第28話神話級災厄を、まとめて一網打尽
地球を数十回滅ぼす終末の酸性雨が、眼前にまで迫る。
だが、今の俺の固有スキル【特殊清掃】は、地球規模の国連からの依頼、そして数々の最高峰の現場をこなしたことで、人類の限界を突破した『神話級・超越スキル』へと完全進化を遂げていた。
これだけの世界最大のゴミ屋敷、掃除のしがいがあるというものだ。
「地球全域の負の遺産、成分分析完了。有機怨念、無機毒素、次元バグの複合汚れ。……全自動一括超微細分解洗剤、配合。出力ーー【無限】(インフィニティ・ミキシング)」
ゴオォォォォォォォォォン!!!
俺の背中の魔導タンクが、宇宙の誕生を思わせるほどの、目も眩むような純白の『超越光』を大爆発させた。
ノズルから解き放たれたのは、泡やミストなどという概念すら超えた、世界の理そのものをクリーンに書き換える『創世の洗浄波動』だ。
ドバアァァァァァァァァァァァァッッッ!!!
激しい閃光とともに放たれた純白の波動が、空間を埋め尽くしていた終末の酸性雨、そして数千の頭を持つ『ワールド・ポルーション』の巨体と正面から激突した。
次の瞬間、国連の最高幹部たちがモニターの前で、驚愕のあまり椅子から転げ落ちた。
触れるものすべてを腐らせ、世界を滅ぼすはずだった死の酸性雨が、俺の放った光に触れた瞬間にジュワジュワジュワ……と小気味いい音を立てて、ただの『お肌に優しい、高級ブランドの美容化粧水』へと、秒速で書き換えられていったのだ。
『グ、ギ、ア……ッ!? 溶ける……オレたちの……汚れが、根こそぎ消されていく……っ!?!?』
ボスの世界汚染自身が、自身の存在が消滅していく恐怖に、数千の顔を恐怖で歪ませて絶叫した。
彼らの身体を構成しているのは、人類がサボり続けた「手抜き掃除の結晶」だ。すなわち、完全なるクリーンなエネルギーで中和されれば、彼らは存在を維持することすらできなくなる。
「よし、これが最後の大掃除だ。人類が十年かけて溜め込んできた世界のバグ、根こそぎ『ピカピカ』にしてやるよ!」
俺は黄金に輝くモップの柄を両手で力強く引き絞り、奈落の空洞全体を薙ぎ払うように、大きく、美しく、一閃した。
ザーーーーッ!!!
【スキル発動:概念級・全次元絶対環境再生(創世クリーンアウト)】
ピカァァァァァァァァァァァァァァァッッッ!!!
デッキブラシの毛先から、この異界の空間すべてを完全に真っ白な黄金の光で埋め尽くすほどの、圧倒的な絶対クリーン波動が炸裂した。
その光の波は、世界汚染の巨体を正面から丸ごと飲み込み、奈落にへばりついていた十万人分の黒い汚泥、紫色の呪詛煙を、一分子の残さず綺麗サッパリと洗い流していく。
『ア、ガ……キレイ……スギル……人間よ、掃除を……ナメるな、よ……ッ!』
最後のメッセージと共に、世界最凶の災厄は、ただの「完璧なお掃除」によって、戦うことすら許されないまま、美しく昇華されて消滅した。
すべての汚れが消え去った後。
そこは、どこまでも澄み渡るクリスタルのような美しい輝きに満ち、高級スパのハーブの香りが心地よく漂う、神聖な空間へと生まれ変わっていた。
そしてその中央には、地球の核そのものが結晶化したような、見たこともない巨大な虹色の『創世神魔石』が、ゴロゴロと転がっていた。
『ピコーン! ピコーン! ピコーン!』
【地球全域のダンジョン環境の『完全環境再生』を達成しました】
【世界初:全次元のバグを『お掃除』により完全消去しました】
【清掃報酬:1兆円が口座へ振り込まれました】
【環境の劇的改善により、地球最高遺物『ガイア・クラウン』が出現します】
静まり返る異界の核心。
宇宙空間よりもクリーンになったその場所で、神城さん、ゴウ、リンの三人は、もはや言葉を失い、俺の持つデッキブラシの前に、神を拝むかのようにひざまずいていた。
モニターの向こう側ーー国連の本部では、数百人の各国の首相や大統領たちが、抱き合って涙を流し、人類の勝利と、世界最高の清掃員の誕生に、鳴り止まない喝采を送っていた。
かつて薄給で酷使され、ゴミのように追放された清掃員。
俺の持つ【特殊清掃】スキルは、ついに地球という一つの世界を丸ごと救い上げ、世界の誰も逆らえない『絶対の神職』。その名を永遠に刻み続けることになるのだった。
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