訓練の後には、湿布が欲しい
「だぁ……」
私はその場にへたり込んだ。
「はぁ……はぁ……」
両腕が重い。いや重いというより――痛い……メイスを振り下ろすだけ。たったそれだけなのに。
「なんでこうなる!?」
四歳児の腕には、あまりにも重すぎる。
「クルークちゃんや!」
お祖母様が明るい声をかけてくる。
「あと二回、振り下ろしましょ!」
「……」
明るく言っとる。この人。めちゃくちゃ明るく言っとる。でもこっちは限界なんですよ!
「い、いきます……」
私はメイスを構える。
「フン!」
ズシッ!
「フン!」
ズシッ!
「……」
二回。二回連続が限界だった。
「もう……無理……」
両腕がパンパンだ。
「アタタタ……」
私は腕をさする。
すると、お祖母様が笑顔で頷いた。
「よく出来ました!」
「……」
「少し休憩してなさい!」
「はぁ……」
私はその場に座り込む。
「はぁ……はぁ……」
厳しい。
お祖母様の訓練、厳しすぎる。
まだ四歳なんだけど?
「アタタタ……」
腕を揉みながら考える。
こういう時、前世なら湿布でも貼ればいい。
冷たい湿布を貼って、しばらく休めば楽になる。
湿布が欲しいところだけど……この世界に、そんなものはない。少なくとも私は見たことがない。
「……」
そういえば庭の隅に、イタドリみたいな植物が生えていた。
大きな葉っぱ。昔、何かで見たことがある。
もしかして……私は立ち上がり、庭の隅を見る。
あれ……やっぱりある。イタドリに似た葉。
「……」
前世で聞いたことがある。
植物の葉を揉んで、患部に当てる方法。
もちろん、本当に湿布と同じ効果があるのかは分からない。
この世界の植物だ。同じ植物とも限らない。
「でも……」
今の私は、腕が痛い。
試してみるくらいなら――やってみようかな。私は葉っぱのところへ近づく。
一枚摘んで、手のひらで揉んでみる。
くしゃ。
「うーん……」
独特の匂いがする。さらに揉む。
「これを腕に当てて……」
私はそっと腕に乗せる。
「……」
果たして、これで少しは楽になるのか。
私はじっと葉っぱを見る。
もし使えるなら……湿布の代わりになる。
そうなれば、武術の訓練だけじゃない。
怪我をした時にも使えるかもしれない。
「……また新しい発見かも」
私は少しだけ笑った。
まさか。お祖母様の訓練で筋肉痛になったことから――新しい植物の使い道を考えることになるとは。
「領地開発って、何がきっかけになるか分からないなぁ……」
そう呟きながら、私は腕に葉っぱを当て続けた。




