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転生した貧乏男爵令嬢、領地を開発して大金持ちになります!  作者:


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7/12

固形炭、使えるか試してみよう

数日が経った。

私たちが作った固形炭も、そろそろ乾燥した頃だ。


「よし!」


今日は実験の日。

私、クルーク。兄のブレイ。姉のワイズ。

三人兄妹で、実際に使えるか確かめる。


ただし。火を使う。


なので、実験場所は調理場。


「リヒトさん!」


「おや、クルーク様。どうしました?」


そこにいたのは、この家で料理をしてくれているリヒトさん。


お父様の後輩で、昔は一緒に軍にいたらしい。

お父様が軍を退官するときに、誘われてこの家に来たそうだ。


料理人として働いているけど、軍にいたということもあって、火の扱いには詳しいらしい。


「今日はこれを試したいんです!」


私が持ってきた固形炭を見せる。


「固形炭?」


「そう!」


「……これは?」


リヒトさんが手に取る。


そして――。


「…………重いな」


「やっぱり?」


「普通の炭より、かなり密度が高いですね」


なるほど。言われてみればそうか。

炭の粉を固めたんだから、当然と言えば当然。


「これは好きな形にできるんですか?」


「型があればできます!」


「なるほど……」


リヒトさんが固形炭を眺める。


「…………」


そして、何かを考えるような顔をした。


「これは……軍用に使えるんじゃないか?」


「軍用?」


「火を持ち運ぶことを考えれば、普通の炭より形を揃えられるのは便利そうだ」


「なるほど……」


思わぬところから軍事利用の話が出た。

まあ、確かに。形が揃っていて、持ち運びやすい。荷物としてまとめるのも楽そうだ。


「まあ、まずは火をつけてみるか」


「お願いします!」


リヒトさんが準備をする。

固形炭を火床に置き、火を近づける。


「…………」


どうだ?


「お」


火が移った。


「おお!」


ちゃんと燃えている!


「いい感じに火が着きましたね」


リヒトさんが火を見ながら言う。


「普通の炭より……」


しばらく様子を見る。


「火持ちがいいか?」


「本当ですか!?」


「もう少し使ってみましょう」


「はい!」


私たちは、そのまま火を観察する。

しばらくしても、固形炭はまだ燃えている。


「悪くないですね」


リヒトさんが頷く。


「これなら使えそうです」


「やった!」


「他にもあるんですか?」


「あるよ!」


私は持ってきた固形炭を見せる。


「何個か作りました!」


「では、形を変えたものも試してみましょう」


「はい!」


こうして、私たちの最初の実験は無事に終わった。



「よかったじゃないの!」


家に戻ると、ワイズお姉様が明るい声を上げた。


「上手くいったな!」


ブレイお兄様も嬉しそうだ。


「売れるようになればなー」


兄がそう言う。


「「確かに」」


私とワイズお姉様の声が重なった。

そう。使えることは分かった。


でも――商品になるかは別問題。


作るための手間。材料。値段。

そして、実際に買ってくれる人がいるのか。

まだ分からない。


「…………」


まあ。まずは第一歩だ。

そう考えていると――。


「ねえ、クルーク」


「なに?」


ワイズお姉様が、固形炭を手に取った。


「これさ。ちょっと思ったんだけど……」


「はい?」


「木で挟み込んだら、板に字を書けない?」


「…………」


板に?炭を?挟む?


「板に?」


「うん。こう……炭を細くして、木で挟んで」


ワイズお姉様が、手で形を作ってみせる。


「それで字を書いたら?」


「…………」


私は固まった。

頭の中に、前世の記憶が蘇る。


木。黒い芯。細長い形。


「はっ!?」


「どうしたの?」


「鉛筆か!」


「えんぴつ?」


しまった。思わず口に出してしまった。


「いや! 何でもない!」


「???」


ワイズお姉様が首を傾げる。


「でも……」


私は改めて考える。


炭。木。挟む。


確かに理屈は同じだ。

前世の鉛筆の芯が黒鉛なのは知っている。

でも、この世界に黒鉛があるかどうかなんて知らない。


だったら――。


「確かに、芯は同じ理屈で作れるかもしれません!」


「本当?」


「はい!」


「じゃあ、作ってみようぜ!」


ブレイお兄様が立ち上がる。


「早速やってみよう!」


「お兄様、まだ炭が残ってます!」


「じゃあ、それを細くして――」


「木も必要ね!」


ワイズお姉様も乗り気だ。


「…………」


なんだか。

最初は炭を作っていただけなのに。

気付けば――。


「三人で新しい物を作ることになってる……」


でも。


「…………」


悪くない。むしろ――楽しい。

私は笑った。


「じゃあ、作ってみましょう!」


こうして、パンパ領の新しい商品になるかもしれないものが、もう一つ生まれようとしていた。


木と炭で作る、筆記具。


もちろん。まだ名前すら決まっていない。

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