第5話換金所の受付嬢はフリーズする
ダンジョンを出た俺は、その足で探索者ギルド『東京本部』の換金所へと向かった。
ガラス張りの巨大なロビーには、今日も血生臭い戦闘を終えた探索者たちが群がり、怪我の手当てをしたり報酬の束を数えたりしている。
防護服姿の俺がリュックを背負ってカウンターへ近づくと、いつもの顔なじみの受付嬢、佐藤さんがプロらしい営業スマイルで迎えてくれた。
「お疲れ様です、入江さん。今日もダンジョンの『お掃除』ですか? ええと、ギルド『天穿』の専属契約は一昨日で解除されているようですが……」
「ああ、これからは個人事業主としてソロでやることにしたんだ。とりあえず、今日の分の買い取りをお願い」
俺は背負っていたリュックを下ろし、中身をカウンターのトレイへ無造作にぶちまけた。
ゴトッ、ゴトゴトゴト……!
トレイの上に転がり出たのは、怪しい輝きを放つ極上の結晶と、見事な毛並みの素材だった。
「ひっ……!?」
佐藤さんの綺麗な顔が、一瞬で引きつった。
彼女は職業柄、毎日何百個もの魔石や素材を見ている。だからこそ、目の前にあるものの異常性が一目で分かってしまったのだ。
「こ、これ……『アシッド・スライムの核』が3個!? しかもこの透明度、不純物が一切ない超高純度レア個体のものですよ!? それにこの大きな毛皮は、地下三階のボス、マッド・コングの剛毛……それも最高級の部位が5枚……っ!」
佐藤さんの声が裏返り、周囲にいた他の探索者たちの視線が一斉にこちらへ突き刺さる。
「おい、冗談だろ? アシッド・スライムの核って、普通は強酸のせいで回収時にドロドロに溶けるか劣化するはずだぞ。なんであんな宝石みたいに綺麗な状態なんだ?」
「マッド・コングの剛毛も、あんな傷一つない極上品、どうやって剥ぎ取ったんだよ……」
ザワザワと騒ぎ出す周囲の声を無視して、俺は極めつけのアイテムをトレイの真ん中に置いた。
黄金の装飾が施された、眩い光を放つ一本の短剣。
「あと、これも査定して。ボス部屋の汚れの裏に落ちてた(・ ・ ・ )、『身体強化の魔刃』」
「か、『身体強化の魔刃』ぁぁぁーーっ!?」
佐藤さんがついに椅子から立ち上がり、絶叫した。
換金所全体が、水を打ったように静まり返る。
「え…?なんかいけないことした?」
読んでいただきありがとうございます!
評価とブックマークおねがいします!
執筆の励みになります!
次回もお楽しみに!




