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転生した貧乏男爵令嬢、領地を開発して大金持ちになります!  作者: 稔


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鹿と猪、どっちも焼けばいいじゃない

木に吊るされた鹿。お目々くりくり……。


ピューーーッ!


勢いよく流れる血。

血抜きっていうのは分かる。

分かるんだけど……何じゃ、この光景は。


私はその場で固まっていた。


いや。ここ、貴族の屋敷の庭だよね?

もっとこう……花とか、噴水とか。

そういうものがある場所じゃないの?


なんで鹿が木に吊るされてるんだ。


そんなことを考えていると――。


「何じゃ。もう来ていたのか?」


聞き覚えのある声。

振り返るとお祖父様だった。


しかも右腕には目を回してるブレイお兄様。

左腕には……猪?


間違い無い。大きな猪を抱えていた。


「来ちゃ悪いかい?」


お祖母様が答える。


「何じゃ、その小さな鹿は?」


「はあ?」


お祖母様が鹿を見る。


「このくらいが一番美味しいんだよ、爺様!」


「婆様! 今日は猪鍋だ!」


「いや。鹿のステーキです!」


「「あー?」」


……なんか、この雰囲気は……まずい。

完全にまずい。お互い、自分の肉を食べさせようとしている。

お祖父様は猪鍋。お祖母様は鹿ステーキ。

このままでは、どちらを食べるかで喧嘩が始まりそうだ。


私は二人を見る。

猪を見る。鹿を見る。そして――。


パン!


と手を叩いた。


「だったら!」


二人が私を見る。


「せっかく外にいるんですから、バーベキューにしましょう!」


「「ばーべきゅー?」」


二人が同時に首を傾げた。


「そうです!」


私は胸を張る。


「お肉は部位ごとに切り分けておいてください!」


「……」


「……」


お祖父様とお祖母様が顔を見合わせる。

そして私は厨房へ走った。


「リヒトさん!」


「げっ!? なに!?」


厨房に入るなり、リヒトさんが嫌そうな顔をする。最近、私が厨房に来ると何かを作らされると分かっているらしい。


「焼き用の鉄網とトング!」


「……」


「それと、お皿を数枚!」


「……はい」


「あと固形炭!」


「はい……」


リヒトさんが諦めたように返事をする。


「それを全部、庭に持って行って!」


「はぁ……?」


「それと!」


「まだあるんですか?」


「今から言うものを作って!」


「何を作るんですか?」


「焼肉のタレ!」


「……」


「それに野菜を適当な厚さに切って!」


「野菜?」


「そう!」


私は満面の笑みを浮かべる。


「外でバーベキューするから!」


「ばーべきゅー?」


「そう!」


「……何ですか、それ?」


「お肉を焼いて食べるんです!」


「それなら普通に焼けば……」


「違います!」


私は力強く否定した。


「みんなで焼いて食べるんです!」


「……」


リヒトさんが首を傾げる。

まあ、説明しても分からないよね。

この世界にはバーベキューなんてないんだから。


でもせっかく祖父母が狩ってきた鹿と猪だ。

今日は肉祭りだ!


「早く急いで!」


「はい!」


リヒトさんが慌てて動き始める。

私はその様子を確認すると、庭へ戻る。

さて。鉄網。トング。固形炭。焼肉のタレ。

野菜。そして大量の鹿肉と猪肉。


……。


これは絶対に美味い。

私の口元が自然と緩んだ。


今日は――パンパ家初のバーベキューだ!

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