⑳ 枝分かれした一族
「あの隕石落下時に、地下に潜る道を選んだのが我々。宇宙へ飛ぶ道を選んだのが彼等を含む者たち、という事だ。」
「そうだったんですね?」
「だが、あの惑星には、鳥族の一派が先住していて、それらと度々対立していたと聞いているな。」
(それはカグヤたちの事ね。)
雪子はすぐ気づいたが、またも黙っていた。
「この惑星を出て行った爬虫類族は、何故か好戦的な者たちが数多いと聞くが…果たしてキミたちニンゲンと、どちらが上かな?」
女王はそう言って、またニヤリと笑った。
「話は変わりますけど…。」
これ以上、ヘンなツッコミが入らないうちにと、雪子は話題を変えた。
「…この地下に済むニンゲンの一族とは、上手く共存されているのですね?」
「ネアンデルタール人の、成れの果ての事だな。彼等は、とても穏やかな性質だ。一緒に居ても、何の問題も無いな。」
「…それでは、例の"トカゲの女王"の行ないは、何故放置なされたので?まさか、気づかなかった訳ではあないでしょう?」
「いや、ポータルのアチラとコチラで、それ程あくどい事をしているとは思えなかったので…同胞に対する贔屓目が出てしまったな。その節は、済まなかった。」
女王も素直に謝った。
「それに基本的に我々は、お互いの守備範囲内ではない事には、極力干渉しないようにしているしな。もし関わるとすれば、トカゲの女王は銅山、赤いニンゲンたちは銀山、我々は金山を、それぞれ管理して、時には地上も含めて、お互いに貿易しているぐらいかな。」
「…成る程。良く解りました。つまり、貴女のお仲間たちは、城壁のコチラ側で暮らして、他の種族とは、出来るだけ関わらないようにして居る、という事ですね。では、そのようにサン・ジェルマンに報告しておきましょう。」
「うむ。我々としては、今後も地上の者たちと、良き距離感を保ちつつ、付き合って行きたいと考えている。その旨よろしく伝えてくれたまえ。」
女王はそう言って、満足そうに笑った。
「それでは、そろそろお暇致します。姿は見えませんが、皆様によろしくお伝えください。」
雪子は最後の挨拶を終えて、城内を去って行った。
ポータルの穴へと帰る道すがら、改めて人工太陽に
注目すると、やはり地上のモノより、赤外線の量が多い気がした。
だから常春のような気温とともに、地下世界全体が、薄ぼんやり赤い感じがするのだろう。
彼女はそう推測したのだった。




