お祖父様のお土産は、小さな鎌でした
「まあ、お茶でも出しますので……」
お母様がそう言うと、お祖父様は嬉しそうに頷いた。
「そうじゃなぁ。頂くとするか」
そして私を見る。
「クルークにも土産があるぞ!」
「ありがとうございます!」
お土産!何だろう?
わくわくする。
お菓子かな?それとも、何か珍しい物かな?
私は期待しながら待つ間に、お茶が運ばれてきた。
「ふぅ……」
お祖父様が一口飲む。
「やはり、ここのお茶は旨い!」
「お義父様が作ったお茶ですからね」
お母様が笑う。
「ほぅ。そうだったのか」
このお茶は、普通の茶葉から作るお茶とは少し違う。どちらかというと、ハーブティーに近い飲み物だ。私も普段から飲んでいる。
「私も、このお茶好きです」
「そうじゃろう!」
お祖父様は満足そうだ。
そして――
「さて」
私の方を見る。
「クルークに土産を渡さないとな!」
「!」
来た!お土産!私は姿勢を正す。
わくわく!何かな?何だろう?
「ほら」
お祖父様が取り出した。
「シックルだ!」
「……」
「……」
私は固まった。
「シックル?」
「うむ!」
お祖父様が渡してきたものを見る。
曲がった刃に短い柄。それも二本……
「……鎌?」
「そうじゃ!」
やっぱり鎌だった。
「これなら小さいクルークにも使えると思ってな!」
「……」
私は鎌を見る。
そして、お祖父様を見る。
もう一度、鎌を見る。
「……あ、ありがとうございます」
とりあえず、お礼は言った。
「なぜこんな物を!?」
「便利じゃぞ?」
お祖父様は当然のように言う。
「草を刈ったり、枝を切ったりできる」
「なるほど……」
確かに便利そうではある。でも、四歳児へのお土産としてはどうなんだろう。
「クルークなら上手く使えるじゃろ!」
「えぇ……」
私、四歳なんだけど。
そんな私の困惑をよそに、お祖父様は次の人物へ目を向ける。
「そうじゃ!」
「?」
「ブレイ!」
「はい!」
突然呼ばれたお兄様が返事をする。
「どうだ? ちゃんと訓練しとるか?」
「え!?」
お兄様が少し驚く。
「はい! やってます!」
「そうかそうか!」
お祖父様が嬉しそうに頷く。
「じゃあ、じいちゃんと後で遊ぼう!」
「げっ……!」
お兄様の顔が引きつった。
「……」
私はその顔を見た。
……なるほど。お兄様、何か知ってるな?
お祖父様との「遊び」たぶん、普通の遊びじゃない。私は小さな鎌を握りながら考える。
「……」
そういえば、一つ気になることがある。
お祖父様の話は出てきた。
でも――お祖母様の話が出てこない。
私は少し考える。
聞いてみよう。
「あの……お祖父様?」
「なんじゃ?」
「お祖母様は?」
その瞬間。お祖父様の表情が変わった。
「……」
遠くを見る。
「……」
「……?」
何だろう。この反応は。「あっ」もしかして、私まずいこと聞いちゃった?
お祖父様はしばらく黙っていた。
そして――
「お前のお婆ちゃんはな……」
「はい」
「第二集落で女子会トークを始めてな……」
「……」
「はぁ……」
深いため息。
「遅れて来る」
「……」
何やねーん。
元気にしてるじゃんか!なら良い!
「遅れて……?」
「うむ」
「こ、ここに来るんですか?」
「そうじゃ」
「……」
私はお祖父様を見る。
お祖父様は遠い目をしている。
「……」
まさか。
「お祖母様も来るの!?」
その声に、お姉様も振り返った。
「どうしたの?」
私は思わず叫ぶ。
「お祖母様が来るって!」
「……」
ワイズお姉様が目を丸くする。
そして――
「お祖母様も?」
どうやら。まだまだパンパ家の家族紹介は終わっていないらしい。




