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転生した貧乏男爵令嬢、領地を開発して大金持ちになります!  作者: 稔


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便利な道具は、領内で量産へ

針金のお陰で、商品が三つも完成した。

洗濯ばさみ。泡立て器。

そして――布団ばさみ用のバネ。


まあ、そのうち一つは職人さんに丸投げだけど。


「便利だと思えば、大人が何とかするでしょう」


数時間前までは、そう思っていた。

そう……数時間前までは。


「クルーク。何だこれは?」


「はい?」


私はお父様に呼ばれて、執務室へやって来た。

そして――机の上を見る。


そこには、洗濯ばさみ。泡立て器。

そして、布団ばさみに使う予定のバネ。


三つが並べられていた。


「……何だと言われましても」


私は首を傾げる。


「便利道具です」


「…………」


お父様が三つを順番に見る。


「……そうらしいな」


なんだろう。妙に疲れた顔をしている。


「話は聞いた」


「はい」


「次から次へと……」


お父様がため息をつく。


「リラスクも、リヒトも、嬉しそうに報告して来たぞ」


お母様とリヒトさんが?


「使い勝手が良いそうだ」


「そうなんですか?」


「洗濯ばさみは、洗濯物を干すのが楽になったと言っていた」


「なるほど」


「泡立て器も、料理が楽になったそうだ」


「よかった!」


私は嬉しくなる。


「そして――」


お父様がバネを手に取る。


「これを使った物も作れると話したら、二人とも欲しいと言っていた」


「えっ?」


お母様も?リヒトさんも?


「便利な物なら、領内でも沢山作ってくれと」


「…………」


「皆が喜ぶだろう、と」


私は思わず笑みを浮かべる。


「それなら良かったです!」


やっぱり便利な物は便利なのだ。

自分だけが便利だと思っているのではない。

実際に使った人が便利だと思ってくれるなら――。


「商品にも出来ますね!」


「……そうだな」


お父様が深く息を吐く。


「これを職人に見せて、製品化する」


「はい!」


「領内で作れるようにする」


「それなら!」


私は身を乗り出す。


「もっと良い物が出来ると思います!」


「もっと良い物?」


「はい!」


今ある物は、私が簡単に作った試作品。

洗濯ばさみも木を削っただけ。泡立て器も針金を曲げて丸木に取り付けただけ。

バネも簡単に作っただけ。


職人さんなら――もっと丈夫に。もっと使いやすく。もっと長持ちする物に出来るはず。


「私が作った物を、そのまま量産する必要はありません!」


「……ほう」


「職人さんに改良してもらえばいいんです!」


お父様が少し考える。


「確かに……」


「それに、作り方を工夫すれば、もっと沢山作れるかもしれません!」


「…………」


お父様は机の上の三つを見る。

そして、小さく頷いた。


「分かった」


こうして――クルークが思いつきで作った生活用品は、領主家のおもちゃでは終わらなかった。


パンパ領の職人たちによって、正式な製品として作られることになった。


「……また商品が増えちゃったな」


私は嬉しくなりながら、ニヤリと笑った。

もちろん。売れるなら――もっと作ってもらおう。


私の贅沢生活のために!

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