⑲ 爬虫類族の願い
「とは言うものの、我々としても、気晴らしとレジャーを兼ねて、度々地上の様子を、見に行ったりはしている。もちろん、ニンゲンたちを驚かせないように、変装してな?」
(都市伝説でよく聞く"レプティリアン"てやつね。)
雪子はすぐにそう思った。
「一つ言わせもらっても、良いかな?」
「…どうぞ。」
雪子はイヤな予感がした。
「地上の様子を見る度に思うのだが…何故ニンゲンは、あそこまで環境を破壊しなければ、文明社会を維持出来ないのだ?バカなのか?」
(やっぱり、そう来るのね。)
他の種族から見たら、ニンゲンのバカさ加減に呆れる。コレは先日も、犬族や猫族から、異口同音に言われた事であった。
「…返す言葉も無いわ。今後は私たちで、何とかするつもりとしか…。」
「サン・ジェルマンたちからは、ああ言われたが、目に余る場合は、我々とて、黙ってはいられないからな。」
「…肝に銘じておくわ。」
雪子としては、そう答えるしか無かった。
「…まあ、ナチスとかいう連中が押しかけて来た時は、サン・ジェルマンズに世話になったし、その後、南極のゲートが壊された時も、代わりにチベットのゲートを紹介してもらったから、キミらには感謝しているがな。」
「ああ、ゴメンなさい。そのゲートを壊しちゃったの、私です。」
雪子は正直に謝罪した。
「ほう。それはまた、何故?」
「危険なナチスの連中が、アレ以上ここに入れないようにするためだったんですが…皆さんが先住しているとは知らず、乱暴なやり方でした。反省してます。」
「まあ、いかにもニンゲンらしいやり方だな。今さら仕方の無い事だ。」
女王はそう言って、苦笑した。
「そもそも、そういう事が無いように、各ポータルの穴に、大蛇を住まわせていたのだ。しかし後から、勝手に管理者を名乗る、犬族や猫族の者どもがやって来て、それらをことごとく殺してしまったのだよ。」
「そちらの者たちも、実は私の知り合いなのよねえ…代わりに重ねてお詫びします。」
珍しくペコペコする雪子。
(よく事情も調べずに行動すると、こういうツケが廻ってくるのね。)と反省しきりだった。
「…ただ一つだけ、言い訳を許していただけるなら…。」
「何だ?言ってみなさい。」
「我々も"アラハバキ一派"という、とてもタチの悪い爬虫類族の動向を、追っておりまして…。」
「ああ、あの惑星ニビル由来の、爬虫類族の一派だな?」
「ご存じなのですね?」
「実はヤツラも、この惑星ガイアの脱出組だからな。元を正せば、同じ先祖を持つ者なのだよ。」
女王は、ニンゲンの変装を解除して笑った。




