炭から鉛筆ができる?
ゴリゴリゴリ。
今日は私とワイズお姉様で、炭をひたすら細かくしている。
その横では――。
「よし。こんなもんか」
ブレイお兄様が、彫刻刀で木の板に溝を掘っていた。もちろん、炭の芯を入れるためだ。
流石というべきか、剣はもちろん、普段から刃物を扱っているだけあって手際がいい。
「お兄様、早いですね!」
「これくらいならな」
今回は芯にするので、炭はできるだけ細かくしたい。
「こんなもんかな?」
「多分?」
「そっちは?」
「なるべく細かくしたわ」
お姉様が薬研を見せてくれる。
うん。かなり細かい。
「じゃあ、早速のりを混ぜて練りますか」
前回と同じように、小麦粉と水を加熱して作ったのりを炭に混ぜる。
「お願いします!」
「任せろ!」
ブレイお兄様がこね始める。
コネコネ。コネコネコネ。
「おっ。固まってきたぞ!」
「いい感じです!」
それを可能な限り細くする。
「こんな感じかな?」
「いいんじゃない?」
細くした炭を木の溝に嵌め込む。
そして、もう一枚の木を上から重ねる。
「こんな感じかな?」
「一応、くっついてるね」
「しかし……」
私は完成したものを見る。
「木自体が太いですね」
「確かにな。角を落としたいけど……」
お兄様が眺める。
「ちょい無理か」
「まあ、実験なんでいいんじゃない?」
「そうですね」
とりあえず、ちゃんとくっついている。
「このまま、また乾燥かな?」
「そうだね」
こうして、私たちの試作品は再び乾燥へ。
◇
その頃、調理場では――。
リヒトが固形炭を眺めていた。
「固形炭……って言っていたな」
火をつけてみる。
「確かに炭だ」
しかも、普通の炭より火持ちが良い。
「これは……」
形も揃えられる。持ち運びもしやすい。
「先輩に話しておいた方がいいな」
リヒトは固形炭を手に、ストラグルのもとへ向かった。
◇
コンコンコン。
「先輩! ちょっといいですか?」
「どうした?」
「これ、見てください」
「何だ、これは?」
「確か、固形炭って言ってました」
「固形炭?」
「はい」
「誰が?」
「先輩のちびっ子ズです」
「うちの子が?」
「はい」
リヒトは固形炭を見せる。
「試しに火をつけてみたんですが、炭より倍近く……と言っていいでしょうか。かなり火持ちが良いです」
「なに!? そんなに!?」
「はい」
ストラグルは固形炭を眺める。
「しかし、どうやって作ったんだ?」
「そこまでは聞きませんでした」
「聞いてないのか?」
「ええ。まだ材料が残っているから、と言って庭へ行きましたよ」
「庭?」
「はい」
ストラグルは少し考える。
「……まだ何か作っているのか、あの子たちは」
その頃、庭では――。
「ゴリゴリゴリ」
「もう少し細かくしたほうがいいかな?」
「そうね」
「じゃあ、もう一回!」
三兄妹が、真っ黒になりながら新しいものを作っていた。
パンパ領の小さな変化は、まだ誰にも知られないところで始まったばかりだった。




