1章~全ての始まり~1話「誕生会」
アルメリア王宮の大広間。今は双子姫の誕生日と言う事で国の有力者たちが集まり、
華やかで盛大なパーティーが開かれていた。
料理、装飾品、祝いの品の数々は全て、今日の日のために国中から集められたものだ。
「シェル様、シェヌ様。如何なさいましたか?」
談笑する客人たちで賑わう中、部屋の隅でぼんやりとしていた双子姫に1人の男が声をかけた。
この男はレイヴンという名の姫直属の召使だ。
「ええ、少し気になることが……」
「シェル様、私と一緒に踊っていただけませんか?」
レイヴンの問いに答え終えるより先にダンスの相手を申し込まれ、ここで会話は打ち切られてしまった。
さすがに客人である貴族の誘いを断ってまで、召使いと話をするわけにはいかない。
「はい、喜んでお受けしますわ。……シェヌ、またね」
シェルは軽く手を振り、その場を去った。
シェヌはシェルの去った後をしばらくの間、見つめていた。
そのとき双子姫が感じていたものは、
思わず身震いしてしまうほどの恐ろしい視線。
護衛のものとは違う、
明らかな敵意を持った……そんな視線だ。
しかし、その後すぐにシェヌもダンスに誘われ、
そんなことを考えている暇はなくなった。
誕生会は何も問題が起こらず、予定通りに進行していく。
やがて誕生会はお開きとなり、大広間には王族だけが残された。
「改めておめでとう。シェル、シェヌ」
「ありがとうございます、お父様」
王の言葉に、双子姫はそっくり同じ動作で跪く。
「しかし、だ。お前達に1つ、言わなければならない事がある。
もうお前たちは立派な王族の一員だ。
そこで、代々この国に伝わっている試練を課すことにした」
2人が部屋に戻った後の静まり返った大広間には、
ディグス王とエイラ妃の話し声だけが静かに響いていた。
「いいのですか?愛娘を2人、失うのかも知れないのですよ?」
「そんな暗いことを言うな。今は2人の成功を祈ろう。」
「……そうですね。」
エイラがそう言うと、ディグスは、ハハッと笑い、2人で大広間を出て行った。
誰もいなくなった大広間には、大勢の魔物で溢れ返っていた。




