3話「翌朝」
翌朝の王室にて。
「2人とも、意は決まったか?」
「はい」
「ならば結論を述べよ」
王室に、しばしの沈黙が訪れる。その後、2人は同時に口を開いた。
「私たち、アルメリア王国の双子姫は、
アルメリア王族の品格と名を守るため、試練に挑戦すると決めました」
力強く言い切ると王は、ほっとしたような、少し残念なような、複雑な顔をして、ゆっくりと頷いた。
「分かった。エイラ。あれを持ってこい」
「仰せの通りに」
そばで見守っていたエイラは、しずしずと部屋の奥へ引っ込んでいき、
何やら2つの茶色いバッグを2人に差し出した。
「この中には10000レルと庶民服が入っています。あと、これを持っていきなさい」
そう言って最後に手渡されたのは、1冊の分厚い本だった。
「これは、この国に伝わる魔道書です。修行の間、数々の災難が貴方たちに降りかかることでしょう。
でも、ここに記されている魔法を使えば、どんなことだって乗り越えられます」
「……ということだ。いいな?」
「分かりました。きっと、生きて帰ってきます」
声を合わせて頷くと、王と王妃の表情が少しだけ緩んだ。
「よしいい子だ。朝食を済ましたらすぐに出発だ。
朝食まで少し時間があるから、 その間に準備を済ませておけ。では解散だ。」
ディグスがそう言うと、2人は部屋に戻っていった。
「ふぅ」
荷造りを終えたシェルとシェヌは、
廊下の壁にもたれかかってため息をついた。
「この部屋とも、お別れなのね」
名残惜しそうに淡いピンクの部屋を眺めるシェヌ。
2人の部屋にある調度品は、全て色違い。
本当は同じものが欲しいのだが、
そうすると本当にどっちがどっちだか
わからなくなってしまうので
シェルは水色、シェヌはピンクと決めてあるのだ。
「また1年後に戻ってこられるわ」
「シェル様、シェヌ様、朝食の準備が整いましたー」
姉が勇気づけたところで侍女が2人を呼びに来た。




