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月を眺めていると心身が安らぐ気がするのは気のせいだろうか。

月光に照らされた女人の髪はこの世の如何なる宝石よりも美しく、価値があるものだと信じて疑わない。以前の価値観がどうであれ、この件に関してはきっと昔からそうだったのだろうと思う事にした。


焚き火の前で凛々しい顔を嗜虐の越に浸らせ、蕩けさせているポニーテールのエルフ、アセビ。花言葉は忠誠を誓う、というようなものらしい。


そして常時であれば美しく、保護欲をくすぐるような顔を小馬鹿にするような笑みを浮かべた水の滴るロングヘアーのエルフがアイリス。花言葉のひとつに優しい心というものがあるらしい。


女は俺達狼より怖い存在さ、と昔誰かに言われたような気がする。名前どころか顔、そして声も思い出せないけれど、しかし昔自分はどのように返答したのかだけは思い出せた。

「そんなはずはないさ、きっとどこかには清楚で清廉潔白な人がどこかにはいるだろうよ」と当時の自分は言ったのだ。


もし今同じことを聞かれたのならばきっと自分は、違いない、とでも言うのだろうか?それともあるいは...

そこまで考えた所で首を振り、火の爆ぜる音に合わせて枝を放り込む。


女三人寄れば姦しい、なんて言うものだけれど。

実際のところは2人でも10分姦しい。あの手この手でお互いを小馬鹿にしあっているけれどもそこに敵愾心などはなく、悪意なんてものも勿論無い。


そんな関係の友人がかつて自分にもいたのだろうか。思い出そうと目を閉じて考えてみるも自分の最初の記憶は何も見えぬ暗闇で目を覚ましたことのみ。


まぁ、いい。後後思い出すだろう。


静寂な森にどこまでも響くぎゃあぎゃあと喧しい声を聞きながら 目を閉じる。目を覚ましてからあんなに働いたのだ、火の番ぐらいは押し付けても良いだろう。


尽きることのない悪口を子守唄代わりに男は静かに眠りについた。

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