↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生した貧乏男爵令嬢、領地を開発して大金持ちになります!  作者: 稔


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
91/158

お祖父様、孫を担いで崖へ行く

「そうじゃった」


執務室で話を終えたお祖父様が、何かを思い出したように立ち上がった。


「ブレイと遊ぶ約束をしとったな」


「親父!」


お父様が慌てて声を掛ける。


「余り無理をしないように!」


「分かっとるわ!」


お祖父様は笑いながら手を振る。


「昔ほど無茶はせん!」


「……本当に?」


お父様が不安そうな顔をする。

わし……信用されてないなぁ。


◇


「ブレイ!」


「はい!」


お祖父様が、お兄様を呼ぶ。


「じいちゃんと遊びに行くぞ!」


「……」


「夕飯までだ!」


「げっ……」


お兄様の顔が引きつった。


「いや、今は……」


「何じゃ?」


お祖父様が首を傾げる。


「ガタガタ言わずに行くぞ!」


「いや、でも……」


「ほれ!」


お祖父様が何かを渡す。


「剣を持て!」


「……はい」


お兄様が渋々、剣を受け取る。

クルークはその様子を見ていた。


「……?」


なんだろう?お兄様は、剣の稽古は好きだったはずだ。むしろ、いつも楽しそうにやっている。なのに――


「なんか嫌がってない?」


お祖父様と遊ぶのが嫌なのかな?


「ちょっと、待って……」


お兄様が何か言おうとするが。


「待たん!」


お祖父様はお兄様のところへ歩いていく。


「わしが担いでやる!」


「え?」


「行くぞ!」


「ちょ、じいちゃん!」


次の瞬間。

お祖父様は、お兄様を右腕一本で抱え上げた。


「うわっ!」


「はっはっは!」


そのまま――走り出した。


「え?」


私は目を丸くし、お祖父様が走るのをみている。お兄様を抱えたままで、ものすごい勢いで。


「……」


どこへ行くんだろうと、クルークは二人の後ろ姿を見ていると……そして。


「……ん?」


進行方向を見る。


「あれ?」


あっちって――


「崖じゃない?」


お祖父様は止まらない。

走る。走る。さらに走る。


「ちょっと!?」


私は慌てて声を上げた。


「その先、崖――!」


ドドドドドッ!


「何じゃ!?」


お祖父様の声が響く。


「その先は崖!」


いや、私が言った!

お祖父様は止まらない。


「はっはっは!」


「じいちゃん!?」


お兄様の声。そして――


「え?」


二人の姿が。


「消えた?」


崖の向こうへ。クルークは慌てて走る。


「ちょっと待って!」


崖の近くまで行き下を見る。


「……」


森。かなり下に森が広がっている。


「……」


まさか。


「……落ちた?」


すると。


「ギャーーーーーーーーッ!」


お兄様の叫び声が響いた。


「!?」


その声とともに、二人の姿が森の中へ消えていく。


「…………」


私はその場に立ち尽くした。

しばらくして。


「……」


何も起こらない。


「……」


森の方を見る。


「……」


もう一度。


「……」


私は静かに呟いた。


「何じゃありゃ……」


ドン引きである。

あれがお祖父様とお兄様の「遊び」


「……」


私は思った。


「絶対、普通の剣の稽古じゃない」


むしろ。


「命懸けの遊びじゃない?」


遠くの森から。


「じいちゃん、待って!」


「まだまだこれからじゃ!」


そんな声が聞こえてきた。


「……」


私はそっと屋敷へ戻ることにした……お祖父様。やっぱり、元気すぎる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。