防護服作りは、お姉様にお任せ
くくく。必要な防護服の材料は――
「揃った!」
厚めの布。革。細い竹。糸。
それから、網に使えそうな材料。
これだけあれば、なんとかなるはず。
「早速作ってみるか!」
私は材料を並べる。
まずは頭から被る部分。それから顔の前に網。
首元も蜂が入らないようにして……。
「……」
チョキチョキ。
縫って。
「あれ?」
切って。縫って。
「……ん?」
なんか違う。
「こうして……」
縫い直す。そして――
「……」
完成したものを眺める。
「……むずい」
難しい。ものすごく難しい。
「これは……」
服というより。
「ゴミが増えただけじゃない?」
目の前には、布と糸と革の残骸。
せっかく集めた材料が……。
「うぅ……」
勿体ない。これはダメだ。
私には裁縫の才能がない。
というか、四歳児に服を作れという方が無理なのでは?
「……」
そこでクルークは、ある人物を思い出した。
「ワイズお姉様」
お姉様なら!普段からお母様と一緒に裁縫をしている。服も作れる。
「作れるだろ?」
よし!お願いしよう。
クルークはさっそくワイズお姉様のところへ向かった。
「ワイズお姉様ー!」
「どうしたの? クルーク?」
「防護服を作って下さい!」
「ぼ、防護服?」
お姉様が首を傾げる。
「はい!」
私は自分で描いた絵を取り出した。
「こんなやつです!」
紙に描かれているのは、全身を覆う服。
そして、頭の部分には網が付いている。
「ん?」
ワイズお姉様が絵を覗き込む。
「変わった服だね」
「はい!」
「こんな物、どこへ着ていくの?」
「それは……」
私は一瞬、考える。
蜂の巣箱。蜂蜜。蜂。
そして、刺されないための防護服。
全部説明してもいいのだろうか?
いや。まだ試作品だ。
「今はまだ実験中なので、成功したら教えます!」
「……?」
ワイズお姉様が不思議そうな顔をする。
「まあ、作るのはいいけど……」
お姉様が材料を見る。
「材料はあるの?」
「はい!」
私は胸を張る。
「あります!」
「じゃあ、採寸するから」
お姉様が立ち上がる。
そして私の肩や腕を見る。
「動かないでね」
「はい!」
私はピシッと立つ。
「腕を広げて」
「はい!」
「こっち向いて」
「はい!」
「背中も測るからね」
「はい!」
されるがままになる私。
「……」
ふふふ。
これで防護服が完成すれば――蜂に刺されずに蜂蜜が採れる。蜂蜜が採れれば、食べられる。
売ることもできる。
完成が楽しみ!
私はワクワクしながら採寸される。
その横で、ワイズお姉様は真剣な顔で数字を書き込んでいた。
「……この服、いったい何に使うんだろう?」
お姉様の疑問をよそに、クルークはすでに、完成した防護服を着て蜂巣箱の前に立つ自分を想像していた。
「ふふふ……」
まずは第一関門。蜂に刺されない服。
これを突破するのだ。




