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第15話超越宝箱の中身と、神のモップ


「さて、このシークレット超越宝箱、何が入ってるかな……」

 俺は、大理石の床中央に鎮座する、眩いクリスタル製の宝箱に手をかけた。

 後ろでは、Sランク探索者のゴウとリン、そしてギルド代表の神城かみしろさんが、まるで世界が滅亡する瞬間でも見守るかのような緊張感で息を呑んでいる。


 パカリ、と小気味いい音を立てて蓋が開いた。

 中から溢れ出たのは、この世の物質とは思えないほど純白に輝く、一本の『』だった。


「これは……モップの柄、か?」

 俺がそれを取り出すと、脳内に直接、システムの詳細テキストが流れ込んできた。


【アーティファクト:神聖迷宮再生のディバイン・ロッド

【効果:固有スキル『特殊清掃』の効果範囲を十倍に拡張。洗浄・中和スピードを百倍に加速する。さらに、清掃時に獲得する経験値とシステムボーナスの発生率を『極大上昇』させる】


「……おいおい、マジかよ。お掃除専用の神話級ミソロジーアーティファクトじゃねえか」

 俺が呟いた瞬間、後ろにいたリンがカタカタと震えながら叫んだ。

「し、神話級の気配!? 冗談でしょ!? 世界に数本しか存在しない、一国の軍事力に匹敵するって言われる伝説の遺物が、なんでダンジョンの『掃除の景品』で出てくるのよ!」

「ガハハ! さすが入江の旦那だ! 迷宮の神様も、旦那に綺麗にしてもらって嬉しかったんだな!」


 ゴウが豪快に笑う。

 俺はさっそく、愛用の特製デッキブラシのヘッドを外し、その『神聖迷宮再生の柄』へとカチリと装着した。

 その瞬間、ブラシ全体が神々しい黄金の光を帯び、俺の身体に無限の魔力が流れ込んでくるのを感じた。


「よし、テストを兼ねて、次のエリアに行きましょう」

 俺たちはさらに奥、地下二階へと続く巨大な階段を下りていった。


 第二エリアは、かつて数多くの探索者を葬ってきた『死霊の沼』と呼ばれる難所だった。

 床一面がドロドロの黒い沼地と化しており、そこから溢れ出る強力な瘴気が、侵入者の生命力を秒単位で削り取る最悪の環境だ。普通なら、強力な結界を張って一歩一歩進むしかないのだが。


「神のモップの性能、試させてもらうぞ。……環境、一括強制洗浄」

 俺は新しく手に入れた柄を両手で握り、黒い沼に向かって、ただ『一回』だけ、優雅に滑らせた。

 ザーーッ。


 その瞬間、神殿全体が激しく鳴動した。

 ブラシの毛先から放たれた黄金の光波が、まるで津波のように通路を駆け抜けていく。

 触れた黒い沼はジュワァァァと蒸発し、わずか一秒で、完全なる『透明な純水』へと書き換えられていった。


「は……? 一振りで、第二エリアの沼が全部消えた……?」

 リンが白目を剥いてその場にへたり込む。

 効果範囲十倍、スピード百倍の性能は伊達じゃない。本来なら一時間はかかる広大なエリアの清掃が、文字通り『一瞬』で完了してしまった。


『ピコーン!』

【死霊の沼の完全環境再生を達成しました】

【清掃報酬:死霊王の王冠(特級呪物・換金価値:8,000万円)を入手しました】

【清掃経験値を極大獲得。レベルが5上昇しました】


「よし、これでまた一億円近くの稼ぎだ。神城さん、この調子で今日中に最深部まで大掃除しちゃいますね」

「はい、はい……っ! ぜひお願いいたします、入江様!」

 神城さんは興奮で頬を紅潮させ、何度も激しく頷いた。


 俺が世界最高の道具を手に入れ、異次元のスピードで資産を増やしていく中。

 東京の別の場所では、俺を捨てた無能どもが、自分たちの犯した罪の重さにようやく気づき、絶望のどん底へ突き落とされようとしていた。


読んでいただきありがとうございます!

次回もお楽しみに!

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