④ 坑道の中に
「さて、貴方たちの親玉…女王とやらは何処に居るのかしら?」
雪子が空中のトカゲ男たちに尋ねるが、誰も口を割らない。だが、その内の一人が、チラリと坑道を見た。
「その中なのね?」それを、目ざとく見つける雪子。
「じゃあ、もう、貴方たちに用は無いわ。」
彼女はそう言うと、左腕のリングで空に時空の穴を開けて、トカゲ男たちをそこへポイポイ投げ入れてしまった。
こんな時のために、設定されたその穴の出口は、地球と月の中間辺りの、宇宙空間だった。
「いくら不老不死でも、呼吸出来なければ、オシマイよね?」
彼女は、そんな捨て台詞を残して、坑道の中にスタスタ入って行く。
道中、暗がりの中から、次々に剣を持ったトカゲ男たちが襲いかかって来たが、雪子はソレを一人ずつ、順番に片付けた。
剣を奪っては、相手の首を切り落とす。そして再生しないように、ソレを燃やす。この繰り返しだった。
何しろ、狭い坑道内だ。相手も直線的な攻撃しか出来ない。ソレだけでも、雪子に有利な状況だった。
そのうちに、やがて坑道内が突然広くなった。
そこは立派な王座が備えられた、明らかに特別な部屋だった。
「ここが女王の部屋って訳ね。主はどこかしら?」
呟きながら、更に進む雪子。
すると、左腕のリングからアラート音が鳴り、空中にホログラム画面が映し出された。
警告
ここより時空変動有り。
座標
西暦1800年3月2日
時刻07時00分
北緯52度41分
東経58度38分
「この坑道も、一種のポータルだったのね?ここから先は、ロシア帝国のウラル山脈南部ってところかしら?共通点は、銅山という事だけみたいね?」
独り言を呟きながら、先に進む雪子。
やがて坑道内が明るくなり、出口になった。
そこでは地底の鉱山と同様に、坑夫たちが忙しく働いていた。ただ、ここでは強制労働の感じは無い。肌の色も、普通のロシア人のままだ。
そんな男たちの中に一人、明らかに違和感の有る人物が居た。ソレは一つに束ねられた長く艷やかな黒髪に、エメラルドグリーンの瞳、ドレスも緑色の、美しい女性だった。
アレは、一見ニンゲンにしか見えないけど、アヤシイわね。雪子はそんな事を考えながら、慎重にその女性に近づいて行った。
ニンゲンの作業監督らしき者が、彼女の指示を仰いで居た
「アゾフカ様。今日の採掘スケジュールは、コレでよろしいでしょうか?」
「そうね。いつもご苦労様。今日も皆さんで、お仕事に励んで下さいね。」




