと火の奥に目をやると、夜のうちは真っ暗で見えなかったが川があったらしく、2人の少女が水浴びをしているのが見える。


些か興味をそそる光景だが、ジロジロと見てこの後の関係に支障をきたすのも馬鹿馬鹿しい。見なかったふりをして黒焦げになった魚を手に取り、頬張る。


「...川魚特有の泥臭さに、消し炭の苦味が良い味を出しているな」


つまりは不味い。が、食えなくもない。

子供が苦いものを嚥下する時と同じ理論として鼻をつまんで一気に咀嚼し、そのまま一気に飲み込む。


鼻を突き抜ける臭みに少し嘔吐感を覚えるも、「美人が作ってくれた食事補正」とやらで乗り切る。


いやしかし、栄養も何もあったものでは無い...

このような食事が続くのであれば一刻も早く食べれる野草や果物、魚などを知る必要がある。図鑑が欲しいが、昔読み漁った書物では、ファンタジー世界の本は決まって高いと相場が決まっている。


もし安かったとしても残念なことに無一文だ。上着を裏返しにしてバタバタと振り回してもきっとコイン1つも落ちてこないだろう。


などと、魚のダメージを堪えながら延々と世界や宇宙の心理とやらを考察していると、水浴びから二人が戻ってきた。


「おはよう、寝坊助。いい夢は見れたかい?」

開口一番、アセビが軽口を叩き込んできた。

アイリスは微笑みを携え、口を閉ざしている。空気ちゃんにでも徹するのだろう。


「いや、残念ながら悪夢だったよ」


「ほう?」


「いや、なに。偉そうなおっさんがツラツラと訳の分からない事を言っていたんだ。可愛い娘ならまだしも、男だと悪夢だろう?」


「あぁ、違いない。イケメンか渋いおじ様なら話は別だが、おっさんなら悪夢だともさ」


2人して、大口を開けて笑い合う。

アイリス(いいところのお嬢様)は、クスクスと笑うだけで話には入ってこなかったが、ようやく口を開いた。


「少しよろしいですか?」


「構わんよ」


「ありがとうございます。して、私達はこの後 郷に戻る予定です」


その台詞の先を知っているはずなのに思わず、はぁ、と気の抜けた返事をしてしまう。

己の陰湿さに嫌気がさす。


「えぇ、なので私達はここでお別れです。ご助力、ありがとうございました」

アイリスが、深々と頭を下げる。


「あぁ、私達2人だけじゃ今頃どうなっていたことやら。助かったよ」

アセビもそれに続く。



男は盛大に滑り転けた。

あとから思い出したことだが、ド〇フごけ、というらしい。


どうでもいいことだ。


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