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男女比1:1000の世界でも野球観戦がしたい  作者: げんずむ


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第22話 この世界の日本の領地

若月警部に案内してもらって色々と買い物をした。


財布、替えの服、替えの下着、靴などを買ったら4万円などあっという間に無くなってしまった。生活必需品って案外多いな。また何かお金を稼ぐための手段を見つけないといけない。


「ちなみに精子提供って2日連続で行ったら怒られたりします?」


(あの人そんなに溜まってるのね・・・ ひそひそ)

(いやね若い人はこれだから・・・ ひそひそ)


なんて言われた日には恥ずかしくて病院に行けなくなってしまう。


「いやむしろ喜ばれると思うが・・・。え、キミそんなことが可能なのか?」

「あはは・・・ お恥ずかしながら俺は人より精子を作る能力が高いみたいでして・・」


お恥ずかしながらというか本当に恥ずかしかった。

しかしもし俺のY染色体がウイルスに感染しておらず、正常なのであればできる限り提供して残しておいた方が良いだろう。


「そ、そうか・・・。凄い人だったのだなキミは・・」


通常は月に一回ということを考えるとそれは確かに凄いのかもしれない。

しかし悩ましい。俺のY染色体について誰かに話した方がいいのだろうか?もし話すとしたら水蓮さんだろうが、話をしたらどうなるか想像することもできない。下手したら軟禁されて種馬生活を送れと言われる可能性だってある。そう考えると今回の精子提供も危険かもしれなかった。もし何かしらの検査を行った結果、非感染のY染色体を持つことが分かればどうなるか分からない。


俺は不安な気持ちを抱えたまま家路についた。俺はただこの世界で野球を楽しみたかっただけだった。最初日本とは違う異世界に飛ばされたと気が付いたときは世界を救えとか言われなくて良かったと思ったものだ。自分にはモンスターと戦うなど到底できそうにない。


しかしもしかしたら。

俺は世界を救わないといけないのかもしれない。

戦いはすでに始まっているのだ。


――――――――――――――――――――――


夕方5時。

大豊庵に到着すると伊月さんは忙しそうに夜時間の営業の準備をしていた。そばつゆは1週間ほど寝かせないといけないと聞いていたためどうするのだろう、と思っていたがもう寝かせず出すことにしたそうだ。じゃないと1週間近く店を開けることができなくなってしまう。一応寝かせる前と寝かせた後の味の違いを確認させてもらったが、なるほど寝かせた後の方が口当たりが少し優しく、味に深みがあるような感じがした。でも正直寝かせてなくても十分美味い。言われて飲み比べないと分からないレベルだろう。


「どうせあの人達に蕎麦の味なんて分からないでしょうからね・・・」


伊月さんが少しやさぐれていた。


夜時間の営業は18時からだったが、その前から店の前には列ができていた。今日は食べ終わったらさっさと帰る、を徹底することを伊月さんが宣言。あんまりノロノロ食べていると追い出すとまで言った。まあ昨日の状況を考えると仕方がないだろう。注文もしないのに店内に居座る客は飲食店からすると邪魔で仕方ない。

途中部活を終えた美月も合流してくれたが、今日も凄い数のお客さんだった。俺は相変わらずお話するだけ。お客さん達は嬉しそうにしてくれたが、やはり少し申し訳ない。今日は野球中継もなかった。月曜日は元の世界と同じ移動・休養日なのもあるが、基本的に北条か三好しかテレビ中継はしないらしい。


――――――――――――――――――――――――――


今日も労働を終えてお風呂から上がって一休みしていると美月が俺の部屋にやってきた。パジャマ姿の破壊力はすさまじい。でかい。何もかもでかい。下着も付けていないようだった。危ない危ない。病院で精子提供していなかったらどうなっていたことか。女性2人と同居しているせいでどうしても自分で処理する気にはならないのだ。


「あ、ご、ごめんね・・・ 夜中に男の人の部屋に来ちゃうなんて・・・」

「いやいいんだよ」


もう襲われたら襲われたでいいやって気持ちだ。彼女達には本当に散々世話になった。もしそれで喜んでもらえるなら全く問題ない。


「それで・・・今の日本の状況を教えて欲しいってことだったよね・・?」

「うん。俺って記憶がないから諏訪湖の周りのことしかよく分からなくて・・・。今の日本がどうなっているか知りたいなーって思うんだけどいいか?」

「う、うん・・分かった・・・」


美月は中学の授業で使う地図帳を見せながら俺に今の日本の状況を教えてくれた。


「ふむ・・・」


今の状況をまとめるとこんな感じか。


関東北条領:元の世界の東京 千葉 神奈川 茨城 埼玉 

関西三好領:元の世界の大阪 兵庫 京都 奈良 和歌山 三重 滋賀 岐阜の南側

東海今川領:元の世界の山梨 静岡 愛知 

越後長尾領:元の世界の新潟 山形 

陸前伊達領:元の世界の宮城 栃木 群馬 福島

北陸朝倉領:元の世界の富山 石川 福井 岐阜の北側

四国西園寺領:元の世界の香川 高知 徳島 愛媛

中国毛利領:元の世界の岡山 鳥取 島根 広島 山口

東北南部領:元の世界の秋田 岩手 青森

九州大友領:元の世界の福岡 佐賀 長崎 大分

九州島津領:元の世界の宮崎 熊本 鹿児島 


信州真田領:元の世界の長野


「なるほどなあ・・・」


地図帳を見る。改めて見ても真田はかなり厳しい状況だな。よくこの状況で領土を維持できたものだ。他の地方の領土が割と広大なこともあり、余計にそう思う。真田の先祖がよほど上手く立ち回ったのだろうな。しかも真田領は6つの領土に接触している。越後長尾領、陸前伊達領、関東北条領、東海今川領、関西三好領、北陸朝倉領と領土も広い強豪ばかりだ。歴史シミュレーションをやっていてこんな状況になったら泣きたくなったかもしれない。


そしてこの中で野球チームを持つ領地は6個。1リーグ制でプロ野球をしているらしい。


・北条ファルコンフォース

・三好コンドルウォリアーズ

・伊達カナリアクラッシャーズ

・今川ツバメンジャーズ

・長尾メジロスラッシャーズ

・真田スズメーズ


「なるほどなー」


この中で北条ファルコンフォースと三好コンドルウォリアーズが人気球団で、毎年優勝争いをしているとのこと。昨日の中継では北条の本拠地で試合をしていたが、それはもう見事な球場だった。エスコンみたいだった。

きっと各地方に自前の球場があるのだろう。是非制覇してみたいものだ。


「しかしなあ・・・」


そのためには金が要る。この世界で旅行をするのっていくらくらい必要なんだろうか?少なくとも護衛が必要だからその分の費用も俺が支払わないといけないのだろうか?護衛の旅費や人件費もと考えるとかなりの費用になりそうだ。


そのためにもまた明日精子提供に行かないといけないかもしれないな。

それに俺の持つY染色体について報告しないといけないかもしれない。


正直悩ましいし、怖い。でも話さない訳にもいかないだろう。

話した結果俺は一体どうなるのか。

想像することもできなかった。

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