⑥ 裁きを下す
「銅山の女王。貴女も、もうオシマイよ。手下どもは、みんな私が始末したわ。それにしても、もう少しましな者を近習に出来なかったのかしら。余りにもお粗末で、手応えが無かったわ。それで…何か申し開きする事でもあるのかしら?」
「無いわよ、そんなの。別にワタシは悪い事はしていないし、ここで…このウラル山脈で女王だったのよ。それで幸せだったの。地底世界の住人も、ここのロシアの坑夫たちも、私のこの姿に心奪われて、みんな従順で可愛かったわあ。」
「ふん、そんなニセモノの顔で…貴女は、それを良い事に、彼等を皆、自分たちのための都合の良い奴隷に、仕立て上げたのね?そして言う事を聞かない者たちは、手下のトカゲ男たちを使って、容赦無く痛めつけた…。」
「そうよ。私はここの女王様なのよ。ナニが悪いのよ?」
「でも貴女は、ニンゲンではない…貴女は爬虫類族の…それもアラハバキの一派。あんな小さな子どもたちまで、人体改造してこき使って…許せないわ。」
「一体、アナタに何の権利が有って、この私を裁くと言うのかしら?」
「何の権利も無いわ。ただ、貴女の振る舞いが、気に入らないだけよ。」
「なによ…ソレ?」
「それに私は、超時空の魔女。神でも仏でもない…だから慈悲の心も無いのよ。例え貴女がどんなに、悔い改めたフリをしても、それは無意味な事よ。」
「…そう。」
「…とは言ったもの、貴女は、女性のアラハバキ。本来は、非戦闘員ですものねえ?もう金輪際、悪さをしないと誓うなら、見逃してあげなくもないわ。」
そう言うと雪子は、銅山の女王に背を向けて、スタスタ歩き出した。
しかし、生まれながらに卑怯者の、アラハバキの女が、この機を逃す筈も無かった。
彼女は、王座の背後に隠し持っていた剣を取り出すと、ソレを真っ直ぐに構えて、雪子の背中に向かって突進したのだ。
しかし次の瞬間、胸から剣の切っ先が飛び出していたのは、銅山の女王の方だった。彼女の持つ方の、剣の切っ先は、亜空間に消えていた。
「ああ言い忘れてたけど、このセーラー服は、最近改良した特製品なのよ。背中に、自動防御システムが、縫い込まれているの。攻撃して来た相手に、同じダメージを与えるのよ…って、もう聞こえてないか?」
雪子は憐れむような目で、倒れている女王を見つめながら、その剣を取り上げると、おもむろに彼女の首を切り落とした。そして右手から高温度の炎を出すと、念入りにソレを燃やしてしまった。
「あ〜あ、残念。コレで鉱山の女王の伝説も、オシマイね?」
雪子は最後にそう言い残すと、また洞窟を辿って、地底世界に戻って行ったのだった。




