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第26話人類最後の希望


 国連からの超特大依頼を受けた俺たちは、国連軍の最高速ステルス輸送機に乗り込み、まずは全ての汚染の源流点とされる、我が故郷ーー日本の『東京大迷宮』へと直行した。


 上空から見下ろした東京は、無残な光景だった。

 街のあちこちから不気味な紫色の毒ガスが立ち上り、住民たちはすでに全員が避難を完了している。

静まり返った首都のど真ん中に、地球上の全ダンジョンと繋がっているとされる、特級異界ゲートが大きく口を開けていた。

 そのゲートからは、ドロドロとした黒い怨念汚泥が滝のように溢れ出し、周囲のコンクリートをドロドロに溶かしている。


「入江様、日本政府、および国内の全ギルドの残存戦力が、あなたの到着を待っています」


 神城さんに案内され、俺が輸送機のタラップを降りると、そこには数千人の自衛隊員や、名だたる有名ギルドの探索者たちが、藁にもすがる思いで俺を待ち構えていた。


 すると、その群衆の片隅から、ボロボロの衣服を身にまとい、顔を涙と泥でぐしゃぐしゃにした一人の男が、必死に俺に向かって這いつくばってきた。


「い、入江……! 入江、頼む、助けてくれ……っ!」

 声の主は、かつて俺を「戦闘力ゴミの役立たず」と追放し、自社ビルを差し押さえられて完全に破滅した元ギルド『天穿』のクレイだった。

 彼は差し押さえを免れたボロボロの装備を身につけ、国連のボランティアとしてこの現場の警備に駆り出されていたらしい。


「入江、俺が悪かった! お前がどれほど凄かったのか、今なら痛いほど分かるんだ! うちのギルドが潰れたのも、今世界が滅びかけてるのも、全部俺たちが掃除をサボって、お前を蔑ろにしたからなんだ! だから頼む、世界を救うついでに、俺の借金もなんとかしてくれよおぉぉぉ!」

 大の男が、俺のブーツの前に額を擦り付け、みっともなく号泣している。

 かつてエリートとして俺を月給二十万で酷使し、傲慢に笑っていた男の、あまりにも無残で醜い手のひら返しだった。


「クレイさん。俺は世界を大掃除しに来ただけで、あなたの人生の『汚点』まで片付ける義理はありませんよ」

 俺が冷たく言い放つと、周囲の自衛隊員たちが一斉にクレイを取り押さえ、無様に引きずっていった。

彼にはもう、俺の足元に近づく資格すら残されていないのだ。


「入江の旦那、準備は万端だぜ。世界中のカメラが、旦那のブラシ一振りに社命を賭けてやがる」

「いつでもいけるわ。あなたの後ろは、私たちが完璧に守る」

 ゴウとリンが、頼もしい笑みを浮かべて俺の左右に並ぶ。

 神城さんも、全ての魔力を解放する準備を整え、俺の後ろへと控えた。


「よし、それじゃあ始めましょうか。人類が十年かけて溜め込んできた、地球最悪の『汚れ』の全中和だ」


 俺は黄金に輝くモップを両手で天高く掲げた。

 これまでの全ての現場で蓄積した経験値が、固有スキル【特殊清掃】を、人類の歴史上、誰も到達したことのない『神話級・超越スキル』へと強制進化させていく。


 ピカァァァァァァァァァァァッッッ!!!


 俺の身体から、東京の夜空を真昼のように照らすほどの、圧倒的な黄金のクリーン魔力が爆発した。

 地球そのものを丸ごと洗濯する大仕事。

 それが今始まるー。


読んでいただきありがとうございます!

次回もお楽しみに!

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