終章 王都出立(挿絵あり)
<1>
俺とラベージャはデカドロス島に行かないことにした。もう目的を果たしたんだ。とはいえ、他のプレイヤーは太陽の巨像やヘリオスをしばきまくっているらしい。一度攻略されたボスは種さえ割れちまえば雑魚と変わらない。もはやあの島はプレイヤーの狩場と化してしまったのだ。
<2>
ヘリオスを討伐した翌日の夕方。
俺はラベージャと一緒にドリスの私室へ報告に来ていた。ドリスは、ヘリオスからドロップしたものを見ると大層喜んだ。
「そんなにいいものなのか、それって」
「ええ、そうね。かなりの魔力を秘めているわ」
「へー。なあ、それ欲しいなあ、俺」
「ダメ」
でしょうね。
ヘリオスの持っていたアイテムか。光属性がめっちゃ強化されるとか、あいつの使ってた魔法かスキルを覚えられるとか、そういう力を秘めているのかもしれない。やっぱりこっそりもらっとけばよかったかなあ。
ま、俺は俺でレベルも上がったし、ドロップしたものもあるからいいや。
「お前たちのお陰でキャラウェイにも冒険者が増えたわ。次はこれを餌にして、もっと人を集められそうね」
「そりゃよかったな」
「それで、お前には次に行ってもらいたいところがあるの。やっぱりそこも冒険者でないと難しくて」
「あ、ちょい待って」
俺はドリスの言葉を遮った。彼女は不機嫌そうにこっちを見る。
「何かしら」
「俺さ、王都を出るよ」
「……何ですって?」
「だから王都を出るんだって。デカドロス島にも、この町にも兄貴はいなかったからな」
ドリスは固まっていた。なんでだよ、別にいいじゃねえか。
「私はお前のお兄さまを探しているわ。何が不満なのかしら」
「いや、別に不満とかはねえけどさ。他にも町はあるんだろ。そっちに行ったっていいじゃねえか」
「私の言うことが聞けないの?」
「なんだよ。また牢屋にでも入れるのか」
「それもいいかもしれないわね。……ラベージャ。お前からも何か言いなさい」
しかしラベージャは反応しない。主の声が聞こえていないのか、ずっと立ち尽くしているだけだ。ドリスは柳眉をつり上げる。
「……やり過ぎたかしら」
「何がだよ」
「ちょっと、もう。本当に王都を発つつもり? まさか、上のお姉さまに付くんじゃあないでしょうね」
ああ、そういうことか。それで俺が王都から離れるのを嫌がっていたのか。
「心配しなくても俺はそもそもお前についてねえって。協力してるだけだ。だからたぶん、投票することになっても誰にも入れねえし選ばねえよ」
ドリスは絶句していた。彼女は誰も信用してないとかラベージャが言ってたけど、案外そういうところばっかりってわけでもないのかもな。
「俺はドリスの部下にはならない。けど、ドリス以外のお姫さまの部下にもならない。そういうことでいいだろ」
「……引き止めたら考え直してくれるかしら」
「俺一人どっか行ったって痛くも痒くもないだろ」
「あー、そう。そう。ああー、そうね、はいはい。分かったわ。どこへなりとも行けばいいじゃない」
なんかめっちゃふて腐れていた。お姫さまっていってもこんな感じになるんだな。
「だから冒険者は嫌いよ」
「ええ? まあ、なんか悪いな」
「ただ、そうね。せっかくだから『カルディア』に行ってみたらどうかしら」
「なんでだ?」
「それはね」
ドリスは、カルディアとは王都の北に位置している町だと言った。ここほどではないがホワイトルートでは賑わっている場所だそうだ。それもそのはず、そこには地下迷宮と呼ばれるダンジョンがあり、プレイヤーがこぞって挑戦しているからだ。
「地下迷宮か。そうだな、そこに行ってみるのもいいかもな」
「ただ、そこにはアニス姉さまがいるのよね」
「アニス?」
「アニス・セラセラ。私と同じく王位継承レースに参加しているの。私とはやり方が違うけれど」
ドリスの姉ちゃんか。……会いたくはないな。ろくな性格じゃあなさそう。
「アニス姉さまは私よりも強引だから気をつけてね。気に入られても跳ね除けなさい。いいわね」
「へいへい。大丈夫だよ。俺は王族とか、そういう人たちって好きじゃないから」
「あら、皮肉を言えるくらいには余裕が出てきたのかしら」
うるせえ。
とにかく、報告も済んだし渡すものも渡した。ドリスは兄貴のことを本腰入れて探してくれてるか不安だし、いったんだけど、王都での用事は済んだって気はするな。
「何かあったら言ってくれ。気が向いたら飛んでくるよ。少なくとも、俺は今のところ、三人のお姫さまのうち誰かを選ばなきゃ殺されるって状況になったらドリスを選ぶくらいには感謝してるからな」
「あら、そう。優しい冒険者に感謝するわ」
挨拶も済んだ。
俺はドリスから視線を外し、隣にいるラベージャを見る。
「世話になったな、ラベージャ。けど、まあ、昨日言ったとおりにするよ」
「ああ、分かっていた。元気でな、ヤサカ」
「また戻ってくるよ。そうしたら飯でも一緒に食おうぜ」
「楽しみにしている」
俺はドリスたちに手を振り、部屋を出た。さて、こっから城下町に戻るのはしんどいけど、お城に入るなんて滅多にない機会だったからな。最後になるかもだしゆっくり行くとするか。
<3>
ナガオが部屋を出て行った後、ドリスは『もー』とか言いながらベッドにダイブして駄々っ子のようにじたばたとしていた。
「姫さま。埃が立ちます」
「何よう、あの冒険者。甘ちゃんだと思ってたのにあっさり私から離れるなんて。思い通りにならないのが一番腹立たしいわ」
「は。そのようで」
ドリスはおもむろに体を起こしてラベージャをねめつける。
「お前が引き留めたらあいつだって考え直したかもしれないのに。数日とはいえずっと一緒にいたんでしょう?」
「ヤサカは家族を探しているのです。肉親の情ほど断ち切れないものはありません」
「……冒険者は渡り鳥のようなものよ。もう二度と会えないかもしれないわ」
ラベージャは小さく微笑んだ。
「鳥とていつまでも空の中にいるものでもないでしょう。止まり木を見つければ羽を休めます」
「自分がその止まり木だって言いたいの?」
「いえ、止まったところへ会いに行きます。逃げれば、追いかけて捕まえてやるかもしれません」
「あら、そう。さすが《森に住む人》。獲物を追い回すのは得意だものね」
「かもしれません」
ドリスはつまらなそうに鼻を鳴らした。
「ああ、そう。……ラベージャ。休暇は楽しめたかしら」
「少しは」
「そ。ならよかったわ」
「私にも妹のような人がいますから。ですから、ヤサカとはここでお別れです。縁があればまた会えると信じています」
「そ。じゃあ『お姉さま』、早速だけどセルビルに向かってちょうだい」
「はっ。……は? なぜですか?」
「新しい冒険者を見つけるのよ。使えそうな駒が盤からいなくなったんだもの」
ラベージャは舌打ちした。
<4>
城下町に着いた俺はさゆねこたちと合流すべく宿屋の前で待っていた。しかし待てど暮らせど寝ても覚めても二人は来ない。
先に買い物でも済ませようかなと思っていると、向こうからさゆねこが走ってくるのが見えた。
「あっ、遅かったな。あれ? さゆねこ一人か?」
「それが、お姉さんと連絡が取れなくなったのです」
カァヤさんと? 何かあったのかな。
「……ん?」
「どうしたのですか、お兄さん」
「カァヤさんからメッセージが来てる」
俺は急いでメニューを操作し、メッセージを読んでみた。
『いきなりでごめんなさい。私にもやらなくちゃいけないことが出来たの。ナガオ君たちと一緒にいるのはここまでにさせてもらうわ。二人はもう強くなった。大丈夫だと思うから』
いきなりのパーティ離脱であった。けど、しようがない。俺たちとカァヤさんではレベルが違う。あの人はクランにも入ってたし、いつまでも面倒を看てもらうってのも申し訳なかったからな。
メッセージにはまだ続きがある。
『ナガオ君。このままこっちの世界にログインするつもりなら、私ともまたいつかどこかで必ず会うでしょう。あなたの探している人もきっと見つかるわ』
……俺の探している人? あれ? 俺、カァヤさんに兄貴のことを言ったっけ?
『昨日のボスとの戦いを見て確信したわ。妙なところで頑固でまっすぐなのはあなたのお兄さんとそっくり。またどこかで。それまでお互い生きていられることを祈っているわ。よかったらナガオ君も祈ってね。それじゃあ、さゆねこちゃんとも仲良くしてあげてね』
「……お、お兄さん? 固まってます?」
ああ、そういうことか。
カァヤさんがセルビルの町にいたのは、俺を待っていたからなんだ。そしてたぶん、あの人も俺と同じだ。同じような状況にある。仕様の外にいるプレイヤーに違いない。
そんで、カァヤさんは兄貴を知っている。いや、仲間とか、そういう関係なのかもしれない。だとするとカァヤさんは兄貴に頼まれたのか……?
「お兄さん! お姉さんはなんて言ってるのですか!」
「あ。ああ、えーと、ちょっと事情があってパーティを抜けるんだってよ」
さゆねこは露骨に嫌そうな顔をした。
「ええええぇぇええ、では、私はこれからお兄さんと二人なんですか。すごく頼りないと思うのです」
「元気でなって。またどっかで会えるから、その時までに俺たちも強くなっておこう」
「……寂しいですね」
「だな」
でも、また会える。
どうして兄貴のことを言ってくれなかったのは知らないけど、カァヤさん、ありがとうございます。お陰で、この世界に兄貴がいるってことは分かりました。
「よし。そんじゃあ次はカルディアを目指すか」
「カルディア? 他の町ですか?」
「おう。地下迷宮があるんだってよ」
「おおー、それっぽいです! でもその前に、ジョブを変えにも行きましょう」
「そうだな。お前は何にするんだ?」
「ふふー、わたしはですねー」
カァヤさんに連絡をしても無視されるだろう。でも、あの人はフレンドのままでいてくれている。
気を取り直して先へ進もう。進んだ先には必ず兄貴がいるんだ。
<5>
プレイヤーは最初、冒険者というジョブからスタートする。そのレベルをマックスにすれば町にある教会に行き、ジョブチェンジすることが可能だ。
冒険者は他のジョブとは違い最大レベルは『15』。他のジョブは『30』だからちょうど半分だ。初期のジョブだしな。俺たちは前回のヘリオス戦で得た経験値で冒険者レベルがマックスになっていた。
ここキャラウェイでは《大聖堂》という場所でジョブチェンジ出来るそうだ。俺とさゆねこは今、そこへ向かっている。
「さゆねこは弓兵になるんだな」
「はい。お姉さんに憧れ中なのです。お兄さんはどうするんですか」
俺か。どうするかな。道中のことを考えると、俺が前衛職になった方がさゆねことのバランスがいいかもしれない。ただ、回復職か支援職も捨て難いな。この先、兄貴を探すだけならめっちゃ強くなるより、長く持ちこたえられるジョブも悪くはないはずだ。いやいや、死んだら駄目なんだから魔法使いや弓兵でもいいかもしれない。飛び道具持ちはやはり便利だ。
「…………ううーん」
「悩んでますね。色んなジョブをつまむのも一つの手だと思うのです」
「ああ、そうか、そういうのもありだな。ボーナスのもらえるレベル5まで上げて、次に転職しても」
「なんか、リアルだとダメなフリーターさんみたいですね。アルバイト先を転々として」
「おい」
ま、ギリギリまで悩んでおこう。大聖堂でジョブについて詳しく説明してもらってから決めてもいいし、金が勿体ないなら手持ちの武具を装備できるジョブにしてもいい。転職できるとはいえ経験値を無駄にするのは嫌だしな。ある程度は考えよう。
「あ、見えたのです」
「おお、アレか」
《大聖堂》は城下町区画と王城区画の中間地点。つまり町の真ん中にある。名前こそ違うが要はでかい教会だ。この世界には《ハシラ教》という宗教がある。宗教はこれだけだと聞いている。アレだな。余計な争いとかは起きなさそうでいいな。
俺たちの前に聳えている、王城にも匹敵するほどのでかい建造物が大聖堂だ。デカドロス島でも見た、大理石に似た白い建材を使っているらしい。教科書で見たことがある造りだな。ゴシック建築とか言うんだっけか。そいつによく似ている。
「でもなんか妙だな。柱だらけじゃねえか。しかもどこにも繋がってねえし」
「お忘れですかお兄さん。このゲームでは柱が重要視されているのです」
「……シンボルみたいなもんなんだな」
ともすればスチームパンクを題材にした作品に出てきそうな、ごてごてっとして、みょうちきりんな感じにも思える。
「ひとまず中へ入りましょう」
俺はさゆねこに背中を押されて、大聖堂へと足を踏み入れる。
<6>
大聖堂の内部は広かった。特に、高い天井がいやでも目に入ってくる。吸い込まれそうで眩暈がするくらいだ。
建物の内部は二列の柱で区切られている。中央はドーム状になっていて、馬鹿でかいパイプオルガンもあった。左右は幅が狭く、屋根があって天井が低い。
一番奥には祭壇のような場所がある。ステンドグラスには天使などではなく、真っ黒で細長い棒がデザインされていた。なんだありゃ? テトリスの長いやつみたいだな。
「アレがハシラサマってやつか……?」
「ええ、その通りです」
振り向くとそこには一人の女性がいた。三十代くらいの人かな。白を基調にした、ゆったりとした服を着ている。肌の露出はほとんどなく、帽子を被っていて、青っぽい髪くらいしか見えない。修道女って風には見えないな。不思議に思っていると女性の方から口を開いた。
「私はこの大聖堂の司祭、ソフィアと申します」
落ち着いた口調だが、鶴子のようにのんびりとした感じではない。厳かで、声を聞くだけで背筋が伸びてしまう。学校の先生みたいだ。
「あ、俺は八坂長緒です。こっちは……」
さゆねこはぼーっとした様子だった。そうして、またかって感じで俺を見上げる。あ、そうか。このソフィアって人もNPCなのか。
「まあ、冒険者で。今日はジョブを変えに来たんです」
「そうでしたか。では、こちらへ」
「あ、その前にハシラサマにお祈りをしたいんですけど。何か、マナーとか、手順はあります?」
ソフィアさんは『まあ』と驚く。
「冒険者の方々はハシラサマに興味がないものとばかり思っていました」
「あー。まあ、俺はたまたまですよ。つい最近、神様に助けられたんじゃないかって思うようなことがあって」
「素晴らしい、とっても素敵なお考えです。ハシラサマにお祈りするのにマナーも手順も必要ありません。ハシラサマを敬い、崇め、感謝する気持ちさえあれば事足りるのです。奥にある礼拝堂がお見えになりますか?」
俺は言われたとおりに奥の方を見る。
「ステンドグラスも見えますね。礼拝堂の奥の部屋にはハシラサマの聖なる欠片、聖遺物があります」
あ。さっきのテトリス棒は柱のことだったのか。
「お祈りする時はそちらに向かってください。それが唯一の手順、でしょうか」
「分かりました」
俺は、退屈そうにしているさゆねこを放置してステンドグラスを見上げる。十字を切るとか、そういうことはしなくてもよさそうなので、目を瞑って『ありがとうございます』と感謝の気持ちを捧げておいた。
「ヤサカさんにも柱の加護がありますように。もちろん、そちらの可愛らしい方にも」
「だってよ。さゆねこ」
「もー。わたしは早くジョブを変えたいのです」
ソフィアさんはくすくすと笑う。
「では、こちらへ」
俺たちはソフィアさんのあとに続く。出入り口から向かって西の方角に歩いていくと台があった。学校にある教壇みたいなもんかな。ソフィアさんはその台の上に立つ。
「冒険者の方は退屈されてしまうんでしょうけれど、少しだけお祈りさせてくださいね」
「はーい」
ソフィアさんは何事かを呟き始めた。正直言って退屈だったので聞き流す。というか頭に入ってこなかった。数分して、ソフィアさんは小さく頭を下げた。
「では、次にこれを」
「……これは?」
渡されたのは、ソフィアさんの取り出したペンダントのようなものだ。汚らしい、何かの欠片にひもを通しているが。
「ハシラサマの聖遺物です」
「いっ?」
「模造品ですけれど。先の聖句で、模造品とはいえ力を持つようになるのです。どうぞ、そちらを握ってください。そうして、なりたい職業を頭の中で強く思い浮かべてください」
「ジョブチェンジはそれだけでいいんですか?」
「はい」
ソフィアさんは慈母のごとき笑みを浮かべた。
俺は、剣士になろうと思った。そうやって柱の欠片を握っていると、目の前にメニューくんが現れる。
『職業を冒険者から剣士に変更しますか?』
うおーシステマチック。しかし俺には分かりやすくて有り難い。『はい』を押し、俺のステータスが変わった。
「はい、お二人とも無事に職業を変更できたみたいですね」
「ありがとうございます。……ちなみに、ジョブを変える時ってソフィアさんにお願いすればいいんですか?」
「私のような服……祭服と言うんですけれど、これを着ている方にお願いしてください。司祭からでないと冒険者の皆様の職業を変更できないんです」
「他の町でも?」
「小さな町ですと、このような聖堂はなくって教会になります。神父さまでもきちんとやってくださいますよ」
ソフィアさんはちっちゃく、控えめなガッツポーズを作った。
<7>
俺は剣士に。さゆねこは当初の予定通り弓兵にジョブチェンジした。
大聖堂を出て二人でステータス画面を確認してみる。まだ職業欄の名前が変わっただけに過ぎないが、それでも嬉しかったりする。
名前:☆八坂長緒(11)
種族:人間
職業:剣士(1)
○ステータス
HP:1011
SP:210
ATK:117
DEF:127
○装備
頭:ザワー蛇革の帽子
右手:
左手:革のグローブ
体:旅人のマント
足:ザワー蛇革の靴
装飾品:鞘
装飾品2:
○スキル
・横薙ぎ
・剣の加護
あれ。
ATKの数値が微妙に減ってんのは右手に何も装備してないからだよな。でも装飾品のスロットが増えてる。レベルか、ジョブを変えたことで開放されたのか? 分かんねえ。きっちりアナウンスしてくれよなー。
「お兄さんは結局剣士になったのですね」
「ああ、《剣の加護》ってスキルもあるし、ある程度は慣れてるからな」
だいたいのゲームじゃあ剣を扱うジョブは使いやすい。よほどのことがないと腐ったりもしないだろう。
「こっから魔法使いもマスターして魔法剣士にでもなろうかな」
「ふーん。アレですか。ラベージャとかいうNPCさんの影響ですか?」
「ん? かもな。お前だってカァヤさんの影響だろ」
さゆねこは元気いっぱいに頷いた。
「いよいよ出発ですか!」
「その前に武器屋とか寄りたいし、アイテムも買っときたい。準備してからカルディアに向かおうぜ」
「了解です! ふふふ、このゲームが少しは楽しくなってきましたね!」
俺は少し面食らう。楽しむ、か。月華舞踏会の人たちもそいつをモットーにしてたし、兄貴兄貴って気ぃ張り続けるのもしんどいよな。
「ああ、だな。have a ballってやつだ」
「夜月さんたちのクランで言ってましたけど。どういう意味なんですか、それ」
「楽しもうってことだよ。たぶん」
「おおー、英語はよく分からないけど、なんとなく分かった感じがします」
「あはは、なんだそりゃ」
次はカルディアって町の地下迷宮だ。そこに兄貴か、カァヤさんがいるといいんだけどな。
<EX>
太陽神の巨像編終わりです。
ここまでお付き合いください、まことにありがとうございます。皆様から頂戴した感想や評価が僕の原動力となっております。
次回更新は数日後を予定しております。時間は7時・19時のどちらかです。2章「常盤地獄」編にあたる部分の更新です。活動報告にてまたお伝えするかと思うのでよろしくです。




