表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
20/40

第20話因応報、そして世界へ



 その頃、かつて俺をゴミのように追放したギルド『天穿てんせん』の自社ビルは、完全に悲惨な地獄絵図と化していた。


「おい! クレイ! 隠れてないで出てきやがれ!」

「俺たちの給料はどうなるんだ! 装備の修理費を払え!」

 オフィスのエントランスには、残された数十人の所属探索者や一般職員たちが押し寄せ、怒号を上げながらドアを激しく叩いていた。

 だが、その奥のマスター室には、もはや彼らに応じるだけの力は残っていなかった。


「あ、ああ……どうして、どうしてこんなことに……」

 床に座り込み、髪をかきむしりながらブツブツと呟いているのは、かつてエリートとして君臨していたクレイだ。

彼の顔はゲッソリと痩せこけ、目の周りには真っ黒なクマが浮き出ている。

 天穿は今日、政府からの3億円の環境ペナルティ罰金の不払い、およびメインダンジョンの永久立ち入り禁止処分により、正式に【破産宣告】を受けた。自社ビルも装備もすべて差し押さえられ、クレイに残されたのは、個人で背負うことになった数十億円という途方もない額の借金の山だけだった。


「そうだ、入江だ……! 入江のところに行けば、あいつならきっと、俺を助けてくれる……!」

 クレイは血走った目で立ち上がり、よろよろと事務局長にしがみついた。

「おい! すぐに入江に連絡を取れ! 頼み込んで、うちのギルドの地下三階をもう一度掃除してもらうんだ! あいつが綺麗にすれば、管理権も戻ってくるし、お宝だって手に入る! 給料だって、今度は月給『100万円』にしてやるって言えば、絶対に喜んで戻ってくる!」


 だが、事務局長は哀れみの混ざった、完全に冷めきった目でクレイの手を振り払った。

「クレイさん……まだそんな現実逃避をしているんですか。テレビを見ていないんですか?」

「テレビ……? 何のことだ?」


 事務局長が無言でリモコンを操作し、壁の大型モニターの電源を入れる。

 そこに映し出されていたのは、成田空港のプライベートジェット専用の滑走路前で、無数の報道陣のフラッシュを浴びている、一人の黒髪の青年の姿だった。


『ーー本日、世界最強のギルド「創世」を伴い、アメリカ政府からの超巨額依頼へと旅立つ、世界唯一の環境再生探索者、入江湊氏です! 国連からはすでに、地球環境の救世主として特級国際VIPの称号が授与されることが決定しておりーー』


 画面の中で、高級な防護スーツに身を包んだ俺が、一本の輝くデッキブラシを肩に担ぎ、堂々とした足取りで専用機へと乗り込んでいく。その背後には、世界最強の魔導士である神城さんや、Sランクの護衛たちが誇らしげに付き従っていた。


「……一現場、100億円、だって……? 国際、VIP……?」

 クレイの口から、魂の抜けたような声が漏れる。

 自分たちが「戦闘力ゴミの役立たず」と見下し、月給二十万で酷使し、最後はゴミのように放り出した男。

 その男が今や、自分たちのような中小ギルドのマスターなど一生かかっても目も合わせられないような、世界の頂点へと羽ばたいている。その圧倒的な「現実」を突きつけられたのだ。


「う、うわああああああああああああっっ!!!」

 クレイは頭を抱え、自分のあまりの愚かさと無知さに対する絶望の絶叫を上げながら、その場に崩れ落ちた。彼の脳裏には、もう二度と戻らない、湊が笑顔で床を磨いてくれていたあの安全で豊かだったギルドの日常が、走馬灯のように駆け巡っていた。


 元ギルドの無能たちが、自業自得の罰を受けて完全に破滅し、歴史の闇へと消え去った瞬間だった。

 そして俺は、日本の枠を飛び越え、世界中のあらゆる迷宮の「汚れ」を消し去るため、大空へと飛び立つ。

 世界最高の清掃員による、地球規模の『超・大富豪お掃除無双』が再び幕を開ける―。

読んでいただきありがとうございます!

評価とブックマークおねがいします!

次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ