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転生した貧乏男爵令嬢、領地を開発して大金持ちになります!  作者: 稔


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パンパ家の血は争えない

コンコンコン。


「どうぞ」


「領主様ー」


「リヒトか」


部屋に入ってきたリヒトは、ニヤニヤしている。


「商人から聞きましたよ」


「……何をだ?」


「クルークお嬢のことです」


「…………」


「派手にやりましたなぁ」


「そうだな」


ストラグルは机に肘をつく。


「まさか、あそこまでやってくれるとは思わなかった」


「くくく」


リヒトが笑う。


「血は争えないって、やつですかね?」


「…………」


ストラグルは少し黙り、そして――


「ふぅ……」


ため息をついた。


「どうやら、そのようだ」


「やっぱりですか」


「親父も昔は、思いついたらすぐ動く男だったからな」


「なるほど」


リヒトは納得したように頷く。


「まあ、この領地らしくていいんじゃないですか?」


「もちろんだ」


ストラグルは苦笑する。


「クルークには、特に言うことはない」


「ほう?」


「私が『好きな物を買っていい』と言ったんだからな」


「なるほど」


「まさか、金貨八十枚分の奴隷を買うとは思わなかったが……」


「そこは予想外でしたなぁ」


「全くだ」


二人は顔を見合わせる。


「でも、これから忙しくなりそうですな」


「そうだな」


ストラグルは机の上にある書類を見る。


「まずは受け入れる場所を整えなければならん」


「第三集落でしたな」


「ああ」


「人数によっては住む場所も必要になりますね」


「食料もだ」


「仕事も必要でしょうな」


「……そうだな」


一気にやることが増えた。


「親父には手紙を出しておくよ」


「お祖父様に?」


「ああ」


第三集落を預かっているのは父。

今回の件を知らないままでは困る。


「三百人の開拓者を連れてきた親父なら、今回も何か考えてくれるだろう」


「確かに」


リヒトが笑う。


「それにしても――」


「ん?」


「クルークお嬢は、どこまで考えてるんですかね?」


「…………」


ストラグルは腕を組む。


「さーな」


「分からないんですか?」


「私にも分からん」


「領主様なのに?」


「四歳の娘の考えていることを全部理解できる父親がいるなら、私が教えてほしい」


「それは確かに」


二人で笑う。


「しかし……」


リヒトが少し考える。


「金貨八十枚分ですよ?」


「ああ」


「普通なら、もっと働ける人間を買いますよね」


「そうだろうな」


「それなのに、病人や老人、子供まで……」


「…………」


ストラグルは少し考える。


「クルークなりに、何か思うところがあるのだろう」


「なるほど」


「私にはまだ分からん」


ストラグルは苦笑する。


「だが――」


娘が決めたことだ。

父親として、それを支える。


「まずは受け入れよう」


「了解です」


リヒトが頷く。


「領主様の父上も驚きますなぁ」


「そうだな」


「『また増やしたのか!』とか言われそうですな」


「…………」


ストラグルは苦笑する。


「まあ、早めに手紙は出すさ」


「それがいいですな」


リヒトは部屋を出ようとする。

そして、扉の前で振り返った。


「しかし――」


「何だ?」


「やっぱりパンパ家ですなぁ」


「…………」


ストラグルは笑った。


「そうだな」


思えば、この領地そのものがそうだった。

誰も開拓しようとしなかった山奥へ入り、何もない場所から領地を作った。


そして今度は――その血を受け継いだ四歳の娘が、また何かを始めようとしている。


「さて……」


ストラグルは机に向き直る。


「親父への手紙を書くとするか」


パンパ領はまた一つ、大きく動き始めていた。

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