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文章力お散歩中(元からあまりない)
人と目を合わせるのは苦手だ、と認識する。
何が苦手なのかは分からないが、じっとこちらを見つめてくるポニーテールのエルフから目をそらし、先程鞘に収めたばかりの刀に視線を落とす。
「...少しぐらい視線をこちらに向けていただきたいのだが?それともなんだ、私は見るに耐えん程の醜悪な面構えをしているとでも?よし、その喧嘩買ってやろう、表にでろ」
少し視線を落としただけで酷い言われようだ。だがしかし、自分にも落ち度はある、そう言い聞かせ顔を上げ、目の少ししたを見る。幾分かはマシだろう。
「よし、ようやくこっちを向いたな。なんだ、顔をあげればなかなかに整っている顔立ちじゃないか。もっと自信を持ったらどうだ?」
「つまりそれはさっきまではブサイクだった、ととってもいいのか?」
「残念ながら髪の毛の量で醜悪をはかる感性を持っていなくてね。きっと人様に見せられないほどブサイクなんだろう、とあたりを付けたまでさ」
肩を竦め、エルフが言う。
酷い言われ用だ、何か言い返さなければと思うも、考えれば考えるほどに言葉が出てこない。
大人しく両手を上げ降参の意を伝える。
「すまなかったな、如何せん人の目を見て話すのが苦手なようでな」
「あぁ、それは仕方がない。自然の摂理と言う奴だね」
「嫌な自然もあったもんだ。誰とでも目を合わせて話せる奴はきっと新人類とやらに違いない」
「あぁ、違いない」
お互いに肩を震わせ、大口を開けて笑う。
話し方が似ているからだろうか、不思議と気後れせず話すことが出来た。
「っと、紹介が遅れたな。私はアセビ。こっちの巫女さんに生まれた時から忠誠とやらを誓わされた身でね」
「恨んでいるのか?」
「郷の連中と両親は、ね。この子は恨んでいない。いい友人だよ。と言っても、そんなことを郷でくちばしれば折檻ものだけどね」
そう言い、慈しむように未だに目を覚まさないローブを着たエルフの頭を撫でる。
「世知辛いな」
「あぁ、全くだ。で、君の名前は?」
「知らん」
実際には分からない、あるいは思い出せない、だけれども。
「あるいは誰かに忠誠を誓うような花言葉を含んだ名前なのかもしれないが、残念ながら記憶喪失と言うやつでね。お仲間にはなれなさそうだ」
「それは残念、いやしかし、思い出せないと言うのであれば私が付けてやろう」
「非常にありがたい提案だが遠慮しておくよ。生憎花に知識がこれっぽっちもないのでね。知らないことをいいことに変な名前を付けられてしまってはたまらない」
「ありゃ、バレたか」
おどけたように視線を明後日の方向に向けながら嘯くアセビ。
きっと止めなければ本気で変な名前を付けたのだろう。
「それはそうと、いい加減その子を起こさないか?アセビとこうして語り合うのも吝かではないのだがね?」
「ふむ、起こすか。残念なことに私も君と話していたいとは思うのだが、話が先に進まないからね」
「違いない」
アセビがもう1人のエルフの頬をペちペちと叩く。
鬱陶しげに顔を振るもなおも追撃、今度は舌打ちをしながら目を覚ます。
「...何の用ですか、アセビ」
「何の用だとはご挨拶だな、プリンセス?もう朝だよ、おはよう」
「えぇ、月が浮かぶ立派な朝ですね、おはようございます、私のナイト様」




