バーベキュー会場を作ろう
「リヒトさーん! 準備はどう?」
私は厨房へ向かって声をかける。
「大丈夫ですよ! 網持ってて下さい! 野菜を切ったら持っていきます!」
「分かった!」
私は鉄網を受け取り。
よし!
これで準備は進んでいる。さて、次は火を焚く場所だ。
「石を積み上げて……っと」
庭の一角に石を並べる。その上に鉄網を置く。
「うん。こんな感じかな」
そして燃料はもちろん――。
「固形炭!」
普通の薪でもいいけど、今日は固形炭を使う。
火力を調整しやすいし、じっくり焼くにはちょうどいい。
「網を使うのか?」
後ろから声が聞こえたので振り返る。
「そうですよ! お父様!」
そこには父様がいた。
「ほう。野営とは違うのか」
野営は分からんが……お祖父様が横から口を挟む。
「まあ、肉を焼くなら何でもよかろう」
「そうそう!」
細かいことは気にしない。
肉が焼ければいいのだ。
「お父様!」
「ん?」
「火をつけておいて下さい!」
「分かった。任せろ!」
父様が胸を張る。
「火なら得意だ」
「さすがお父様!」
さすが元軍人。火起こしには自信があるらしい。私はその間に周囲を見回す。
「うーむ……」
あとは……立って食べるのも、あれか……バーベキューと言えば、座って食べたい。
でも折り畳みの椅子なんて、この領地にはない。
「ここは……」
私は辺りを見回す。そして、少し考える。
茣蓙のような物を作ればいいか?地面に直接座るよりはいい。
竹なら、この領地には大量にある。
編むこと自体は職人たちも得意だ。
今度、簡単な敷物として商品化してもいいかもしれない。
「うん。これでいこう」
とりあえず今日は、ある物で何とかする。
私は地面を見ながら、頭の中で完成したバーベキューの光景を思い浮かべる。
炭火。鉄網。鹿肉。猪肉。野菜。
そして自家製焼肉のタレ……。
「桜の花でも咲いてれば、中々の情緒なんだけどなぁ」
桜がこの世界にあるのかは分からない。
「まあ、贅沢は言わないっと」
今は肉がある。それだけで十分だ。
そう思っていると――。
「クルーク!」
父様の声が聞こえた。
「火がついたぞ!」
「はーい!」
見ると、固形炭に火が入り、赤々と燃え始めている。
おお……いい感じだ。
「これなら、すぐに肉が焼ける!」
私はワクワクしながら鉄網を見る。
今日はパンパ家初のバーベキュー。
絶対に美味しい。
いや!美味しくないわけがない!
「ふふふ……」
自然と笑みがこぼれる。そして私は、焼肉のタレを待つために厨房へ向かった。




