パンパ家、脳筋の血が濃すぎる
あの高さから落ちて?いや。飛んだと言うのか!?どーなってるんだ!?
崖の向こうへ消えていったお祖父様とブレイお兄様。その姿を見送った私は、しばらく固まっていた。
そりゃー、ブレイお兄様が嫌がるわけだ。
というか、怖がるよね!?
普通の剣術の練習だと思っていたら、いきなり崖から飛び降りるんだもん!
なんて無茶苦茶な遊びなんだ……。
はぁ〜。
思わず大きなため息が出る。
すると隣にいたワイズお姉様が、私を見る。
「ワイズお姉様?そのため息は?いや……お祖父様って、いつもあんな感じなの?」
「まあ……」
ワイズお姉様が少し考える。
「お祖父様だからね」
「答えになってないよ!?」
どうやらワイズお姉様にとっては、あれが普通らしい。
いやいや。普通じゃないから崖だよ?
崖。
人が飛び降りる場所じゃない。
「それにしても……」
ワイズお姉様が、崖の向こうを見る。
「お祖母様も来るって言っていたからさ」
「……」
嫌な予感がした。ものすごく嫌な予感がした。
「まさか……」
私は恐る恐る聞く。
「お祖母様も、無茶苦茶な人?」
「まあ……」
また、その返事。
「そうね」
「そうなの!?」
確定した。
お祖父様だけじゃなかった。
パンパ家には、まだ未知の脳筋がいる。
「ちなみに、お祖母様って何をする人なの?」
「何って……」
ワイズお姉様が首を傾げる。
「普通に強いよ?」
「普通に強い!?」
なんだその説明。
貴族のお婆ちゃんに対する説明じゃない。
「昔は、お祖父様と一緒に色々やってたみたい」
「色々って?」
「剣とか」
「……」
「槍とか」
「……」
「弓とか」
「…………」
嫌な予感がどんどん強くなる。
そしてワイズお姉様は、さらっと続けた。
「私は薙刀を持って来る」
「薙刀!?」
思わず声が裏返った。
「ワイズお姉様が!?」
「うん」
「そんな練習してるところ、見たことないけど……」
「家ではあまりやらないから」
「……」
私はワイズお姉様を見る。
いつも優しくて、面倒見がよくて、普通のお姉ちゃんだと思っていた。
それがまさかの薙刀。
「まさか……」
私は、ある一つの結論にたどり着いた。
「パンパ家って……」
ワイズお姉様を見る。
「脳筋家系!?」
「……」
ワイズお姉様が少しだけ考える。
「否定はできないかな」
否定してよ!!そこは!
「じゃあ、お父様も?」
「強いよ」
「お母様は?」
「お母様も昔は武術をやってたって聞いたことがある」
「……」
私は頭を抱えた。なんという家系だ。
私、こんな家に生まれたの!?
いや。貴族だから武術くらいは必要なのかもしれない。
うん。そうだ。きっとそう……たぶん。
「クルーク?なに?どうしたの?」
「ちょっと現実を受け入れてる」




