パンパ家、初めてのバーベキュー
「うむ……」
私は庭を見回す。
石を積んだ簡易的な焼き場。その上には鉄網。
周囲には家族が座るための敷物。
うん。
これで一応、バーベキュー会場になった。
「……折り畳みの椅子と、折り畳みの机」
ふと、そんなことを思う。
これも開発しなくては!
バーベキューだけじゃない。
普段の生活でも使える。折り畳めれば収納もしやすい。これは商品になるかもしれない。
……まあ。そんなのは後回しだ。
今は――目の前のバーベキュー!
「クルークお嬢!」
リヒトさんが厨房からやって来た。
手には小さな器。
「タレはこんな風に出来たけど、良いか?」
「おお!」
私は器を受け取り、そして――ペロ。
「……」
「どうです?」
「うむ!」
私は頷いた。
「この味は……間違いなく某有名メーカーの、あの味!」
「そ、そうなのか?」
「合格!」
「はぁ……」
リヒトさんがホッとしたように息を吐く。
「それなら良かったです」
「リヒトさんも混じって!」
「え?」
「一緒に食べましょう!」
リヒトさんが少し驚いた顔をする。
「いいんですか?」
「もちろん!」
今日は家族だけじゃない。
料理を作ってくれたリヒトさんも一緒だ。
「これが……バーベキュー?」
リヒトさんが周囲を見る。
「そうよ!」
私は説明する。
「みんなで食べたい肉や野菜を好きなように焼いて、タレを付けて食べるの!」
「なるほど……」
リヒトさんが焼き場を見る。
「じゃあ、お酒も持ってきます!」
「お酒!」
お祖父様が反応した。
「はい。大人の方にはお酒を。子供ズーには果汁ジュースを!」
「わーい!」
ブレイお兄様とワイズお姉様が喜ぶ。
「私も!」
「もちろん、クルークちゃんもね」
お婆様が笑う。
「やった!」
飲み物まで揃った。あとは肉を焼くだけ。
「うむ!」
お祖父様が焼き場を覗き込む。
「火加減もそろそろいいぞ!」
「本当だ!」
固形炭が赤くなっている。
私は肉を持ってくる。
鹿肉。猪肉。そして野菜。
「では!」
鉄網の上に肉を並べる。
ジュウゥゥゥゥ――。
「おお……」
いい音だ。
香ばしい匂いが漂ってくる。
「ほう」
お祖父様が肉を見る。
「薄切りにした肉を網で焼くのか」
「そうですよ!」
私は頷く。
「焼けたら、それをタレにつけて食べるのです!」
「これか……」
お祖父様が焼けた肉を取る。
そしてタレにつける。
「……」
一口。
「うっ!」
何か問題が!?
「旨い!」
「よかった!」
お祖父様が目を見開く。
「婆様も食べてみろ! すごい旨いぞ!」
「そんなに?」
お婆様も肉を取る。
タレにつけて――。
ぱくっ。
「……」
お婆様の目が大きくなる。
「……美味しいわね」
「でしょう!」
私は胸を張る。
「これがバーベキューです!」
お祖父様とお婆様は、顔を見合わせる。
そして――。
「もう一枚焼くか」
「そうね」
「……」
私は思った。
やっぱり、この二人。肉が絡むと仲がいいな。
まあ、いいか。
今日は細かいことは気にしない。
「さあ! どんどん焼きましょう!」
パンパ家初のバーベキュー。
こうして――大いに盛り上がることになった。




